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【中編】 IgA腎症 扁桃摘出日記

前回、指定難病の慢性腎臓病(IgA腎症)で扁桃摘出手術をしたことをお話しました。この話には続きがありまして、実は年に2、3例と言われる術後の大量出血を起こしてしまったのです。

大体の人は傷に白いかさぶたができて、喉の痛みが違和感に変わり、1ヶ月くらいで日常生活に戻ります。ただ私の場合はかさぶたが取れてしまったのか、退院数日で結構な量の出血を起こしてしまいました。そのためわずか3日目で病院へ逆戻り。術前に説明を受けたとはいえ、自分がそうなるとも思わず、結構なショックを受けました。脅かすつもりはないですが、こういう場合もあるよ!という事例を紹介し、これから手術を受ける方の判断材料の一つになればと思っています。(多少エグめの表現もあります、注意!)

■退院3日後の朝...

>突然の出血!
早朝5時。いつもは渇いている喉がなぜか潤っている感覚。こんな早くに目覚めるとは、と思いつつ体を起こすとようやく異変に気付く。出血だ!慌ててベッドから出てティッシュに血を出しながら冷凍庫の保冷剤を喉元に当てる。氷を舐めて喉を冷やしながら溜まった水分や血を洗面所で吐き出す。血は飲むと気分が悪くなるから吐き出すようにと言われていた。幸い、2日前の出血と同じく10分程度で収まったため、今日は1日療養と決め込みアイスを食べて再度ベッドへ、グッスリ再入眠。

11時過ぎに起床。と同時に再出血!またか...と思いティッシュで血を拭いつつ、氷を含む。でも今回の勢いは強く、血の混じる唾液というより鮮血がドバドバと溢れる。喉に血の泉が湧き出た感じ。若干不穏な気持ちになるも、ひとまず保冷剤を新しく変えて血を吐き出す。氷を含もうとしても血の勢いが強く、すぐ口の中が血液でいっぱいになってしまう。ティッシュでは足りない。洗面所に走り血を吐いては水で流し、口に血が溜まっては吐くという行為を繰り返す。

>焦りと困惑...
やがて血の量も多く、吐き出す間隔も短くなり、この辺りから焦り出す。洗面所から離れられなくなり、出血から20分ほど経過したあたりで危険を感じて病院へ電話。出血のせいでうまく喋れないものの状況を伝え、すぐに病院で処置をすることに。お薬手帳、保冷剤、ボックスティッシュなどを慌ててカバンに詰め込み、家を飛び出す。(あの時、普段飲んでいる薬をまとめて入れたのはその後に起きることを予感していたのか...)

普通に歩けるので救急車を呼ぶのは...と思うものの、吐血しながら電車に乗るのは憚られたのでタクシーを探す。こういう時に限ってタクシーが捕まらず、ようやく5分ほど待って乗車。その間も路上で血を拭い続け、すでに口の周りはティッシュの摩擦でヒリヒリと痛み始めた。

病院へ到着し、すぐ耳鼻科へ。その頃にはある程度出血は収まっていたが、体力を消耗してグッタリ。少しあって診察室へ呼ばれる。喉の奥を見てもらい止血薬を塗ろうとするものの、出血はまだ多く、嗚咽もあってうまくいかない。定期的に膿盆(半円型のトレー)に血を吐き出す作業が続く。口に異物を入れられ、喉元を刺激されることで疲労も重なる。。局部麻酔をして止血薬を患部に塗ると、ようやく出血が治まってきた。

>突然の恐怖体験...
ホッとしたのも束の間、だんだんボーッとして寒気がしてくる。途端に視野が狭くなり意識が朦朧とし始める。「やばいやばいやばいやばい...!!」反射的に声を上げる。後から聞いたのだが、これは血管迷走神経反射というもので、過度なストレス状態にさらされると副交感神経が優位になり、血圧や脈拍が下がり失神するという生理反応らしい。すぐに医師が私の上半身を倒し、足を上げる対応してくれたおかげで失神に至らなかったが、実際に経験すると結構な恐怖だった。

言葉にならない声を出しながら「今死ねない!こんな所で死ねない!」と思った。でも「これでは死にませんよ」と医者に言われる気がして言わなかった。こういう時、人はなぜか冷静。

止血作業が終わり心身ともに落ち着いた頃、医師から入院を促された。今後も出血するリスクがあるので病院で様子を見たいとのこと。確かにこのまま帰って翌日またタクシーで運び込まれるのは嫌だった。様子見も2〜3日程度だと思い、承諾。その時はこれから何が起こるのかわからず、ただ普段の薬を持ってきてよかったな、などとと呑気に思っていた。

後編へ続く。


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