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大切な本⑨「巴里の空の下  オムレツのにおいは流れる」

596.04分類の本


若い頃少しだけ図書館で働いたことがある。子どもの頃「外国人は公務員にはなれないんだよ」と聞かされていたから自分は無理なんだと思い込んでいたけれど、当時住んでいた中野区の地域図書館に貼られていたアルバイト募集、「外国人可」の文字に目が釘付けに!採用されたときは嬉しかったなあ。数年後全国初の全面民営化にたちあい、民間企業に就職し直し、引き続き同じ図書館で働かせてもらった。

 夏休み、大学の司書補講習を受けに行き初めて専門知識を学んだ。実務でも背表紙はよく見ているから、自然に図書分類(請求番号)は頭に入っていった。

 自分がよく借りるジャンルは「019」「159」 「289.1」 「361」 「367(台)」 「493.7」 「596.04」 「778.2」 」 「913.6」 「914.6」 「916」 などなど…図書館で本を探すときはこれらの請求番号にふらふらとひかれていく。「596.04」は食エッセイの分類で、小説家や歴史家など全く別ジャンルの専門家が書いたものも多く、ここから更に新しいジャンルが拓けることも。平松洋子さんもこの棚で知り、本のエッセイなど他ジャンルの作品も愛読している。

 食べることは生活に密接につながっていて、超高級コース料理のお話などよりも普段の何気ない食の談話が印象に残る。

 石井好子さん「巴里の空の下 オムレツのにおいは流れる」はタイトルだけでもう美味しい一冊♡オカヤイズミさん「おあとがよろしいようで」、人気作家たちの最後の晩餐から彼らの人生のプライオリティーまでもが伺え興味津々。食風景から広がる世界の魅力は無限大、食を語る人たちのことばも味わい深い。



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