575 in 2018 ジョジョ立ちで風に吹かれてゴゴゴゴゴ

昨日今日明日明後日明々後日

5二馬同銀左4二銀

シケモクを掻き集めてやお正月

お年玉パパの小遣いより多い

お年玉借りて複利で返す父

小市民春に破滅の夢を見る

方言を忘れ冷たき田舎かな

愛なんて理屈で解るものじゃない

太陽も寝坊している暗い朝

小遣いを上げろと土下座父の冬

カラス鳴く俺の分まで泣いてくれ

童貞のまま成人の日を迎え

小市民ほどアウトローに憧れる

心臓で感じろ頭で考えろ

誠意とは金のことかと言ひ返し

死ぬために生まれたわけじゃあるまいに

誘ふよに熟れた果実の匂ひかな

ロッキーを観たあと腕立て伏せをする

息を止め次の電柱まで歩く

それぞれの真実かみ合わない話

伊予はまだ十六夜だから佐田岬

目の奥に寒三日月が突き刺さる

初雪やレモンシロップかけてみる

すっぴんで空を仰いで雪化粧

またひとつ諦め涙凍る夜

準備して期限の切れたコンドーム

日焼けした文庫本には陰がある

二日酔ひするため酒を呑んでゐる

心臓が俺に殺意を抱く夜

男は一生てふてふを追ひかけてゐる

てふてふを蹴散らし急ぐ野球帽

なにもないけれど小指の爪伸ばす

雪だるま二十歳そこらで逝った友

無理矢理に愛妻の日と読ませる日

意地っ張り今年も歳の数食べる

細巻きと言われた俺の恵方巻き

何色の雪がふるのか夜の闇

春セーター身体目当てなだけなのね

否定するだけしか生きる術がない

ないものはない下駄箱の中のチョコ

野郎ども今日は一人になりたがる

人生の後半なのに三分咲き

じいちゃんの煙管で吹いたしゃぼん玉

おばちゃんに時としてある狂い咲き

雨がふりさうな夜明けに咲ひた花

たかだかの自分を許す春うらら

君去りて手は倖せに届かない

薇や四億年の渦を巻く

最後まで聴いてください朧月

底抜けに明るいだけに闇が濃い

片付けて行方不明になる書類

こんぺいとういびつな愛のかたちして

また春が来て僕たちは遠くなる

五十六億七千万年の釈迦

ポスターの目が追いかけてくる廊下

人間の屑になりたい桜散る

息止めてあの信号のところまで

耳朶を甘噛みされて月狂ふ

セックスのあとは他人の顔になる

アメンボは雨と一緒に降ってくる

死にたくはないけど生きていたくない

お前さん江戸っ子だろう心太

沈黙の羊夜風にむかふ夏

秒針が刻んだ不眠症の夏

病院の待合室で歳をとる

また一年生き延びてきた誕生日

Tシャツの背に透けたブラ夏来たる

方言を忘れ独りで過ごす夏

俯いて季節を影の濃さで知る

幸せになっていいはず僕だって

秒針に切り刻まれて眠れない

定時には会社脱獄して帰る

ばあちゃんの畑あたりに虹が立つ

雨上がり冷やし中華はじめました

旦那とは別居中なの蝸牛

ジョジョ立ちで風に吹かれてゴゴゴゴゴ

白い雲大空つかむ夏の指

天井の穴を数えた保健室

理由なく全てを夏のせいにする

窓のない部屋と女と覗き穴

ふるさとを逃げだすやうに鰯雲

ともだちにもう戻れない夏休み

人生に疲れビタミンCを飲む

手も足も出せずウィンクする達磨

セーターのおっぱいを背にふたり乗り

月光をかためてつくる冷奴

定年や妻から戦力外通知

好きなものだけ食う緩やかな自殺

遺影撮るつもりで自撮りしています

否定するために質問する女

うつむいたホントは星が見たいのに

無花果や預言者の手を濡らす赤

人生の余白に書いたラブレター

鉛筆で刺された膝が痛い冬

ふるさとは潜水橋の先にある

あふれ出すあなたの蜜で溺れ死ぬ

現実という名の画面見ています

色鳥や空はどこから空ですか

新蕎麦は独り寂しく喰らふのだ

ただの石だけど僕には宝もの

係長しっぽはないが犬なのだ

深海魚雨のなんたるかを不知

胡桃割るコツがあるのと嗤ふ妻

マフラーの代わりにチョークスリーパー

窓の外雪降る夜に脇固め

太古からただそこに在るだけの石

サーフィンのはずが溺れているネット

出しっぱなし炬燵そろそろ本気出す

埃焼く初日の焦げ臭い炬燵

日本人童貞のまま髪に霜

炬燵には背中丸めて入ること

羽ばたきもせず弱虫は老いていく

明日仕事日曜朝に思うこと

熱燗や喉から出た手あちちのち

満ちたりて丸まっている竈猫

十七時逃げ出すやうに帰る道

Googleの検索履歴黒歴史

ユーミンの新曲「高輪ゲートウェイ」

まるまると重ね着赤ン坊眠る

重ね着の三枚目だけ派手な色

苔むした路傍の石や神迎え

ジョンレノンより年上になりました

まだ死んでいないというだけの人生

あの雲は鯨だ鯨じゃなきゃいやだ

有名な秘密結社といふ矛盾

月冴ゆる誰かに誉めて欲しかった

サイゴンの空気を混ぜる扇風機

あの人と別れたという帰り花

夏祭り良いともだちでいましょうね

軽トラに揺られていくよ枇杷の花

着膨れの女脱いだら破裂した

四畳半大きな夢を見てたころ

平和への祈りを唱え銃を撃つ

褒められて伸びるタイプの評論家

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