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第15話 産まれた 〜前半

2か月前、ついにノミちゃんが産まれました。

陣痛促進剤を使った計画分娩、2日かかりの所要時間30時間以上と見事な難産でした。

『ノミちゃんがスポンと生まれますように』

あのお願いは、何処へ…

入院日、まずは子宮口を広げるためのバルーンを挿入をする為に処置室へ行った。説明を受けた時は「バルーンね、はーい」と軽く考えていたけれど、実際それだけで悶絶するくらいの痛みであった。不意打ちの激痛に私はショックを受けた。「バルーンがきっかけで陣痛が来て、すんなりと分娩って流れもあるよ!」と言われたが、それが叶うことはなかった。
その夜中に生理痛のような痛みが定期的にきてることに気づいてナースコールをした。測ってみると、7分感覚くらいで痛みが来ているようであった。助産師さんがやってきて、モニターをお腹につけて、「うん、陣痛だね。」と言われた。

足湯気持ちいい

お産はリラックスをすることが鍵らしいのだが、とはいえ痛いものは痛い。「足湯でもする?アロマも入れようか。」と、助産師さんが足湯を用意してくれた。
ラベンダーの香で少しほぐれたのか、その後は1〜2時間ほど眠ることができた。

早朝の内診では、「子宮口は5〜6センチってところ。まずまずですね。」と言われ、あと半分か〜と少し安堵した。部屋に戻りながら助産師さんに「落ち着いてる〜」と言われ、「生理も重い方だし、痛みには慣れているかもですね。」とか、毎度痛みに耐えられず鎮痛剤飲む癖によく言えたものですね、と今では恥ずかしい。

その後すぐに促進剤の投与が始まった。
促進剤は、1時間に投与する量を最小量から始めて徐々に増やし、最高値までいく。投与し始めて30分くらいするとビリっと痛みが始まった。程なくして、その痛みはとてつもない痛みに変わってきた。

ところで、早朝の内診で5センチ位開いてるかなと言われた子宮口は、主治医の内診によって「え、まだまだ3センチくらいしか開いてないよ。何言ってんの?」という言葉にバッサリ斬られ、私の出産人生ゲームはあっけなく振り出しへと戻ったのだった。主治医は「破水させますね〜」とチョイっと膜を破って破水をさせ、どこかへ行ってしまった。

恐怖でしかなかった促進剤の投与機

とてつもない痛みは3〜4分間隔で襲って来た。そのうち声を出さないとやっていけないくらいの痛みに変わり、「ぁぁぁぁああああああ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ぁぁぁぁぁ… ハァハァ…」という雄叫びを何度となく繰り返した。普段声が小さめの自分、声が大きくなりたい…!その願いは叶えられたが、決して喜べはしなかった。

さて、投与開始からは6時間もたった頃、地獄のような痛みは最高潮にまで達していた。腰をボーリング機でガンガン突かれ、高圧電流を子宮に流されたような痛み。けれども子宮口は一向に開こうとしなかった。

「声を出しすぎると、体力も奪われるから息をフーッと吐こう」と助産師さんはいうけれど、フーで済むならそうしているし、そうじゃ済まないから断末魔の叫びが続いていることをわかって欲しかった。こんなに痛いのにまだダメ出しされている悲しみと、次の陣痛の恐怖でいっぱいだった。
その頃の自分は、陣痛がおさまる隙に気を失ったように眠りに落ちることができるようになっていて、4分後に痛みで起こされるのであった。促進剤の副作用なのか、胃は空っぽのはずなのに嘔吐を繰り返した。

頑固な子宮口がもっと柔らかくなるように、筋弛緩の注射もしたが効果は見られず、1日目は中止となった。

主治医はさわやかに「今日はもう終わりにしますので、ゆっくり休んでください。明日に備えて何か食べて。」と言った。私はもうヘトヘトで、蚊の鳴くような声で「明日も促進剤を打つのが怖い。」と訴えた。しかもゆっくり休めるような気が全くしなかった。投薬はストップしてもまだ効果は残っていて陣痛の波は全然引く気配がなかった。

案の定、おにぎりなど食べれるわけもなく、持ってきたエナジーゼリーを一晩かけてちまちまと飲むのが精一杯で、ほとんど一睡もできず、2日目に突入したのだった。

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