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TomoPoetryー友野雅志の詩

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日々書きためた詩の中から、noteスタートしてしばらくしてからの最近のものをのせています。それ以前は、下をご覧下さい。   …
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2023年2月の記事一覧

語ってほしい、ユーリー(ユーリーのはなし②)

語ってほしい、ユーリー(ユーリーのはなし②)

朝 わたしのとなりはびっしょり濡れている ベッドからのびるのは 青い歴史の時間 ユーリーは イルカのように 星を叩き飛んでいった あたたかい水のながれる ふるさとへ あおい筋の カレンダーを織ってもどして きみのほそい今日の呼吸を 深く吸う 藍色の星の いのち わたしは要らないのか もういちど訊く わたしは要らないのか 海が泣いている だれにも読めな

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TomoPoetry、ユーリーのふるさと

TomoPoetry、ユーリーのふるさと

** ユーリーの包帯の上下は 汗ばんでいた 白く、青く、ピンクに ユーリーのふるさと 南太平洋の砂浜のように 青いシーツは ひかり、反射している ユーリーの過去の恋 誰も握らない指 ユーリーの胸から取られた 肉のかたまりは わたしだけが見た ユーリーの恋人も 小さな子どもも見なかった 銀色の皿で それは語っていた わたしはユーリーと生きた ユーリーは

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天に向かってうたう

天に向かってうたう

きみの肉体は やぶれた皮膚ともろい骨 のびきったロープのような管でできている 小包み紐のような 四肢とかわいた内臓には 化石のような 蛇がかわいて 絡みついている あるき始めて数千年 鳥を食べた 鼠を齧った 雪をしゃぶった 風を舐めた 低い音やビブラートで あれは何年まえだ 背に女がぶら下がっている 乾いたまま 首には小さな腕が巻きついている ときに

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