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チャイコフスキーの交響曲第五番

  今から一週間後には、県内のアマチュアオーケストラ団員(のうち都合がついて参加したい人)が一同に介し、チャイコフスキーの交響曲第5番を一緒に練習するという「オーケストラクリニック」が控えていた。しかし彼は練習はおろか、譜読みすらしていなかった。いくら音符が少な目で、音域も無理ないチャイコフスキーとはいえ、移調して吹く時点で、オケに慣れていない彼には初見演奏不可であった。せめて、音を頭の中に入れておかないと。たとえ曲はよく知っていたとしても、トランペットの譜面(音)だけ抜き出して聴いたことはないので、譜面がないと全く吹けません…。
仕方ないので、彼はお気に入りの動画(小泉和裕氏指揮の神奈川フィル)を視聴しながら、譜読みすることにした。楽譜はin A,楽器はB♭管なので楽譜の音から半音下げて吹くことになる。画面中のトランペット奏者はC管を使っているようだ。それで彼は画面中の奏者の指遣いを見ないように気をつける。でないと、混乱したり、いざというときに間違えるからだ。
  それにしても四楽章通しで50分位の曲なので、譜読みに時間がかかる。トランペットの出番だけ確認するだけなら、動画をとばし飛ばし視れば良いのだが、それが難しい。
  ちなみに今年のクリニックの主幹団体である凸型フィルハーモニーはこの曲をやったことがあるので、軽い気持ちで全楽章取り上げることにしたらしい(本当??)
楽譜は同じチャイコフスキーの次の交響曲(六番悲愴)とは違い、素直に書いてあるので読みやすい。読んでいるうちに、彼は頭の中ですべての音符の左横にフラット記号を付けるとスムーズに読める(考えなくても感覚で指が動く)事に気がついた。#がついているところは一瞬混乱するものの、何とかなりそうな気がしてきた。 
   と、こう書いているうちに第三楽章が過ぎてしまった。ワンポイントの出番が真ん中あたりにある。入りを押さえておかなくては。ここだけで三回繰り返してしまった。影譜は書いてあっても、それだけではなかなか追いつけない。
フィナーレに入って、Allegroになると、待ったなし。練習記号Dの五小節目の合いの手の入りがなぜか一拍ズレる。スコアがないので解りにくい。何度も聴き直すもしっくり来ないので、他の動画を参考にすることにした。たまたま出てきた立教大オケの動画(やたら上手い!)。すると問題の部分は指揮者が振っている姿が映っていたのであっさり解決。
速い動きのところは実際に吹いて練習しないとダメそう。それにしてもフィナーレはペース配分を気をつけないと。Moderateになってから出てくるファンファーレ、marciale,energico,〜例によって分厚い弦を突き抜けてトランペットのメロディを立たせないといけない所で失速しないように。以前白鳥の湖で、同じようなところでどうしても音量が追いつかず、ベルアップして対処した記憶が蘇る。でも今回は六人いるからきっと大丈夫でしょう。
とそんなこんなで、簡単すぎる譜読み終了。吹き方や他の楽器との兼ね合いとかは当日で。それにしても本番は自分は一番二番どちらを吹くのか?交代制?2ndの楽譜も読んでおかないと。たいへんだ…でも今日はもういいか……お客さん入れて演奏するわけでもないし…
彼は適当な性格だった。
それにしても、動画でみた神奈フィルの組長石田氏、演奏中の足の開きが豪快です。

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