見出し画像

35歳、「かわいい」を受け入れて生きる

自問自答ファッションにおいて熱いテーマの一つである、「かわいい・きれい・かっこいい」。
特に「かわいい」は十人十色で、それぞれの答えが興味深く面白いとあきやさんはよく言っている。


私にとって「かわいい」は複雑で、根深い問題と捉えている。
先日参加した自問自答ファッション教室で再度「かわいい」と言われてどう思うか?と聞かれた私の答えは、「正直言われることが多いけど、正気か?と言ってきた人を信用できない。」だ。
自分が身に付けているものを「かわいい」と褒めてもらうのは嬉しいが、私自身に「かわいい」と言われとこのように感じてしまう。


私にとって容姿に対する誉め言葉は、否定されるものだった。
小さい頃、近所の人に「あら、かわいい。」と声を掛けてもらうと、必ず母は「そんなことないですよ~!」と笑って否定していた。
姉にはまじまじと顔を見られながら「あんたって本当にブスね。」と、母親からは「もう少しまともに産んであげれば良かったわねえ。」、「あんたの体って本当に貧相でみすぼらしい。」と言われた。

小・中学生の時には、クラスの女の子に「(胸を指差しながら)洗濯板。」と笑って言われ、クラスの男の子に「思ってたよりかわいくなかった。」と影で言われ、小胸とおしゃべりだったことを掛けて「ぺちゃこ」、見た目が似ていると「ゴブリン」とあだ名がついた。
高校生の時の彼氏は、男友達から「B専」と言われていたらしい。

思春期なんてそんなもんだろうと思うけど、本当によく容姿を否定された。
たまに「かわいい」と言ってくれる人もいたが、どうせ親兄弟から否定されるものだから素直に受け取れなかった。


大学生の頃からは、なぜか容姿に対して「かわいい」と言われることが増えた。
でも、もう捻くれに捻くれて自分の容姿に自信がない私にはもう何も響かない。
むしろ、この人は「かわいい」と言って私をどうするつもりなんだろう?「かわいい」と言っておけばいいと思っているんだろうな、と警戒心が増すだけだった。

しかも、この頃には「かわいい」と言われて否定をすると、「そんなことないのに!」と更に褒める言葉がくるということを知り、更に捻くれていった。
「かわいい」に対して否定的・懐疑的なくせに、「かわいい」かもしれない自分に確信を持ちたい。
でも、自分ではその確信を持てないから、他者の言葉に縋ろうとしていた。

服やアクセサリーを買いまくっていたのは、この「かわいい」確信を持てるようになるためだったのかもしれない。

よく「指輪はアクセサリーの中で唯一、自分の視界に入るから良い」と言うが、私には視界に入らないピアスが1番良い。
容姿の中で評価されやすい顔の近くで「かわいい」を主張してくれるピアスが1番良い。

アクセサリーの中でピアスを集めてしまうのも、なかなかややこしい問題が根付いていそうだ。
顔の近くで「かわいい」を主張できて、自信のない「かわいい」を常に視界に入れなくていいピアスは私にとってお守りのような存在で必要なのかもしれない。


話を戻して。

先日、結婚祝いをくれたご近所さんにお礼をするために実家に帰った。
母親と一緒に伺うと、ご近所さんは「もー!綺麗になって!」と言ってくれた。
ある程度社会人としての対応を覚えた私は、「ありがとうございます。」と言いながら『ああ、また母親の否定的な言葉を聞かないといけないのか。』と思っていた。

「前撮りの写真の方が"もっと"綺麗なんですよ!今度見せますね!」

母親が笑顔で答えていた。
「かわいい」ではなくて「綺麗」だし、ご近所との社交辞令なありきたりのやり取りかもしれないが、私には衝撃だった。
私が記憶している限り、母親が私の容姿に対する褒め言葉を肯定したのはこれが初めてだ。
肯定した上に更に母親自身が私の容姿を「綺麗」と言ったのは、絶対的に今まで一度もない。


よくよく考えると、私は「かわいい」と思ったアクセサリーが好きで身に付けている。
そして、自問自答ファッション講座でもらった「クリエイターズアイテムの案内人」は、どんなファッションをしているかな?と自問自答してきた。
「かわいい」アクセサリー(クリエイターズアイテム)を身に付けるには、まず自分の「かわいい」を受け入れられるようにならないといけないのではないか。

自分自身にも自分の身に付けている「かわいい」にも迷いがない、クリエイターズアイテムから「かわいい」の自信をちょっとお裾分けしてもらいながら生き生きと過ごしている。

そんな自分になることを目標にしてみたいと思う。
「かわいい」と思うけど、自分には似合わないから…と食わず嫌いしていたブランドも試着をしてみよう。
大好きなクリエイターズアイテムと似合うなら、きっとその「かわいい」は私のものだ。

35歳の今から、「かわいい」自分を受け入れて生きていってみたいと思う。


おしまい

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?