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ケフィアを作ってみたら

先日オフィスに来訪があった。
仕事の話をしながら、訪問したの彼女の手荷物にふと目をやった。
何やら白い液体が入ったガラス瓶がのぞいている。

その液体は牛乳のようで、牛乳よりもややとろみがある。
白い塗料と水で溶かした片栗粉の中間のような、何かの液体なのだ。

まず梅雨の時期、無造作に瓶詰め牛乳を持ち歩くわけはない。どんな面倒くさがりでも、せめて保冷の効く水筒にでも入れて歩くだろう。

失礼を自覚しつつ、好奇心のままにその液体について尋ねてみた。

「それって、何に使うんですか?」

すると彼女はよくぞ聞いてくれたと言わんばかりに、この瓶の中身について話しはじめた。

「これはね、ケフィアというのよ。
いくつか気をつければ、ずっと自家製ケフィアを作り続けられるの。健康に良いのは言うまでもないわ。それにね、すっごく、すっごく美味しいの。体にいいことだらけよ。良かったら、ケフィア菌分けてあげましょうか?」

彼女のケフィアへの熱意は、目を閉じて「すっごく、すっごく」と言う表情からしっかり伝わってきた。

後日菌をいただいて早速トライ。

基本のケフィアを作るときの留意点は、実はそんなに多くない。
あるとしても以下の2点くらい。

① 成分無調整牛乳を使用
② 発酵した液体を濾す時にはナイロンの漉し器を使うこと。

手順を簡単にまとめると:

ケフィア菌をビンに入れる (透明だと経過が見えやすい)
   ↓
菌が培養できるように、ガーゼやキッチンタオルで瓶の口をふさぐ (瓶の蓋は使用せず)
   ↓
室温で放置 1日から1日半辺りで様子を見る
   ↓
透明な部分と白い部分が分離するようになったら、硬さを見ながら発酵度を確認
   ↓
全体を混ぜて漉し器で濾す
   ↓
漉し器に残った菌は次の発酵に使用し、しばらく使わなければ冷蔵庫で保存

ナイロンの漉し器を使う理由は、プラスチックのザルは目が粗く、金属製はケフィア菌との相性が良くないそう。

乳製品が消化しにくい人にも食べやすく、ヨーグルトよりも温度管理が面倒ではないという利点がある。市販のヨーグルトに使われている原料の牛乳や甘味料から選びたい人にとっては、手軽で自分好みのアレンジできるのもケフィアの魅力だと言えよう。

ハチミツをかけても美味しいけど、ハチミツの成分がケフィア菌を弱めるらしく、アガペやメープルシロップが相性良いのだそう。

さて、肝心のお味はー

ヨーグルトのような酸味はあるものの、さらりとしていて口当たりがよくスルスルイケる!初心者にとっては馴染みやすい分、食べ過ぎにさえ気をつければ、いいことづくめではないか!

ケフィアの由来を読んでみると、古くから長寿者の多いと言われるコーカサス地方でも食されている伝統的発酵乳とある。そのままいただくのはもちろん、その地方の調理法をもっと調べたくなってきた。基本的を抑えると、豆乳やヤギ乳などでアレンジも可能とある。ワクワク!

増えたケフィア菌を同僚に分けると、早速自宅で作ってみるとのこと。
数日後、「しばらく牛乳のままで失敗かと思っていたのが、翌日しっかり出来上がっていて驚いた」そう。静寂に見えた瓶の中でケフィア菌は確かに仕事をしてくれていたのだ。

「お返しに」といただいた、お庭に実ったというヤマモモのジャムともよく合う。
初夏の爽やかなケフィアとの出会いで、うだる夏も楽しみにさえ思えてきた。



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