未確認飛行物体

「食事でも、どうですか?」
商店街を歩いていたら、人生初のナンパをされた。
私はつい嬉しくなってしまい、男についていった。私達は寿司を食べた。男は黒いスーツ姿で、七三分けで、背格好は標準くらいで、特徴のない顔をしていた。
「あなたに一目惚れして声をかけてしまいました」
そう男に言われると、建前であったとしても今まで恋愛経験に乏しかった私は簡単に嬉しくなってしまう。
「よかったら、僕の車に乗っていきませんか?」
そのように言われて、いけないことだとは思いつつも私はついつい首を縦に振ってしまった。私ってこんなに軽い女だったのか、と内心自分に少し引きながらも男について行く。
しばらく歩くと男は立ち止まり、
「どうぞ乗って下さい」
と言った。
しかし男がそう言って指を指したのは私が知っている車とは異なっていた。それはお椀のような形をしており、車輪も見あたらなかった。それはオカルト系の本で見たアダムスキー型UFOのような形をしていたのである。
「これが車ですか?」
「そうです。さあ乗って下さい」
そして私は言われるがままその車(?)に乗ってしまった。
「それでは出発しましょう」
そう言って男が操縦席と思われる席に座り、なにやら複雑な機械をいじり出すと車体が宙に浮き出した。やはりこれはUFOであるようだった。
だんだんと地球が小さくなっていくのが小窓から見える。私はどこへ向かうのか。

私は生まれ育った地球に突然の別れを告げた。

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