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なぜ生粋の大阪人のぼくが秋田で働くことになったのか

「残念ながらあなたにマッチする病院はありませんでした」

これがぼくの人生で最大の挫折…。

①順風満帆な学生生活

これまでの人生、大きな挫折はほとんどありませんでした。小さい時からそこそこ勉強できて、常に成績は上位。

京都の洛南中高から大阪大学医学部に現役で合格、留年することもなく去年医師国家試験に合格しました。

中学受験、大学受験、医師国家試験と難なく受験戦争をくぐり抜けていたぼくは、自分で受験は得意分野だと思い込んでいました。

そんなぼく唯一の受験の失敗が…

“病院の就職試験

②病院の就職事情

病院の就活は、一般の就活と違ってはるかに小規模で簡単です。

大した面接対策もせず、2,3個病院をテキトーに選んで受け、後日合格かどうかの通知があって9割以上は合格しそのまま就職します。

たいていの医学生は、大学の系列病院をなんとなく志望し、なんとなく受験します。例に漏れずぼくもその1人でした。

就職先の決定はマッチングという制度が用いられていて、医師臨床研修マッチング協議会という組織が一括管理しています。
医学生は受験した病院を第一志望からサイトに入力、病院側も欲しい医学生を1位から順に登録していきます。

お互いに上位で志望が合えばめでたくマッチング、というシステムです。

③アンマッチ 人生最大の挫折

大阪市内にある阪大の系列病院で雰囲気の良さそうなところを3カ所選んで就職試験を受けました。
試験の内容は、軽い筆記試験(ない病院もあった)と1人10分程度の面接を1回、それで終わりです。簡単でしょ?

試験も面接もそれなりの手応え。
(阪大生は優遇されるやろうし、面接も人前で緊張するタイプでもないし、まあ普通に受かるやろ…)
と楽観的に考えていました。

マッチングの結果は全国で一斉に発表されます。

2019年10月17日。運命の結果発表の日。
メールの通知が入りました。

(ぼくはどの病院で働くことになったんだろう…!ドキドキワクワク…!)

通知を開くと、冒頭の一文。

「残念ながらあなたにマッチする病院はありませんでした」
「…………え?」

声に出たのを今でも覚えています。笑
本当に1ミリも想定してませんでした。
いわゆる「アンマッチ」です。

アンマッチ後の2次就活は早い者勝ちです。

研修医募集枠が余っている病院を自分で探し出して、自分で病院に直接電話して、面接の予定を取り付けて、後日面接して、、、

そうこうして病院の募集枠が減っていきます。

でも当時のぼくは頭真っ白。

Twitterを開くと大学同期たちが、
「大阪の〇〇病院に就職が決まりました〜!来年からよろしくお願いします😊」

はい、もっと頭真っ白😇

どうしたらいいのか助けを求めて、そして何よりも誰かに慰めてほしくて、Twitterに書き込みました。

するとその直後、同じ部活で6年間苦楽を共にしてきた同期からのLINE。

「おれもあんまっち。。。」

その晩、大学近くの鳥貴族で緊急集会です。
2人で冷静に今の状況と今後の方針を話し合いました。

「阪大病院は阪大生全員取ってくれるからまず申し込もう。就職先を一個まず確保しとこう。
そんでアンマッチになった先輩に連絡して今後どうしたらいいか聞こう。」

ひとりなら頭真っ白なままだったと思います。
こんな言い方あんまりよくないですが、

君がアンマッチで本当に良かった!!!

④秋田で働く 人生最大の決断

2次就活では3つの病院を受けました。

①阪大病院
②阪大系列で唯一、研修医募集枠が余っていた和歌山の病院
③そのアンマッチ友達が地域実習で行っていた秋田の病院

阪大病院は実習でも2年間お世話になった、よく知る病院です。
先輩もたくさんいます。安心感は随一です。

和歌山の病院。阪大の同期も1人就職が決まっていて、そこで初期研修した部活の先輩もオススメしてくれました。阪大系列なので働きやすい。

秋田の病院。ぼくもその友達も大学の地域実習がたまたま秋田県で、とても楽しかった思い出はありますが、さすがに秋田って…ねぇ。笑

3つの病院から無事合格をもらい、どの病院に就職しようか頭を悩ませます

(大学病院は安定やけどレアな症例ばっかやから初期研修は外の病院でやった方がいいっていうし…和歌山は外病院で阪大系列やけどまわりほんまになんもないし大阪から車で4時間かかるし…秋田はまじ想像つかへんし行くとしてもまったく意味わからんしでも病院意外と大きくて経験はたくさんできそうでもやっぱまったく秋田に行く意味わからんし…うーーーーーーーーーーん)

最終的に選ばれたのは秋田でした。

⑤秋田を選んだ理由

いろいろ考えたけど結局頭がごちゃごちゃなって考えはまとまりませんでした。

頭で考えてわからなければ仕方がない。本能のまま選ぼう!

「ワクワクする方へ!」

最後は結局これです。唯一将来が想像つかない選択肢が③秋田でした。

24年間住み慣れた大阪とはまるっきり違う環境。
知り合いゼロ。土地勘ゼロ。
冬の厳しさ、高齢者の全く聞き取れない方言、医療環境の違い…

わからないこと初めてのことだらけで不安な毎日です。

でもだからこそワクワクするんです!

不安とワクワクは隣り合わせ。
ワクワクを追い求めるために知らないこと不安なことに身を投じようと思ったんです。

もうひとつぼくの秋田行きの背中を押してくれた言葉があります。

“早く行きたければ1人で行け、遠くへ行きたければみんなで行け”

この言葉に出会ったのは医師の石井洋介さんの著書「19歳で人工肛門、偏差値30の僕が医師になって考えたこと」を読んだときでした!

石井先生の半生ありのままつづられています。とてもオススメです!
ぜひ興味のある方はぜひ読んでみてください!

ぼくの場合はだれよりも医者の診療技術を早く身につけようと物理的に1人ではるばる秋田まで来てしまいましたが。笑

秋田研修医生活も2年目に突入。
慣れないこと不安なことはまだまだ尽きませんが、

これからもワクワクする方へ突き進みたいと思います!

このnoteでは初期研修医のぼくが仕事で感じた医療のこと、生活のこと、医療情報、研修医お役立ち情報などを発信していきます。

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