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秒針を噛む

白昼夢をよく見る。
白昼夢というのは、目を覚ましているのに見る夢の事だ。
目はぱっちりと開いているのに心ここに在らずなので、傍から見ればただボーっとしているように見えると思う。

ヤツは突発的に現れる。授業中、誰かとの会話中、構わず。
試験中に出てこられたらたまったもんじゃない。でも制御出来ない。
一旦そちらの世界に入ってしまうと自分の力では戻ることが出来ない。
気づいたら時計の針が進んでいるのだ。

先日、『日向坂で会いましょう』で丹生ちゃんが何かに取り憑かれたようになってしまうという放送があった。
丹生ちゃんも自分と同じタイプなのかは知らないが、そういう人が僕以外に居ることにまず衝撃を受けた。

数年前から僕は白昼夢をなるべく見ないために年に1、2回カウンセリングに行っている。
その世界に入ってしまった事で、授業中にボケっとするなと怒られたり、試験がいつの間にか終わっていたり、気づいたら別の場所にいたりする。
迷惑極まりない。
ヤツが嫌で嫌で仕方がない。

番組中、丹生ちゃんはメンバーに”取り憑かれる”ことをいじられていた。
その時嫌がることも無く笑っていた。”取り憑かれる”自分を認めているように見えた。
2度目の衝撃だ。

白昼夢の話を友人にすると「とうとうお前幻影まで見えてきたか」という目で見られる。
実はこれ、結構ありがたい。
イカれてると思われた方が楽だ。
心配されるより何倍も。

心配される事が苦手だ。
まず、申し訳ない。自分なんかに構って貰う時間が勿体ない。
2つ目に、自分の惨めさを痛感する。”心配”は満たされている者が満たされていない者に対する行為。自分の矮小さを思い知らされる。

自分の短所は笑ってでもしてくれないと肯定されない。
”ぼーっとしている”自分を笑って欲しい。
誰かの笑いの種にでもなってようやくその欠点を認められる。持ち合わせ続けられる。
僕も『日向坂で会いましょう』みたいに大々的にいじられたい。笑われていきたい。

グダグダとこんな事綴っているうちに時計の針がまた進んでいる。
白昼夢となんら変わらないじゃないか。

https://youtu.be/GJI4Gv7NbmE

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