外出の自粛で地域高齢者の活動量は減少したのか?
本日は目線を変えて地域高齢者に目を向けた論文が気になったので読んでみました。
なお下記の論文は「サルコペニアに対する運動療法の標準化と効果の検証」の2次的な解析とのこと。
参考
COVID-19対策に伴う外出自粛時期の地域在住高齢者における身体活動量変化ー運動教室に参加していた高齢者を対象とした調査ー
https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/36/1/36_35/_article/-char/ja/
対象
A市で実施していたサルコペニアの予防・改善を目的とした運動教室に参加していた高齢者15名。
週に1回の頻度で開催され、1回60分、運動教室ではゴムバンドを用いた筋力強化トレーニングを中心に柔軟運動、バランス運動、有酸素運動を含む多面的な運動プログラムが行われた。
方法
2019年9月(緊急事態宣言前)と2020年4月(緊急事態宣言中)の時期で身体活動量を計測。身体活動量は3軸加速度計にて入浴を除き起床から就寝まで、計測開始から7日間装着し実施された。生活空間は日本語版Life-space Assesment(LAS)を用いて評価。(LASとは生活の範囲や活動状況を6段階で点数化する尺度)
ちなみに3軸加速度計は商品の種類にもよりますが得られた加速度から「歩行しているのか(歩行活動)」「生活に必要な活動をしているのか(生活活動)」を判別することができ、それぞれの活動強度(METS)を推定することができる機械とのこと。
活動量を検討する論文でこちらの機器が多く用いられている印象ですね。
結果
身体活動量及び生活空間の評価において、どちらも緊急事態宣言の前後に有意な差は認められなかった。
考察
地域に在住する運動教室に参加していた高齢者において緊急事態宣言前と比べて生活範囲と3軸加速度計を使用した身体活動量のいずれにおいても有意な変化は生じていなかった。これは緊急事態宣言前に実施していた運動教室による運動の習慣化やホームエクササイズの継続及びリテラシーの変化が身体活動量の維持に良い影響を及ぼしたのかもしれない。
まとめ
今回の論文では、「運動教室に参加していた地域高齢者」が対象であった。この点において考察でも述べられているが、もともと地域の運動教室に参加される高齢者は運動への意欲が非常に高い印象をうける。
したがって、この外出自粛の影響が、普段運動へのリテラシーの低い方にどのような影響を及ぼしたのかも気になるところだと感じた。
また、地域で介護予防教室に携わるPTとしては、運動教室に参加するような意欲、運動へのリテラシーが高い人だけがこれる教室ではなく、誰もが楽しく参加してその結果運動へのリテラシーが高くなるよう援助できる環境を作り上げたいものです。
しかしこれが非常に難しいですよね、、、。
今後もいろいろ勉強して頑張ってまいります。ありがとうございました。
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