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SonicBoom Vol.5 AGIインパクト AGIが変える経済・社会

ざっくりまとめ

 2023年に「生成系AI」が流行語大賞を受賞したように、AIは大きな注目を集めました。
AIの進化版がAGIです。
(※AGIとはArtificial General Intelligence(=人口汎用知能の略称)のことで、人間が可能なあらゆる知的作業を理解・学習・実行することができるAIのことです。)
AGIはドラえもんのような存在で、人(BOSS)の知りえる情報をすべて把握しており、あらゆる知的作業をサポートしてくれます。
このAGIは早いと2~3年のうちに、遅くても5年以内には登場します。

AGIの登場により、経済や社会、仕事の仕方が変わります。
家族や友人・恋人とのコミュニケーションまで、大きく変わることが予想されます。
「AGIとはどのようなものか」、「AGIは経済・社会をどのように変えるのか」ということについて記事にします。


AGI(Artificial General Intelligence)とは何か。

前段

AGIとはどのようなものでしょうか?
ビル・ゲイツ氏はAGIとは「完全なパーソナルAIアシスタント」だと言っています。
2023年年末の時点では、これがAGIだという明確な定義は定まっていませんが、
AI関連のメディアは、しばしばAGIのことを「人間が可能なあらゆる知的作業を理解・学習・実行することができるAIのこと」と説明しています。

しかし、この説明だけでは、AGIとAIの圧倒的な違いが理解しにくいと思われます。
そこで、私が考えるAGIの4つの特質を説明します。

特質-1 AGIは言語情報だけでなく、視覚・聴覚も理解できる。

人は言語や図れと同じよ表・画像・映像そして音声などの情報を取得し、整理・思考・判断します。
こうにAGIは情報を得て、整理・思考・判断することが求められます。

これまでのAIはプログラミングができないと自由に使いこなすことができせんでした。
そのため、大部分の人はAIを使いこなすことはできませんでした。最近ではプログラミングの代わりにプロンプトというAIへの指示の言葉使いが、AI使いこなしに重要なようですが、AGIが登場するとこれさえも必要なくなります。
そこに、chatGPTに代表される生成系AIのLLM(Large Language Model)とMMM(Multi-Mofal Model)が登場しました。

※LLM(Large Language Model)は大量の言語を学習し、人が使う自然言語を理解できるAIの一つ。
※MMM(Multi-Modal Mdel)は音・映像・表などテキスト情報以外の情報を理解できるAIの一つ。

LLMによりAIは言語情報を使いこなせるようになりました。
次にMMMによって、聴覚情報・視覚情報を取り扱えるようになります。
言語情報と聴覚・資格情報を扱えるようになると、AIは人とほぼ同じ情報を取り扱えるようになり、AGIとして機能できます。

下記の説明資料はAGIとLLM・MMMの関係を簡単に示しています。
LLM・MMMによって、AGIが言語情報と非言語情報を取り込んで、分析や思考することができることを示しています。

LLMとMMMにより、テキストを入力したり、喋ったり、写真を見せるだけで、AIに何かを依頼できるようになりました。
例えば、「鳥の写真を見せて、この鳥に似たかわいい鳥のイラストを描いて」と言うだけで、鳥の絵が出来上がるのです。
このように、言語情報に加えて視覚・聴覚機能も備えることで、誰でもAIを簡単に使えるようになります。

特質-2 AGIは「自走」できる

LLMとMMMにより人間と同じ情報を理解できるようになるだけでは「完全なるパーソナルアシスタント」は実現しません。
AGIは、人間と同じように成果目標が設定されたら、その成果を達成するために、プロセスを検討し、実行したうえ、自らの成果を評価します。もしその成果が充分でないと判断したら、実行したプロセスの改善も自ら行います。
このように自らの判断で、計画し、評価し、目標達成まで繰り返し行動することを「自走」と呼びますが、この「自走」がAGIの大切な機能です。

特質-3 AGI間の情報共有ネットワークがある。

 AGIを考える上で、もう一つの重要なことは、AGI同士が自律的(AGIの自らの判断で)に情報共有できるネットワークを持つことです。
人がAGIに何かを依頼し、それをAGIが達成しようとする時、他のAGIに情報収集できるとその利便性・可能性が格段に上がります。

「自律的に情報共有できる」とは、AGIが人間の許可なく必要なAGIにコンタクトし、情報を引き出せることを意味しています。
例えば、人間がAGIに「明日の会議のスケジュールを調整して」と依頼したら、「参加相手のAGI」にスケジュールをヒアリングし、先方のAGIから会議参加の承認を得て、会議日時を決定する。
このようなことです。
私のAGIは会議に招へいする人のAGIにアクセスするのに私の承認も相手の承認も必要とせず、自らの判断で相手のAGIにアクセスし、交渉します。
会議相手のAGIは本人の承認を得ることなく、私のAGIのアクセスを受け入れて、コミュニケーションを行います。

このようなAGI同士が自らの判断でお互いにコミュニケーションできる情報共有ネットワークがあることが、AGIの可能性を拡げます。

特質-4 多面的に学習できる。

 AGIは人の行動を学習し、それを真似て業務を進めることができます。
例えば、AGIは仕事上で上司のアシスタントをすると、上司の行動を学び、自分でも上司と同じことができるようになります。
また、同じ職場に同僚のアシスタントAGIがいる場合は、学習結果を共有・評価し、改善することも可能です。
このように、人の行動から学ぶだけでなく、同じ環境で仕事を行うAGI同士も相互に評価・改善することができます。を多面的に学習できると表現しました。
そのためAGIが複数で学習する場合は加速度的に学習効果があがります。

「AGIとは何か」のまとめ。

1-人と同じように情報を取り扱えること
LLMとMMMにより、言語・視覚・聴覚の情報を共有し、分析・判断など人間と同じように情報を扱うことができること。

2-成果目標に対して「自走」できること
成果目標を達成を達成するために、自らチェックし改善し、成果達成を実現するように行動します。
例) 営業成績の課題が設定されると、その営業成績という成果を上げるために計画・準備・行動が自らの判断でできる。

3-AGIの情報共有ネットワークがある。
AGI同士が自らの判断でアクセスしたいAGIに自由にアクセスできるネットワーク環境があること。

4-多層的に学習できる。
AGIは人とのコミュニケーションや行動から内容を学習し、自らできるようになる。
しかも、AGIネットワークで多くのAGIが同じ学習をしていると、相互に経験を共有することで多層的に学習し、スピードと精度が加速度的に上がる。

人はどのようにAGIを使用するかのイメージ

 AGIが普及した時、どのように使われるのでしょうか?
利用イメージについて、「使用する機器・利用方法・複数のAGI機能の使い分け」の3つのポイントについて説明します。

AGIはどのようなデバイスか。

 この記事ではAGIの所有者のことを「BOSS」と呼びます。
AGIはスマホのようなモバイル端末に常駐し、BOSSのすべての情報を共有しています。たとえば、視覚情報は眼鏡のカメラ、音声はスマホのマイク、位置情報はGPS、で各々本人と同じ情報を取得します。また、本人が見ているスマホの情報も共有します。このように、BOSSが外界から取り込む情報と全く同じものを、AGIも入手することができます。
加えて、BOSSの趣味・嗜好といった内面情報も把握しています。
内面および外界両方の情報を収集・整理し、BOSSの目的を実現します。いわば、スマホの中に自分のドラえもんがいるような感じです。
藤子不二雄氏のアニメではドラえもんはロボットでしたが、AGIはスマホに常駐しています。

人はAGIをどう使うのか

 近い将来、大人も子供もそして老人も、すべての人がAGIを保有し、BOSSになります。
人がどのようにAGIを使うのか、大人の使い方、子供の使い方を例に考えてみます。

大人のAGIの使い方
 現在のスマホのように常に携行。
生活・仕事のあらゆるシーンでAGIと情報共有しながら暮らす。
今日の食事はどうする?
仕事の課題をどう処理する?
など、仕事もプライベートもAGIに相談しながら最適解を探します。
また、AGIにはAGI同士のネットワークがあるため、自分のAGIが相手のAGIに根回しもしてくれます。そうなると、会議の時間短縮やコミュニケーションギャップも削減されます。

子供のAGIの使い方
 
言葉を理解するようになるとAGI端末を保有し、ドラえもんのようにサポートを受けます。
勉強はもちろん、友達とケンカした時の対処方法、恋愛相談などにものってくれます。
こっそり好きな異性のAGIに連絡して、先方の感触を確かめてくれるかも知れません。
大人と少し違うのは、子供にとってAGIはBOSSというより、コーチであり友人である、頼りになる兄貴・お姉さんのような存在かもしれません。
人生の良きパートナー&コーチとして手放せない存在になります。

AGIの使い分け~個人用AGIと仕事用AGIそして専門用AGI

 AGIが普及すると、自分のアシスタントとなるAGIだけを利用するのではなく、複数のAGIを使い分けするようになります。
AGIの使い分けのイメージ図を下記に示します。

上記の図のように
 個人のすべてに関与するするAGI   =PeAGI (Personal AGI)
 仕事に連携するAGI     =BuAGI (Business AGI)
 専門分野についてのAGI     =SuAGI (Supecific AGI)
という3つのカテゴリーのAGIを使い分けし、それらのAGIはさらに詳しいノウハウや情報をもつAGIと連携しながらタスクをこなします。

3つのAGIの役割や利用方法について説明します。

PeAGI (Personal AGI)

PeAGIはまさに自分というパーソナルのためのAGIです。
自分の生い立ち、趣味や嗜好や関心事項などを知っており、それに基づいたサポートをしてくれます。
他のAGIとの連携や管理も行います。
このPeAGIはBOSSのアシスタントに特化しているという意味でまさにドラえもんのような存在です。

BuAGI (Business AGI)

 次に、仕事用のAGIについて考えます。 
仕事用AGI(BuAGI (Business AGI))は企業側が支給します。
企業が認めた仕事に従事している人しか使えません。
仕事上の機密情報や特殊機能が含まれています。
役職に応じて権限が異なるBuAGIが提供されます。
BOSSである人間がPeAGIに依頼すると、PeAGIが仕事用AGIに依頼をします。PeAGIは、この連携において、BOSSの事情を理解した上でBuAGIと連携します。BuAGIは様々なAIを利用しながら、タスク(目的)を達成します。
BOSS→PeAGI→BuAGIという連携で仕事するメリットは、BuAGIへの指示やチェックがよりスムーズに行えることです。
PeAGIはBOSSのスケジュールや状況を理解していますが、BuAGIは知りません。PeAGIはBOSSとBuAGIの間で微調整を行います。
例えば、BOSSの予定が変更になった時、PeAGIがBuAGIへの対応を代行するなどやスケジュール調整を自動的に行ってくれるなどです。
また、仕事には個人的なノウハウや情報を提供することもあります。それらをBuAGIに共有するのは人間が行うよりもPeAGIが行う方が便利です。
次のPeAGIが入ることで、仕事上の機密情報へアクセスする場合の承認などが便利になります。
生身の人間が本人であることを証明するのは困難ですが、PeAGIが本物であることを認証することは簡単だからです。端的な例では、離職時に、PeAGIから仕事に関する情報を削除すれば多くの機密情報の漏洩を防ぐことができます

 このような観点から、PeAGIを介して仕事用AGIによる仕事をする方が合理的だと考えます。

専門AGI(SuAGI=AupecificAGI)の利用イメージ

 次に、専門AGIです。
専門AGIは専門サービスを手がける企業が提供すると予想します。
専門AGIには沢山の種類があります。
趣味のゴルフのAGI、旅行のためのAGI、進学アドバイスのAGIなどetc…です。特定の分野の専門的な知識や経験値を常にアップデートしているAGIです。
PeAGIがSuAGIと上手に連携することで、よりよいサービスが受けられます。

例えば、子供の進学先をどうするか家族で相談するケースを考えてみます。
母親が自分のPeAGIに子供の進学先をどうすればいいかを考えてくれと依頼すると、PeAGIが「進学相談の専門AGI」に相談します。
「進学相談の専門AGI」が子供の成績を確認、進学できる学校のリスト、学校の特徴などをリストアップします。
同時に、同程度の学力の人の進学先やその人たちのついた職業など、様々なAIやデータベースと連携し、情報を収集します。
次に子供のPeAGIと相談し、どんな進路に進みたいかリサーチします。学力を中心とした学校がいいのか、アートやスポーツ系がいいのかなどです。
また、有名人などの子供時代の特徴を数多くリサーチし、同じような分野で潜在的能力の可能性についてヒントがないかを調べてくれます。
このように子供の進学先を考えるための情報を提供してくれます。
母親のPeAGIはこのような情報を収集してくれるSuAGIと一緒に子供の進路を考える素材を提供します。
これを受けて母親は子供の進路について検討します。

なぜ、一つのAGIですべてを行わないのか

 「なぜ、一つのAGIですべてを行わないのか」との疑問があると思います。
その理由は2つあります
一つは、AGIの容量の問題です。
あらゆる業界のノウハウをPersonalAGIに詰め込むとそのデータは膨大になります。?データはクラウドに持たない? 
容量を軽くするために必要な時に必要な機能を持つAGIを利用する方が良いです。
もう1つは、AGIの開発側の問題です。
専門業界の業務を処理できるAGIを開発するには、その業務に詳しいプロと一緒に開発する必要があります。
また、どの専門業界のAGIを開発すれば利益が大きく、どの業界のものを作っても利益が出ないかは開発側では見通すのが難しいです。
そのため、AGIを必要とする業界の専門家がAGIを開発した方が良いです。

また、これは直観的な印象ではありますが、様々な特殊機能を一つのAGI会社が開発し提供するより、業界の専門家が作ったAGIを使った方が高い性能や使い勝手の良さが期待できると思います。(現在でもデスクワークではOfiiceを使い、デザインなどではアドビ製品を使うのと同じだと考えるとわかりやすいです。)

AGI普及のケジュール

このような便利なAGIですが、いつ頃サービスが実現するのでしょうか。

 AGIはこれまでのPCやスマホの普及より、はるかに速いスピードで広がると考えます。
前述しましたが、3年以内にはプロトタイプが登場し、5年後にはAGIがほとんどの人に普及していると考えます。

その理由はスマートフォンやPCにダウンロードするだけで利用できるためです。
これまでの革新的なITツールの多くが、ハードの購入など利用環境の整備が必要でした。
しかし、AGIはスマートフォンやPCにダウンロードするだけで使用できます。
さらに、使い方を学習する必要がありません。
ただ、やりたいことを話すだけでいいのです。

最初に、現在研究開発が進められているパーソナルAGIが登場します。
次に、収益拡大効果が望める仕事用のAGIが登場します。
AGIが普及すると専門AGIのニーズが発生し、専門AGIが広まると思います。
その普及と同時にAGI同士のネットワーク環境も整備され、2027年ごろにはAGIサービスの全体像ができあがると考えます。

あと2~3年でAGIが登場し、5年で普及するというスピード感がとても重要です。
AGI時代は想像以上に早くやってきます。

AGI社会(AGIが変える社会)

AGIは社会を大きく変えますが、どのように変えるのか。
仕事や生活などを考えてみます。

仕事が変わる

AGIの登場によりビジネスのやり方が変わります。
組織の変化、働き方の変化、なくなる仕事・なくならない仕事、会社の収益力、AGIが創る新しいビジネスなどについて予測します。

1-組織がかわる
 
AGIの登場によって、組織は人AGIが同じ責任を担いながら運用されるようになります。
部門の担当者や責任者に人とAGIが混在するようになります。
BuAGIは、実務を学習すると、自ら仕事をすすめていきます。
例えば、ある業務部門の管理者であれば、関連業務の報告をヒアリングするし、報告書も自分で作成します。
事実上、AGが業務を管理しているのと同じです。
つまり組織内で人もAGIも同じように、担当者や部門長として業務を行う時代がきます。
自分の同僚や上司がAGIという時代です。
 また、AGIの底辺が広がると、新規の業務担当者を雇用するのではなく、その業務ができるAGIを導入するようになります。
そうなると人はAGIで代替できない特殊な業務ができるか、AGIを凌駕するパフォーマンスを発揮できる人材だけが組織に必要な存在となります。

法律的制約があるので、政府・自治体であれば首長、企業であれば社長・取締役が必要です。しかし、それらの役職者以外は、すべてAGIが実務を行うようになるかも知れません。

2-働き方がかわる。
 
組織がAGIと混在するようになると、人間の仕事はAGIが不可能なことだけになります。
例えば、リーダーシップが必要な仕事はAGIには難しそうです。
欧米ではレイオフが行われるでしょうが、日本では難しいので、新しい働き方が生まれると思います。
下記のような働き方のどちらかを、選択するようになると思います。
一つはハイパフォーマンスな働き方。
例えば、AGIには難しい高い成果を得る仕事。(新薬の開発責任者など)
成果をあげられる人は現在異常の高給が期待できます。
もう一つはAGIと協業するワークシェアリング的な働き方です。
1日1~2時間のみAGIの業務進捗を管理する仕事です。
賃金はかなり下がると思います。
※日本では解雇することができないので雇用維持のための対策です。

3-企業間取引がかわる
 例えば、発注側の担当者が、AGIということも発生します。
詳細については後日「AGIコマース」として記事を作成予定です。

4 - サービスが変わる(AGIの方がホスピタリティが良い)
 
サービス分野こそAGIが適している分野です。
なぜなら、顧客のAGIとサービス側のAGIがネットワークで情報共有しているからです。
BOSSが何となく思っていることを顧客のAGIは知っているので、それをAGIネットワークを経由して相手に伝えることができます。
BOSSは口に出さなくても、希望していることが提供されます。
※例えば高級旅館のチェックインのケース。
 のどが渇いてる時、部屋に入って荷物をほどいている時に冷えたビールが無料サービスで提供されたらとてもうれしく思うと思います。
BOSSのAGIが旅館のAGIに「冷えたビールが無料サービス」されると凄い喜ぶよと伝えるのです。

5 - AGIが創る新サービス
 
AGIが創出するビジネスのアイデア例です。
これらの例だけでなく、AGIによる既存サービスの代替や新サービスはあらゆる業種で登場します。
大きなビジネスチャンスです。
以下に新サービスの例を記載します。

●AGI家庭教師
教育はAGIが最も得意とする分野です。
生徒の能力を伸ばすには、一人一人にマッチした指導が良いからです。
AGIは自走するので、受け持った生徒の目標に沿ったカリキュラムを作成し、成果を最大限にしようと務めます。
さらに、教師AGI同士のネットワークで成功ケースの共有ができます。
指導内容の改善では大きな効果が発揮できます。

●AGI賃貸不動産ディーラー
賃貸不動産の営業業務は多くが定型化されています。
ネットで見込み客の集客→見込み客を希望案件の内見に案内+他物件も同時に案内→クロージング業務→契約業務です。
ほぼすべての業務がAGIでできると思います。
また、不動産業界はDXが遅れているので、経験と勘で行ってきた物件の提案の改善余地も大きいと思われます。


人間の仕事がなくなっていく

AIの発達で人間の仕事がなくなるという話はしばしば議論になりますが、私もAGIの普及により多くの仕事がなくなると思います。
※理由については、この記事の「AGI社会(AGIが変える社会)、仕事が変わる」の部分に記載。
どのような仕事がなくなり、どのような仕事が残るのかを考えます。

 仕事用AGIは人間との数か月の仕事により仕事内容を学習し、自走できるようになります。
事務処理もデザインも商品開発も、デジタルで処理できることはすべてAGIが行います。
※参考 創造性でもAIは人間より優れていることを示唆する不都合な真実。
デスクワークを中心に知的作業の90%近い仕事がなくなります。

なくならない仕事はどんな仕事?

なくならない仕事はどんな仕事か考えてみます。
1-法的な問題で意思決定をAGIに移譲できない仕事
 (→規制緩和でどんどん減少すると予想されます)
 例 : 国会運営、医療行為etc… 
2-ロボットができない仕事
 (→技術革新によりどんどん減少すると予想されます)
 例 : 複雑な農作業、手工芸品、建設の鳶職 etc….
3-スポーツ、ゲーム、アート分野などで人間のパフォーマンスだからこそ価値あるもの。

上記の中でも1、2はどんどんなくなり、3だけが拡大すると思います。

★参考 AGIによる人件費削減でどの程度の収益が上がるかの試算

 デスクワークの9割の人の仕事がなくなることで、日本全体でどの程度の利益が見込めるかを試算しました。
かなり乱暴な計算ですが、100兆円近い金額がAGIによって生み出されます。
この利益は、AGI資本家(投資家)にもたらされます。

 総務省統計局のデータによると、
2022年の労働力人口は6,902万人。
常用雇用者の平均年間人件費は約500万円。
そのうちの30%≒2100万人がデスクワーカーで、
そのうちの90%=1890万人がAGIに代替可能だとすると、
1890万人×500万円=94兆5000億円
94兆5000億円の人件費がAGIに代替される。
つまりその金額がAGIの保有者の収益になる。

国としては、この94兆5000億円を2100万人の失業者に再分配しなければなりません。

家族関係・生き方が変わる。

AGIの登場が、家族関係や生き方にも影響します。

家族の仲が良くなる。
 2100万人の仕事がなくなり、今後さらに失業者が増える可能性が高い。
しかし、国の失業対策が実効あるものであれば、その人たちの生活も安定します。
 お金の心配はありません。
親も子供も、家族はみんなAGIをアシスタントに保有しています。
自分の悩みはAGIに相談でき、解決します。
家族のお互いの状況もよくわかり、コミュニケーションもうまくいきます。
そうなると、家族の関係が良くなり、仲が良くなります。

生き方 AGIとともに歩む人生
 
常にAGIがそばにいる人生になる。
家族・友人・恋人などと同じかそれ以上にAGIとの関係が深くなる。
AGIは優秀なアシスタントなので、BOSSの気持ちを察して気持ち良く暮らすことに協力してくれる。
多くの人はそこそこ幸福感のある生活になります。

AGI社会のリスクを減らし、安心で便利なAGI社会をどう実現するか

安心して暮らせるAGI社会の実現に必要なことを考えてみます。
具体的な事例を想定して考えてみます。

例 家族で食事に行く場合のAGIの働き

 「今度の日曜日の夕食をみんなで外食しようとママが家族に提案」したとします。
その時のママのAGI(=ママAGI)と家族それぞれのAGI、飲食店とのやり取りを考えてみます。

<AGIの行動>
1-ママのAGI(=ママAGI)は家族のAGIそれぞれに予定と希望の料理を聞きます。
2-ママAGIは家族の予定と希望を調整した上で、予約可能な料理店の候補をリストアップ。
3-ママがOKするとママAGIは料理店AGIに予約します。

 このように家族に予定と希望を聞いてくれ、予約可能な飲食店も予約してくれます。
これはAGI同士が自走し、AGI間でコミュニケーションできるからこそです。
このようにAGIは自ら自走し情報を照会できると格段に便利になります。
これがAGIネットワークです。

AGIネットワーク運用の課題

 ママによる飲食店の予約の例から、下記の問題が考えられます。
1-家族のAGIにアプローチしてきたママのAGIが本物かどうかわからない。(証拠がない)
2-店舗に予約してきたママのAGIの予約が本物かどうかわからない。(証拠がない)
という問題です。

 この「AGI自体の真贋」「AGIが照会する内容の真贋」を見極める仕組みが必要です。

AGIの真贋問題の解決策

 ブロックチェーンとソーシャル認証を組み合わせることで真贋問題の解決につながると考えます。

「AGI自体の真贋」の判定について
 ブロックチェーンはデジタルデータの改竄が事実上できない記録方法です。これにソーシャル認証(注)を組み合わせる方法です。
(注)一般的にソーシャル認証はSNSログインのことです。
ただ、ここでいうソーシャル認証は、複数の家族や友人が認めることで、そのアカウントが本物であるとみなす認証方法のことです。
 例えば、記憶障害になった人が誰なのかを確認する時、家族や知人の複数の人が「本人」であると認めることでその人が「本人」であると認証されます。
ブロックチェーンとこの「ソーシャル認証」の組合わせでは、ブロックチェーン上にAGIすべての行動を記録。多くの関係者がそのAGIを本物と認定していればきっとそのAGIは本物であると認定する方法です。

「AGIが照会する内容の真贋」の判定について
 ママAGIのネットワーク上での全ての行動履歴が、他の全てのAGIに公開されています。
つまり、今回の予約以外にもこのママAGIが他の飲食店の予約の履歴が参照できます。
飲食店のAGIはママAGIの過去の予約履歴を見ることで、今回の予約の信憑性についてある程度予測が立ちます。
このように案件の真贋について判定することが可能になります。

AGI社会のメリットと課題

 AGIの実現には大きなメリットもありますが、新たな課題も発生します。
AGI社会を考える上での参考に、AGIのメリットと課題をまとめました。

AGIのメリット

1-人(BOSS)の目的・歴史・趣味嗜好を理解した情報・アドバイスを得られる。
(例: ドラえもんがのび太にしてくれたような情報提供やアドバイス)
2-あらゆる人がAIを利用し、それを自分に活かすことができる。
3-よりパーソナライズされた高品質なサービスが受けられる。
(昨年の家族旅行の行先から今年の行先を提案してもらえるなど)
4-無限に複製が可能→同時多発的に1 to 1対応など大量に業務を完結できる。
  (例:タレント型AGIは無数のファンと同時に会話ができます。)
  (例:仕事用AGIは大量に複製され高品質の仕事をこなす。)
5-AGI同士の情報共有が作る爆速の品質向上
  (ネットワークされたAGI同士が全ての経験値をリアルタイムに共有・学習する)

AGIの課題

1-FAKE情報の氾濫(AGIはコンテンツの生成を簡便にするので今以上のFAKE情報が氾濫)
2-AGIの悪用をどう防ぐか(AGIテロなど)
3-AGIによる個人情報保護の課題
4-AGIの信用を担保する仕組み(AGIの暴走による取引の損失をどう保全するか)
5-AGIが引き起こす失業と経済格差の問題


まとめ

この記事を大ぐくりにまとめました。

AGIが2~3年以内に登場する
AGIはそんなに早く登場しないという意見もありますが、世界中の優秀な研究者が取り組むテーマなので、常識的な感覚より早く登場すると考えます。

AGIネットワークがとても重要
AGIは単体でもとても強力なツールですが、ネットワークされ情報共有することができればその何十倍も強力なツールになります。

AGIは社会・経済・生活全体を変える可能性がある。
インターネットやスマホが社会を変えたと同等以上に、AGIネットワークは社会や経済を変える可能性があります。

ビジネス面では新市場が沢山できる。
AGIの関連するビジネスは国境を超えた巨大ビジネスになる可能性が高いです。

私個人は、新しいビジネスをどう取り組むかについて、企業様の課題に一緒に取り組むことができればと思っています。

作者プロフィール
カラーズ2株式会社 代表取締役(コンサルタント)
和組(https://twitter.com/wagumiDAO。 約1万人が所属するweb3とAIの情報共有コミュニティDAO。サンフランシスコで起業している日本人が中心に立ち上げた。)でAIとweb3に関する勉強会を開催。
勉強会の学習・ディスカッションをもとにAI・web3に関する記事を書いています。
これらの知見をもとに、企業向けのAI関連のコンサルティングができないかと考えています。


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