「頭の中でゲームを動かす」を会得する
はじめに
テーカン時代に上司の上田和敏氏がよく言っていた言葉に「頭の中でゲームを動かす」というものがありました。
今回はこの「頭の中でゲームを動かす」の説明と、その利点、そしてその会得方法について述べてみようと思います。
「頭の中でゲームを動かす」って?
これは、実際のゲームをプレイせずに、想像でゲームをプレイする事を言います。
将棋で言えば、「頭の中で駒を動かす」に相当します。
この技術は、ゲーム開発でとても役に立ちます。
例えば、あるアイテムやギミックを実装する前に、頭の中でテストプレイして検証する、などです。
実装しないでテストできますから、開発のレスポンスを上げる事ができます。
また、会議の席でこれを行うと精度の高い議論になるでしょう。
どうやったら身につけられるの?
開発終盤のゲームがほとんどできている状態で、新しい要素を追加修正する際のテストプレイで身につけやすいのです。
修正する内容によって得られる好ましい状況を想像して要素を考えて実装する。
想像した通りにならなければ、頭の中のゲーム像と実際のゲーム像に違いがある。
修正を繰り返すうちに、頭の中のゲーム像と実際のゲーム像が一致していく。つまり、ゲームを頭の中で動かせるようになっている。
ただ、この環境にいる人は多くはありません。
そこで、身近なところから「頭の中でゲームを動かす」を身につける方法を考えました。
遊んでいるゲームでやってみる方法
よく遊んでいるゲームで、敵の個性、自分の個性、装備などをある程度把握しているとして、まだクリアしていないステージの攻略法を考える、というのが身近な方法です。
この敵は頭上からの攻撃が有効だから、この装備を使って上昇して〜、というのを思いついたら、頭の中でそのゲームを遊んでみる。そして、そのプレイの状態を想像して体験してみる、という方法です。
その際に、そのゲームの映像が浮かび、コントローラの手触りが感じられれば、かなりこの能力に近づきます。
もしこういう設定が入ったらどうなるか?
そのゲームでこういう設定(アイテムやギミック)が入ったらどうなるか、というのを考えて、それを使ってプレイするとどうなるか、というのをさっきと同じように想像します。
もし、ゲームが異常に簡単になってしまったり、全く役に立たなくなってしまったり、とプレイする様子が思い描かれたら、成功です。
そう。
こういう風にプランを考えて、頭の中で動かして、そのプランの有効性をテストするんです。
ゲームを作っているのだったら
ゲームの仕様の実装を行う前に、その仕様がどのように反映されるかを頭の中で考えます。
実際のコントローラを握るなどして、想像の画面を思い浮かべてこの空想プレイしてみます。
そして、実装した結果と、想像の違いを肌で感じ取り、実装、テストを繰り返してその差を小さくしていきます。
これは、先に述べた「どうやったら身につけられるの?」の開発終盤のゲームと同じ手順です。
おわりに
「頭の中でゲームを動かす」ことができると、ゲーム開発をそうでない場合に比べてより良く行えるようになると思います。
開発されている方の一助になれば幸いです。
宜しければ、ゲーム制作などのクリエーター活動のサポートをお願い致します。