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SonicBoom Vol.7 「次世代のeコマース=AGIコマース」の楽天グループの事業戦略を勝手に考えてみた。

ざっくりまとめ
AGI(Artificial General Intelligence)と呼ばれる進化したAIが登場するとAGIが自らの判断で商取引を行うようになります。
このことをAGIコマースと呼びます。
eコマースがAGIコマースとなることで、市場規模も莫大に大きくなります。
その時に楽天グループはどうすればAGIコマース時代の覇者となれるのかを勝手に考えてみました。
※「AGI」などの用語の説明はこのリンクを参照ください。


前段(AGIコマースの基礎知識)

この記事は「次世代のeコマース=AGIコマース時代」の楽天グループの事業戦略を勝手に考えてみた」という記事です。
前提として、AGI(Artificial General Intelligence)、AGI社会、AGIコマースについての知識が必要なので、簡単に説明します。
●AGI(Artificial General Intelligence)とは
AGIとはArtificial General Intelligence(=人口汎用知能の略称)のことで、人間が可能なあらゆる知的作業を理解・学習・実行することができるAIのこと。
ドラえもんのように人間のアシスタントをしてくれる存在として期待されています。
●AGI社会とは
AGIが人間の代わりにあらゆることを代行してくれる社会です。
●AGIコマースとは
人間の代わりにAGIが買い手・売り手として取引するeコマースのことです。

下記の2つの記事で、AGI社会についてとAGIコマースについて記事化していますので参考に読んでいただければわかりやすいと思います。
SonicBoom Vol.5 AGIインパクト AGIが変える経済・社会(https://note.com/muarata/n/n629ad7c5543a)
SonicBoom Vol.6 AGIコマースとは(AGI時代の新しいeコマース)
(https://note.com/muarata/n/nf9b6ad197f9c)
ぜひ、ご参考に読んでいただければと思います。

AGIコマースとはどのようなマーケットなのか

まずは、簡単におさらいです。
前述した2つの記事に記載してあるので、簡単に記載します。

AGIコマースの対象はB to C取引だけでなく、川上から川下までの全流通過程が対象になると思います。(実際には流通が中抜きされるようになるかも知れませんが…)
・川上~川下まで(垂直統合)
 「原材料→製造→卸・流通→小売り」この全ての取引がAGIコマースで取り扱われます。
・世界規模の取引(水平統合)
さらに、言葉の障壁がなくなるので、世界的なグローバル取引になる可能性もあります。
貿易手続きなど複雑なルールに基づく取引や多言語間の取引はAGIの最も得意な分野です。国際的な物流体制が後追いで追いつく形でAGI取引が発達すると考えます。
こう考えると、現存するすべての取引がAGIコマースの対象となる可能性があると考えます。

川上~川下まで、そして全世界の取引を取り込むとなると膨大な規模になります。
●AGIコマースの実現する時期
 2027年ごろ(私の主観的予測で根拠はありません)
●AGIコマースの市場規模
 52,000兆円+行政支出分の途方もない市場規模
全世界で販売されているすべての商材がAGI取引の対象になり、その市場は52,000兆円以上になると考えられます。

AGIコマースをどう作るか

AGIコマース形成に必要なこと

AGIコマース市場を形成するのに必要なことを考えてみます。

AGIコマースを成立させるためには、4つのことが必用です。
○AI TECH (AGIを適切に開発できるAIの技術)
○市場機能 (市場の運用を円滑に行う能力)
○FAKE対策 (AGIや取引の信用を担保する機能)
○web3の技術 (市場機能とFAKE対策を支える基本技術)

1-AI TECH (AGIを適切に開発できるAIの技術)
当り前ですが、まずはAGIを開発して提供できる技術が必用です。
2-市場機能

AGIが自らの判断で取引できる環境が必要です。
・自主的判断で取引が可能なAGIが存在
・売り手AGIと買い手AGIが取引交渉するためのプロトコルがある。
 (取引のデータ連携のルールとシステムが適切に動作している)
・売り手AGIと買い手AGIが参加する市場がある。
このような市場機能が必用です。

3-FAKE対策
AGI社会にはFAKE問題が必ず発生します。
AGI市場でのFAKEとは、参加しているAGIが本当に存在するか、個別の取引が本物かどうかです。
そこで、取引に参加するAGIの信用や個別取引の信用が担保されることが必要です。
・サプライヤー、バイヤーの出自と過去の取引情報の開示
 (取引情報=SoulBand Token(SBT)として全履歴がチェックできる)
・サプライヤー、バイヤーのAGI信用格付け
・取引情報の公開(価格公開
 =すべての取引情報を価格・数量などの点で公開)
・取引エスクローシステム
・取引保険(FAKE問題に遭遇した場合の補償)

4-web3の技術 (FAKE対策に有効なweb3の技術)
web3を実現する技術には偽名経済を機能させるための技術が蓄積されている。
AGI取引は偽名経済と同様と考えられます。
web3の技術をベースに開発することが早道です。
・ブロックチェーン
 市場での取引情報の記録・開示
・zk認証(ゼロ知識認証)
 AGI自体の固有名詞を明かさないで記録できる仕組み
・暗号通貨決済
 暗号通貨決済のノウハウはFAKE問題にも対応できます。
 また、暗号資産での決済、デジタル通貨での決済など多面的な決済方法を提供する意味でも重要です。

AGIコマースの成功の条件

AGI市場は同時多発的に世界中で勃興すると考えます。
多くのAGI市場が合従連携・吸収合併などを繰り返し、いくつかの市場に収斂されると考えられます。
その中で生き残っていくのはどのような市場なのでしょうか。

●結論 AGIのパフォーマンスを最大化する市場が勝者になる。
    =マージン率、スピード、情報公開、FAKE対策
    =市場の品質

●理由 AGIは短期取引で最大のパフォーマンス得たいから。
 1-AGIは企業グループとか、長期的なつきあいで相手を選択しません。
 2-サプライヤー(≒取扱商品)が多いこと、バイヤーが多いことは最良のパフォーマンスをあげる一因ではあるが、決定要因ではありません。
なぜなら、BOSSへの報告に取引条件の比較を求められた場合にAGIその取引を行った理由を説明する必要があるからです。
つまり、取引の正当性を説明するエビデンスを用意しなければなりません。
その時に重要なのが、基準値となる信頼できる価格情報です。
信頼できる数値を提供しているマーケットには参加しつづけます。
しかし、一方、スポットで標準偏差からはずれた商品(価格が異常に安いなど)があればその取引も行います。
そうしながら利益を最大化する取引を実行します。

市場づくりの具体的ステップ

下記のステップで実現に向けて準備できます。
・準備段階 フィージビリティスタディ~POC検証
 例) 仮想のAGIキャラクターを用意し、仮想的に取引をさせてみる。
  AIが暮らす街でマーケティング 
  (https://note.com/muarata/n/n6084f149a459)
・初期プロトタイプマーケット開発
 楽天グループの内部調達システムで実施検証
・正式リリース
 楽天経済圏で導入

<ポイント>
AGIコマースはどのような課題があるかが未知。
大切なことは、実際の市場運営を通じ最速で改善・洗練させること。
市場運営を通じて、PDCAサイクルを猛スピードでまわすことです。

楽天グループの強み

楽天グループの幅広いサービスとノウハウが強みです。

楽天グループの幅広いサービスが、AGIコマースの基礎になります。

楽天グループのノウハウ
1-買い手・売り手の囲い込みと運営力

 a)楽天経済圏を保有していることのアドバンテージ
 ・大量の顧客
 ・大量の小売店
   これを活用しAGIネットワークの基本が作れる。
 b)楽天AGI経済圏の強み
 金融~小売りまであらゆるサービスが提供されている。
 市場を横断したAGIマーケットの形成のノウハウのアドバンテージがあるはずです。
2-市場運営力
 売り手・買い手双方のニーズを汲んだ市場運営力
3-OpenAIとの提携
 基本的なAIの技術基盤が確保されている。
4-楽天モバイル
 AGI端末のいち速い実現・導入によるノウハウのアドバンテージ。

1~4の施策をすばやく投入し、AGIにとって稼働しやすいAGIマーケットに向けた不断の改善ができること。

サービス戦略
クローズド戦略 or オープン戦略 

AGIコマースのマーケットを構築する上での考え方として、クローズドな形式とオープンな形式と大きく2通りの戦略があります。
どちらを選択するかでビジネスの作り方が変わってきます。

クローズド戦略

現在の楽天市場のようなビジネスモデル。
AGIコマースに参加するにはAGIコマースに登録してもらい、参加料を徴収しつつコマースしてもらう。
参加者視点で考えると、市場を離れて独自の活動ができない。
AGIコマースの市場運営の自由度は高いですが、競合者が現れるとスイッチされる危険性が高い。
AGIを囲い込む方式なので、継続的に新しいAGIや市場カテゴリーが参加してくれるかが課題。

オープン戦略

W3C(World Wide Web Consortium)やイーサリウムのように標準化ルールを設定し、参加者はルールを取り入れれば、AGIコマースに参加できる。
参加者視点で考えると、市場との連携を自由に判断し独自活動も可能。
AGIコマースの市場運営度は高くない。競合が現れてもすぐにこのプラットフォームから離れるわけではなく併用しながら検討される。
標準ルールを採用すればだれでも参加できるので多くの参加が見込める。
しかし、参加費用をどのように徴収するかは課題。

まとめ(楽天グループにとってのAGIコマースの意義)

取扱高52,000兆円以上という巨大ビジネスの創出。
世界の楽天としてグローバル企業の1社として登場する契機。

という大きな意味があると考えます。


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