「東日本大震災・残された記憶～宮城県南三陸町・防災対策庁舎」

1995年、志津川町役場の行政庁舎の1つとして建設された、防災対策庁舎は、チリ地震の浸水深2.4メートルに対して、海抜1.7m海岸から約600mの地点に建つ階建てであり、地上から高さ約12メートルの屋上に避難場所がありました。
 
2011年、東日本大震災に伴う15.5メートルの津波により、第1庁舎および第2庁舎は流失し、防災対策庁舎は骨組みと各フロアの床および屋根等を残して破壊された。
津波来襲の15時25分頃まで、防災無線放送で繰り返し住民に避難を62回に渡り呼びかけ続け、最期まで防災無線で避難を呼びかけて犠牲になった女子職員の行動は、「多くの命を救った命懸けのアナウンス」と大きく評価され、埼玉県公立学校で2012年から使われる道徳の教材となりました。
 
2013年、町が保存から解体へ方向転換すると、宮城県と復興庁が遺構保存の支援を発表、2015年に県有化が検討され、町民6割の賛成と議会全会一致により、2031年まで県が管理保存することが決定されました。
 
復興インフラは進みました。住まう人々を支援することが、第一義となるべきですが、記憶・記録は、失ってしまってからは元に戻らないものです。
まだまだ、復興は道半ば、なのかもしれません。