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西園寺さんは家事をしないけど、無自覚セラピーはしてくれる。

「西園寺さんは家事をしない」4話、ほくとパパの言に偽りなしのルカ最高回でしたね。
わたし、内面があまり成長出来ていないので、こどもの気持ちの方に共感してしまいがちです。
周りの環境やおとなたちが、自分だけを置いて行ってしまうのって、心細くてさみしいよね(と、ルカちゃんに話しかける)
4歳とは思えぬ演技力にわたしも思わず涙。
けれども、このラストシーンもさることながら、わたしは西園寺さんとルカちゃんが一緒に帰るシーンで静かに感動していたのでした……。

大家さんが迎えにくるおうちは変なの?と問うルカちゃんに、西園寺さんは目線を合わせてしゃがみこんでくれて、だけど言葉に詰まってしまいます。
ルカちゃんは、何も言ってくれない西園寺さんに一層悲しそう。
夕闇に紛れてゆく、ほぼリュックが歩いているみたいな、さみしげなちいさい背中……。(ちいさすぎるかわいい)(脱線)
でも、いいな、と思ったのです。
すぐに安心する答えをもらえなかった悲しさも、わかる。
がっかりしちゃうよね。
とっさに言葉が出なかっただけかもしれない。でも、誤魔化したり、話をすり替えたりされるより、よっぽど良いです。
ルカちゃんになにを言うべきかと言葉に詰まった西園寺さんに誠実さを感じて、ルカちゃんが羨ましくさえあったのです。

少なくとも、無害のまわりには、両親含めてそういう大人がいませんでした。もしかしたら多少地域性もあったかも。
西園寺さんとルカちゃんのように「全くの他人」ではないことも起因していたかも。
でも、「どうせこどもの言うこと」「こどものくせに口答えするな」などと上から見下ろされながら育ったことは、わたしは自分自身を価値のない存在だと思うに充分でした。

ルカちゃん、いいなぁ。
ちゃんと目線を合わせて、幼い胸に生まれたもやもやを笑ったり、なかったことにせずに「ひとりの人間」として扱ってくれるおねえさんがいて……。
きっと、ああいう接し方の積み重ねが、健康な自尊心とかを育てるのかも。
西園寺セラピー。
基本的にパワータイプの荒療治セラピーだけど……笑
圧倒的「動」の西園寺さんだからこそ、思慮に沈む偶の「静」の西園寺さんもまた素敵。
わたしも西園寺さんと暮らしたいな。

このドラマは毎週わたしの、絶妙に治りきっていない傷にそっと触れてきます。
家族間のわだかまりや、幼い日の失望、孤立……。
だから、ちょっとだけ沁みて、毎週泣いちゃう。
でも、その後絶対ハッピーな方へ進むのでほっとします。
西園寺さんって、お日様の光を薄く編み上げた優しいショールみたい。
ドラマだからね、などと野暮なことも思いつつ、そして現実のわたしの過去が変わることもないけれど、ほんとにすこーしだけ救われた気持ちになる。
現実はこんなにうまくいかないし、人間はもっと汚いけれど、だからこそフィクションの世界くらいは、現実に寄り添いつつも都合よく優しくあったっていいのですよね。
きっとそれって、祈りなのだろうなあと思うのです。

周りの人間を救ってくれる西園寺さん。
彼女自身の家族関係も、良好になりますように。
かませ荒療治!頼むぞ楠見。

無害

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