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スリルミー(新納×田代)を配信で見ました

【※ミュージカルスリルミーのネタバレを含みます※】

5/30 17:00より配信の新納彼×田代私の公演を見ました。
当初は大阪公演のチケットを取りウキウキとしていたのですが、このご時世で中止となり、配信でなんとかありつけた公演でした。

この作品は実際にあった殺人事件「レオポルドとローブ事件」を元に作成されたミュージカルである。


https://ja.m.wikipedia.org/wiki/レオポルドとローブ


作品は一台のピアノと彼と私二人のキャストで繰り広げられる。


この記事には表記揺れや専門用語がある。説明場仕方がなかったので説明しておくと
新納慎也=新納彼=彼
田代万里生=田代私=私=レイ
伊礼彼方=伊礼彼
いれまり=伊礼彼と田代私の組み合わせで演じられたスリルミー。CD化している。
にろまり=新納彼と田代私の組み合わせで演じられたスリルミー。残っているのはゲネプロ映像のみ。

本公演は3ペアの役者で行われ、私が見たのは新納慎也さんと田代万里生さんのペアであった。このキャストは初演に出演したペアで、映像化やCD化もされておらず「伝説のペア」と化していた。
新納慎也さんと田代万里生さんのファンで見ない訳にはいかなかった。

私は伊礼彼×田代私のCDを持っており、新納彼×田代私はYouTubeのゲネプロ映像のみの履修である。



以下は観劇中に走り書きしたメモと、それに関する解説である。整然とした感想を求められているのであれば回れ右していただけると幸いだ。

老万里生と若万里生の印象の差がすごい

開幕一番の裁判のシーンと、バードウォッチングのシーンの私の差がすごい。いれまり(伊礼×田代)ではこんなことは無かった。

セリフが以前より走ってるのにキャッチボールが成立している

ゲネプロ映像からの感想。とにかくセリフの流れが今回は速かった。キャッチからの送球がお互いにバランスが取れており結果的にセリフが滑ることなく届く。お互いへの信頼の賜物だろう。
セリフが体内にしっかり根付いているから、テンポ感が速くても「上手い」だけにならないのがすごい。ストーリーの破綻がない。

万里生さんの真っ黒な目が濡れているのが印象的

裁判のシーンからずっと万里生さんの真っ黒な目が濡れていた。それでも前を見据える。

新納ソロの万里生さんの顔!
これがシンクロってコト……!?
歓びに満ちたにろまり

M4 やさしい炎 のシーン。新納さんに抱かれる「私」の安堵の表情と、にろまりの堪らなく気持ちよく演じられていることの喜びをなによりも感じた。「火の粉はじけて……」のユニゾンの安心感……!「赤く赤く」で「彼」に「私」が背を向ける立ち位置になるが、同じ顔をしていた。シンクロ。恐ろしかった。

ふくよかな新納さんの表現
対等な立場 物理的な舞台セットの効果(タイプライターが下)

M5 契約書2 
全体的に新納彼は人間らしい。私が伊礼彼を聴き続けていたからなのかもしれないが非常に情緒がはっきりと描かれている。この曲が一番それが明確だった。そして暴力性が低い。話が通じそう(?)
タイプライターの配置、意識的に段の下に置いていたよね?段差が意識的に配置されているなというのはここで感じた。

「その場合」すき

M5契約書(その3)の「その場合」の音階が美しくて好きという話だけです。

重なるセリフが増えてる
新納彼うれしそ〜〜〜
「正式な契約だ」の前のユニゾン、いいな
あ〜〜〜〜〜身長差のなさも好き

同じくM5の契約書(その4)
新納彼が田代私にセリフをかぶせることが多かった印象。それがあまり暴力的に聞こえなくて「昔馴染みの相手に話すテンポ感」のような感じで心地が良かった。新納彼がとてもにこにこしていた。
このペアはテノールとバリトン(だと私は認識している)が、ユニゾンの相性はなんなんだ?混じり合わない声質なのにパワーバランスが取れていて聴きやすい。対峙するシーンはそれがとてもはっきりしていた。
にろまりは身長差があまりなくていいね……それが前述した段差の演出にうまく絡まってとても良い。

気高い盗人……
「今度は僕の番だ」の詰まり方……!
「なんのスリルもない」の人間味……切羽詰まり方がお互いに支え合っててすごい。彼も人間だ。
私が彼を抱きしめる「スリルミー!」のシーン、構図が美しすぎる。こんな偶然あっていいのか。

空き巣のシーンからM6のスリル・ミー
いれまりの印象は、「自分を好いてる人間なんて適当に扱っていい」だったのですが、にろまりはものすごく「共依存」だ。
「今度は僕の番だ」のセリフ回しはかなり衝撃だった。たどたどしくて追い詰められていて。対して彼は彼で「なんのスリルもない……!」で非常に悔しそうである。猛烈な孤独だ。にろまりのスリルミーは二人の孤独のお話だ。
田代私が新納彼を抱きしめるシーン、多分構図が黄金比だったと思うんですけど、文句ありますか?ないですよね?信じられないくらい美しかった。こんなに美しいものが舞台という一瞬の出来事に存在していいものか…………!
やはり今回は、新納彼の寂しさ、田代私への執着のようなものを感じた。こんなに彼の寂しさを感じたのは初めてだった。

少年新納慎也にっこにこ
より台詞っぽい歌詞回し走る
「誘拐する?」のセリフの意味が全然違う
「誰か」が音に載っていない 興味無さそう

M7計画
ここが一番独特であった。新納彼、弟を殺すことにノリノリである。にっこにこ。
ひたすらなレチタティーヴォ。ほとんどセリフ。「やさしい炎」のロングトーン多めの曲との対比が素晴らしい。耳がいいのだろうほぼセリフなのに音が合っている。
田代私の、伊礼彼に対しての「誘拐する?」のセリフは「誘拐でもする気か?笑」だったように思うが、新納彼に対してはもっと深刻な「誘拐する?」が田代私から出ていたような気がする。
弟を殺せなくなるとしょんぼりする新納彼。正直殺人への興味はここで途切れたのか?親父の愛への以上な執着。田代私は共犯者でしかない、恋人では全くない。

包み込む彼⇔身を委ねる私
森=Geistの世界 霊、精神、肉体を除いたもの
ハウルの動く城のような時間の行き来

M8戻れない道
この作品の中でリプライズもあるので象徴的な歌だと言えるだろう。
急に考察じみてきたが、「森」というとヨーロッパでは「人間以外の場所」である。Geist(ガイスト)精神、霊、神、恐ろしいもの等など。
この作品の中で分岐点となるシーンでこの曲が流れるのはとても象徴的だ。ニーチェの思想「超人」に近づこうとすることをも象徴しているのではないか?
彼が私を抱き締めるシーンがよく見られるが、抱きしめられた田代私はうっとりと安心をしている。ここの対称関係は今後よく見ておきたい。
ハウルの動く城でソフィが老婆から少女へと変化したように見えるシーンがある。スリルミーの中にもそういった、若い私の情熱を、囚人である老人の私が取り戻すシーンがよく見られた。

パジャマゲームの声が出てるねえ〜〜☺️テノールチック
「降ろしてあげるから」のライティング天才
「僕たち友達」も手にライティング
絶対レイにかけねえ声をだすな!!!!

M9スポーツカー
子供を車で誘拐する際の彼の演出……!照明があまりにも意図的で息を飲んだ。
「降ろしてあげるから」で顔にライトが当たったかと思うと、ライトは鍵を持った手に移り、「僕たち友達」という歌詞が入る。このライトは子供の視線だ。
あと、レイ(私)にも優しくしてあげてネ……。

赤ライト!踏み越える一線

そこ光るんだー!!!!という単純な驚きがあった。ありがとうホリプロ……ありがとうホリプロにお金を払ってくれたみんなたち……。車の描写と相まって赤はブレーキのランプの色だなあと考えていました。ここで彼らは一線を踏み越える。意識的に。

超人のユニゾン!!!向きがおなじで聞いてて気持ちがよすぎる

彼らの哲学の癒着

超人と認めた相手としての私
「過ごそう〜〜!」のライティング考えた人天才。フロントのライトじゃん……。

M10 超人たち
「超人であることを証明したんだ〜」のユニゾンはどれだけすばらしかったことか!!!!!彼らの意志の向きが揃っていることでここで2人のユニゾンは完成する!肝が据わってる!心で拍手喝采だす!
そしてこのユニゾンを通して、新納彼は田代私を「同じ超人として認めている」「対等な存在として尊敬までしている」ということが感じられて、そのことはいれまりとは異質だった。
「過ごそう もう戻れない」の歌詞のシーン、二人にライトが当たる。これは多分意識的に車のライトのようにしている。天才か。照明班に天才がおるぞ。

脅迫状ブレスの取り方が揃ってるんだな……気持ちよすぎ

M11脅迫状
これは神技だったからもっかい見て欲しい(無理)
ブレスが、完全に合ってて、こんなの簡単に出来ないんだよ出来てるミュージカル俳優少ないよ……。今作の神技ランキング1位です。

「見殺しにはしないよ」の意味合い〜〜

このセリフ、にろまりといれまりで明らかに意味が違った記憶があるけど思い出せないので誰か教えてください。

「いいな、切るぞ」セリフ……ピアノ凄すぎん?
彼のじわっと焦り……

新納さんの彼はとにかく人間くささがすごい。激しい感情表現より細かな揺れ動きが見てとれて震える。いれまりはもっとサイコパスだったように思う。

にろデレ〜

新納彼、なんかすごいデレてましたよね。血のサインの所とか。でもこのシーンのこの感想に至った動きを覚えてない。くやしい。

白色電球ぽいライティングいいわね……
悲しみと喜びの間の表情、えっぐ

取調べの白色電球も明確だったね……照明すごいわ……。
私にとっては喜びであるけれど、喜びを見せられない悲しみのような表情、すごい。というか、田代万里生さんの顔芸と言っていいような百面相すばらしかった。

ないている万里生、段差の作為
瞬きのない万里生さんこわすぎる

階段を彼が降りてきて、その下に私が三角座りをしているシーン。
万里生さん瞬きしてなくない!?気の所為!?めっちゃこわかったんですけど。
このシーンも段差という概念が明確でよかったですね。

人情の新納
「死にたくなーーーいーーー」

拘置所のシーン。先程万里生さんの「百面相」と書いたが、実際心が揺れ動きまくってるのは彼の方で、このシーンはとにかくそれが爆発しているシーンだった。

揺れる彼と揺れない私

淡々と終身刑を喜ぶ私。田代私の落ち着き、愛が重くて好きです。愛とよんでいいのだろうか。

お互いに対する信頼感、激情を失う彼

にろまりはとにかく信頼感のコンビだった。

「スリルミー……」優しすぎ……

もう何も言いません。

一度しか観劇ができていないので、間違っている部分があったらすみません。スリルミーをやっと、捕まえることが出来て、私は感激しています。存在してくれてありがとう。




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