「地上の別天地~不忍池の蓮の花」
蓮の花(蓮華)は、清らかさや聖性の象徴とされることが少なくありません。「蓮は泥より出でて泥に染まらず」という日本人にも馴染みの深い中国の成句が、その理由を端的に表しています。原産地はインド亜大陸とその周辺、日本に渡り、帰化植物となりました。
日本では古名「はちす」と言い、「はす」はその転訛、水芙蓉、もしくは単に芙蓉、不語仙、池見草、水の花などの異称を持つ花です。
仏教では、極楽で蓮華が咲き誇ると言われ、多くの仏具に蓮の花があしらわれています。また、極楽浄土に往生し、同じ蓮花の上に生まれ変わって身を託すという「一蓮托生」という言葉の語源にもなっています。
7月中下旬になると、ここ不忍池は一面に花を咲かせます。葉柄よりも長い花茎を水上に出して、白またはピンク色の1輪の花が咲き誇ります。早朝に咲き、昼には閉じてしまうために、夜明け前からカメラを構える方が数多く出没します。
上野公園の山から朝日が昇ると、不忍池には、一筋の光の道ができあがります。まるで天国に続く道のように、きらきらと蓮の花を照らします。
早起きは三文の徳、と言われますが、このピンク色の姿は一見の価値があります。
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