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大切な本㊹「小山さんノート」

すぐそばに、いつもとなりに

去年仕事の異動に伴い、JRはじめ複数の鉄道路線が乗り入れる総合駅近くに引っ越した。予算はないのに利便性を最優先にしたから築年数は古いし決して広くもない(端的に言って狭い笑)マンションだけど、とにかく便利で大家さんもとても良い方で、心から気に入っている一人の我が家。

仕事や外出のあと電車を降りてそのまま帰るのではなく、駅前のスーパーに寄ると迂回した帰り道になるのだけど、その道すがら通る橋脚付近に一人の女性が生活している。
引っ越すずっと前、困窮者支援に取組むNPOの日曜巡回活動に参加した際にもお会いしたことがあったから、もうかなり長い年月ここで生活していると思われる。


知合いや支援者も複数いるらしく、差し入れと思しき物資が置かれているのもよく見るし、気心知れてるのだろう人と歓談している姿を見かけたこともある。でも早い時間からブルーシートを被って眠っている姿や、強すぎる陽射しを避けるためか橋の陰でひっそり息をひそめるように蹲っている姿などみると勝手に息がつまりそうになる。

ホームレスの実態も一昔前とはかなり変わってきたと聞く。女性のホームレスはそのなかでも更に生きづらさを抱えているのだろうと推察される。年末年始は越冬活動にも参加させていただいて、食事を待つ列には少数ながら女性もおられたけれど、同性から話しかけられるのも嫌かな、と勝手に気弱になっている自分がいた。

幸いこれまで所謂「ホームレス」になった経験はないけれど、いっとき毎晩「家のない家」に帰る夢を見ていた。精神的にもかなり追い込まれていた時は、帰る家という「ハコ」はあっても心落ち着ける「居場所」はなかったのだなと今になって思う。

いちむらみさこさんの新刊が今から待ち遠しいし、大好きなフェミニズム書店・エトセトラブックスから出版された「小山さんノート」はいつか読書会でとりあげたい一冊。すぐそこに生きる、駅前のあの人を、勝手に毎日思っています。


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