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TomoPoetryー友野雅志の詩

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日々書きためた詩の中から、noteスタートしてしばらくしてからの最近のものをのせています。それ以前は、下をご覧下さい。   …
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2019年12月の記事一覧

あたらしい笛

あたらしい笛

管のなかを
わたしが生まれる前の風が吹く
フルートのような欲望と
土の器のような
しずかな寝息
散水車がときどきはしり
つまった排水管が破裂する
聞いたことがない和音

わたしの空に
あたらしい笛が鳴る
風を止め
星のまわりに熱を込めて
わたしの生を素通りして
あたらしい笛が鳴る

つよい冷たい視線と
空を凍らせる声
見たことがない未来と
記憶されない過去が
布団のなかで
風がすぎるたびに
かなし

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しあわせってやつ

しあわせってやつ

しあわせってやつはながい脚をもっているすわるには脚もかたいお尻もじゃまであるだから見たことがない父はそう言った徹夜続きのくぼんだ眼でまた ひとりで泣きながら枯れゆく花に眼を向けれない孤独のなかでだから わたしはしあわせという音は知っている世界がよく見えない時しあわせだった赤ん坊の声をきく時しあわせだったはじめて触れるものにキスする時しあわせだった父のしあわせそして かなしいことにそれはわたしのしあ

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