見出し画像

褥瘡はどのように生じるのか

 本日は褥瘡の基本、発生メカニズムについて学習しました。

 褥瘡(床ずれ)は臨床上当たり前のように耳にし、PTとして関わる場合は予防のために日々ポジショニングの検討、関節拘縮や運動機能の状態から褥瘡リスクの検討をしたりすると思います。

 まずは基本に立ち返り、どのようにして褥瘡ができるのか、今回は非常にわかりやすくまとめられているサイトを見つけたのでこちらを参考にしました。

参考文献
褥瘡辞典 for MEDICAL PROFESSIONAL ~褥瘡(床ずれ)の正しいケアと治療のために~(褥瘡のメカニズム)
https://www.maruho.co.jp/medical/jokusoujiten_fm/outline/outline3/page1/page1.html

褥瘡とは

 褥瘡予防・管理ガイドラインにおいて、褥瘡は以下のように定義されています。

「身体に加わった外力は骨と皮膚表層の間の軟部組織の血流を低下、あるいは停止させる。この状況が一定時間持続されると組織は不可逆的な阻血性障害に陥り褥瘡となる。」

 すなわち長時間細胞に血液供給がなされないことによる細胞壊死が皮膚で生じることを「褥瘡(床ずれ)」と呼ぶようです。

 血液が行き届かないといえば虚血、虚血といえば心不全や脳卒中を連想しますが、褥瘡も皮膚が虚血状態に陥った先にあるもの考えると私は理解しやすかったです。

この定義を前提にメカニズムを確認していきます。

直接的要因と間接的要因

直接的要因とは
 褥瘡発生に直接的に作用する要因=持続的圧迫のことをさします。
後述する様々な間接的要因によって褥瘡リスクの大小を判断しますが、兎にも角にもこの「持続的圧迫」による祖けつ状態が最大の要因となります。

 持続的圧迫により、皮膚および軟部組織内の血管が圧迫され血流が途絶えます。特に骨突出部などは骨と接地面との間で強い圧迫を受けることが多く、循環障害が増大するため褥瘡の好発部位となります。

間接的要因とは
 直接的な要因である持続的圧迫に加えて、褥瘡発生を助長する種々の身体状況を間接的要因というようです。我々も「この方は痩せ型だから、低栄養だから」とリスクのお話をしますが、それらをまとめて間接的要因と言われています。

全身的要因

低栄養:低アルブミン血症による浮腫や皮膚弾力性の低下など。
やせ:低栄養が進むと皮下脂肪および筋肉組織が減少し、骨突出につながりやすい。
加齢・基礎疾患:加齢に伴う日常活動性などの低下、基礎疾患としての骨粗鬆症、糖尿病など。
薬剤投与:抗がん剤、ステロイド剤などによる易感染性、創傷治癒遅延など。
浮腫:うっ血性心不全、肝および腎機能障害、甲状腺機能低下症など。

局所的要因

加齢による皮膚の変化:皮脂分泌低下による乾燥、表皮の菲薄(ひはく)化などで外界からの刺激に弱くなっている。
摩擦・ずれ:体位変換時などに摩擦やずれが生じる。
失禁・湿潤:尿・便失禁、発汗などによる皮膚の湿潤や汚染のため皮膚傷害が起こりやすい。
局所の皮膚疾患:皮膚感染症、炎症性皮膚疾患など。

社会的要因

介護力(マンパワー)の不足。
福祉制度・サービスなどに関する情報不足。
経済力不足。

 このように要因を整理してみると、全身的要因や局所的要因にはしっかりと目を向けられることが多いと思いますが、社会的要因は見落とされがちだなと感じます。

 私自身、高齢者施設において適切なポジションングを行うためのクッションがない、実際に体位変換に関わるスタッフの知識不足(私を含めて)などがあるなと改めて感じました。

https://note.com/muchi_pt/n/n75ec36835a9e

 こちらの記事にも書きましたが、適切な医療資源を活用することで体位変換の間隔を従来のものから伸ばすことができたり、褥瘡の発生リスクを提言する方法もあるため、これらのことを知っておくのも重要となるでしょう。

まとめ

 今回は褥瘡発生のメカニズムの触りの部分をまとめました。

 既知の内容も多くわざわざ勉強しない分野でありますが、しっかりメカニズムを理解し、社会的要因のような自分の関わりが薄くなってしまうところでも褥瘡発生を予防できるよう情報や知識提供できるように学習を続けなければならないなと思いました。

 今回もここまで読んでいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?