創造性でもAIは人間より優れているという調査結果(SonicBoom Vol.4 )
ざっくりまとめ
ChatGPTとエリート大学生が商品企画のアイデア出しコンテストを行った。
chatGPTの方が圧倒的に優秀だという結果が出た。
「創造性」の点からもAIは人より優秀な可能性が高い。
AIの普及に伴い、多くのルーチン的な仕事がAIに置き換えられる一方、「創造性」が必要な仕事はやはり人間の方が優れていると言われています。
しかし、今後A Iがさらに進歩していくと、「創造性」においてもAIが人間を凌駕する未来がやってきそうです。このことを示唆する調査レポートをご紹介します。
「AIとエリート大学生とどちらが「創造性」が優れているかの実験」
ペンシルバニア大学ウォートンスクール(米国の有力MBAスクール)の教授が
「AI」と「MBAコースを受講してるエリート大学生」とどちらが創造性がすぐれているかを比較するテストした。
被験者は以下の通り。
●大学生: ペンシルバニア大学ウォートンスクール、コーネル工科大学のMBAの学生。
●AI: chatGPT-4。
テストは新商品のアイデアを出すこと。
●テスト課題
下記の条件で新商品のアイデアを考える。
・ターゲット 大学生向
・デジタルコンテンツでない物理的な商品
・販売価格50$以下
●回答の収集方法
・大学生のアイデアについて
ビジネススクールの生徒にできるだけ多くのアイデアの提出を依頼
・chatGPTのアイデアについて
chatGPTが考えたアイデア(学生に与えた課題と同じ課題)。
chatGPTが考えたアイデアその2(学生に与えた課題と同じ課題+高評価だったアイデアの例を提供)。
テストの結果がどうであったか。
この結果をアイデアの「数」、「コスト」、「質」の観点から分析した。
アイデアの量
最も単純に優劣を考える基準として、どれだけの量を一定時間に出せるかを比較した。
結果は下記。
学生 15分で5アイデア
chatGPT-4 15分200アイデア
圧倒的にchatGPTの勝利です。
アイデアの量産についてはchatGPTが40倍優秀です。
コスト
1つのアイデアを出すのにかかるコストを比較した。
大学生のアルバイトの一般的な時給を3000円として、chatGPTはchatGPTの利用料で計算した。
商品開発プロ 20アイデア/1時間 時給30$ 1.5$/1アイデア
chatGPT-4 800アイデア/1時間 API料金20$ 0.025$/1アイデア
これも圧倒的にchatGPTの勝利です。
chatGPTが100倍のコストパフォーマンスです。
アイデアの質(その1-購入意向の平均点)
すべての商品企画案を実際の大学生にアンケートし、購入意向を%で回答してもらった。
学生の案 平均購入率40.4%
chatGPT-4 平均購入率49.3%
chatGPTが優秀との結果ですね。
アイデアの質(その2-購入意向率ランキング)
商品企画というのは最もすぐれた1案を商品化するのが一般的かと思います。その意味でイマイチな案が100個あるより、秀逸な案が一つあることの方が価値があると考えます。
そこで、企画案それぞれに対して、大学生の購入意向度の高い順にランキング表を作成した。
この結果がアイデアの質の判定に最もよい基準かと思います。
この結果
1位はchatGPTで、1~17位はchatGPT-4が独占。
ベスト42のアイデアのうち学生の案は4つだけ。
ということになった。
この視点でもchatGPTの圧勝です。
調査結果についてのまとめ
この結果はchatGPT(=AI)がアイデアを出すことにおいて人間より優れていることを示しており、そのことは「創造性」についても優秀であることを示唆しています。
一般的に「創造性」については人の方がAIより優れていると言われることが多いです。しかし、この結果はそうでないことを示唆しています。
その理由を考えます。
「守破離」という言葉を聞いたことがあると思います。勉強であれ、アートであれ、「創造」は既存のものを「模倣」し、独自性を加えることで生み出されるという考えです。
ネットワーク上のあらゆる情報を一瞬でトレースしてしまうAIは「模倣」はとても得意です。となると、「模倣」が得意なAIは「創造」も人間より優れていることも納得できると思います。
将来、人間が行う知的作業はすべてAIやAGI(Artificial General Intelligence)にとって代わられる、そのような時代がもうすぐです。
「人間は考える葦である」という言葉があります。
この言葉は「知性」や「創造性」が人間の存在意義の一つであると語っています。
しかし、AIに「知性」や「創造性」を追い越されるのも時間の問題です。そんな時、人間がどのように尊厳をもって生きていくのか。これは大きな課題だと思います。
そして、その時はほんの数年で来てしまいます。
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