見出し画像

「戦争にチャンスを与えよ」の備忘録的まとめ

各章のまとめと、全体の感想を最後に書きました。

読んで良かった!と思える本だった。

第1章:自己解題「戦争にチャンスを与えよ」

・中途半端な介入が戦争を長引かせ、平和の訪れを阻止する。平和はやり合って、ズタボロになって初めて訪れる。1944年に何かしらの介入で、太平洋戦争が終わっていたら、今の日本は酷いことになっていた。介入して停戦が決まると、戦後復興がなくなるのだ。
・難民問題も、介入してはならない。中途半端に手を差し伸べるから、難民は現状を維持してしまう。戦争にも難民にも、介入するのであれば相当な覚悟を持って、50年かけてでも問題を根本から解決するまで介入しないといけない。

いじめの問題も同じことが言えるのかもしれない。中途半端に大人が介入するから、いじめる側は自らの過ちに気づく前に、まだいじめ足りない気持ちを残して半永久的に続けてしまう。いじめを無くすには、放置して徹底的にいじめさせて、両者間で解決することを促す必要があるのかもしれない。特に年齢的にも、禁止されることほどやりたくなってしまうしなあ。

第2章:論文「戦争にチャンスを与えよ」

・NATOやNGOなどの、私利にまみれた国際組織が紛争・難民を長引かせる。戦争・紛争を終わらせるには、これ以上の戦闘に対する疲弊感や、完全勝者を作る必要がある。中途半端に介入し劣勢側を援助すると、劣勢側は力を蓄えることをしてしまい、結果長引くのだ。
・NGOは、自らの組織の永続を目指しており、よりメディアへの露出を好む。その結果、戦争難民の支援が中心となり、この支援が手厚すぎることにより、難民は一時的な難民ではなくそこに永住する永続的難民になる。

コロナへの対策も、完全に国民の移動を封鎖するか、何も対策せずに感染しまくる状態にするかのどちらかが良いのだろうと、ここまで読んでて思った。中途半端なコロナ対策が、感染を長引かせるのかもしれない。

第3章:尖閣に武装人員を常駐させろ

・尖閣諸島に置ける中国への日本の姿勢には曖昧さが残った。有事の際に備えて、尖閣には先に日本が武装人員を常駐させて、静かな占領をするべきである。
・自衛隊は、訓練ではなく演習をしなければならない。土台である訓練は世界でも高度なレベルにあるが、実戦に近い演習が行われていない。今後に備えて、演習を行うべきである。
・安倍首相は、稀に見る戦略家である。トランプやプーチンとも友好的な関係を築きあげている。日本が抱えていた様々な問題や課題を、長期政権によって解決へと導くであろう。

第4章:対中包囲網の作り方

・大前提、中国は隣国への理解が乏しい国家である。外交担当と物事を決定する機関の連携が取れておらず、十分に理解しないまま外交政策を決めている。このことから、日本は中国へ曖昧さを残した態度を取るのではなく、はっきりとした態度を示さなければならない。
・フィリピンは、歴史上、大衆は反米感情を抱いており、エリート層は親中派だ。また一部には昔のスペインに占領されていた頃の派閥が残っており、親スペイン派も存在する。フィリピンは複雑な内部事情もあり、反中同盟から離脱し、中国寄りになってきている。

第5章:平和が戦争につながる

・平和だと人間の思考は停止し、何も起こらないだろうという方向に意識が行く。それが原因で、有事の際も降伏もしない・買収もしない・援助もしない・先制攻撃もしない 、何もしないのである。そしてそうこうしてる間に自体は深刻化し戦争へと突入してしまう。

第6章:パラドキシカル・ロジックとは何かー戦略論

・戦略は政治より強い。そして戦略の世界には一般常識は通じない。戦略のポイントは「成果を積み重ねることが出来ない」「戦略の世界では矛盾や逆説だけが効果を発揮する」。
・イギリスが勝って、ドイツが負けた理由。ドイツは圧倒的な軍事力、ハイレベルな大学、全てにおいてイギリスを上回っていた。しかし、イギリスには忍耐力があった。イギリスが恥をかいてでも外交を進め、強固な同盟を結んだのである。イギリスのエリート達は、ラグビーやウォール・ゲームなどから暴力を学ぶ。この経験から戦略を学び、外交で強国を打ち勝つのだ。

第7章:「同盟」が全てを制すー戦国武将編

・武田信玄は完璧な戦術家、徳川家康は最高の戦略家、その両方を兼ね備えたのが織田信長であった。

第8章:戦争から見たヨーロッパ

・非戦闘化、近代化により、ヨーロッパでは少子化が進んでいる。もともとヨーロッパは生命の法則「男は戦いを好み、女は戦士を好む」という文化であった。しかしそれが、近年なくなりつつありその結果少子化が進んでいる。アメリカでは、銃規制反対派にこの文化が根付いており、逆に銃規制賛成派では少子化が進んでいる。
・ヨーロッパが他地域より奏でた理由は、多様な文化が存在し、それぞれがしのぎを削っていたからだ。しかし、それもEUによる均一化などにより、競争を止め、衰退をもたらしている。発展には戦争が必要なのだ。

第9章:もし私が米国大統領顧問だったら

・国内の政治体制が整うまで、大統領の権限は大きく制限される。また、プーチンを批判するのではなく、戦略的な観点から取り込むのが良い。今日の敵は明日の味方。
・1000年以上続いた歴史上最も存続した国家、ビザンティン帝国から学ぶこと。平和が欲しければ、戦闘に備えること。外交を徹底的にしろ。

第10章:日本が国連常務理事国になる方法

・日本がこれまで、国連常務理事国になるために提案してきたプランは、誰も欲さないもの、要は誰にもメリットがないものであった。日本は、インドとの共同管理を狙うべきである。日本は大国の狭間で生きてきた特殊な国家だが、インドもまた他国から支援を受けられる数少ない国の一つだ。そのインドと組むことで、様々なところでメリットや強制力が発生する。


======

ピークが1,2章にあるように感じたが、新たな視点が学べた良本であった。戦争を紐解く上で、そもそもなぜ戦争が起こるのか、戦争とは何か、戦争では何が起こっているのか、戦争がもたらすもの、このように階層分けて学ぼうと思っているのだが、この本はそもそもなぜ戦争が起こるのか、について述べた本だった。

戦争は平和をもたらすものであり、平和は戦争をもたらすものである。この本ではそう述べている。

これは、人間の本質なのだろうと思った。

著者はひたすら逆説を述べていたが、確かに世の中は多くの逆説で出来ている気がする。

上手い例えが出てこない、、笑。

ただ、この戦争と平和の関係性は非常に納得いくものだったし、人間と戦争、もっというと人間の発展と戦争は切っても切り離せない関係なのだと思う。

戦争が人類を発展させた。もし戦争がなくなれば人類は衰退するであろう。均一化され競争がなくなったヨーロッパのように。

戦争を肯定する訳ではないが、戦争とうまく付き合えるかに思考を持っていった方がいいのかもしれない。戦争を無くそう、と考えるよりも。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?