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柊家 お料理編

お料理も、ただ、素晴らしい。

さて、お料理の方はというと、ものすごくよいです。
一泊45,000円程度ですが、夕食だけでもミシュラン3つ星の同価格帯の店と匹敵する、もしくは、個人的には、いくつかのミシュラン三ツ星料亭を超えるレベルと感じます。

そのいくつかがこちら。

蟹真丈の煮物椀

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杉板焼

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お料理の盛り付けの美しさはもちろん、お部屋担当の方の、出すぎず絶妙な関わり具合の説明・接客も素晴らしい。

和食の新章を見せてくれるユニバーサルな和食

柊家さんのお料理のすばらしさを一言で表すと、「ユニバーサルな和食」という言葉が思い浮かびます。招福楼さんの研ぎ澄ました静謐な世界観の料理とは、また違う素晴らしい世界観で、いうなれば、より普遍的な自然への感性や五感に訴えることで、日本文化・茶道文化というコンテクストを共有していないあらゆる人々もみんなが日本の自然や、和食が培った食表現を満喫できるように作られた懐石料理です。
味わいのメリハリはしっかりと効かせてあり、大阪の名料亭芝苑で長年総料理長として腕を振るわれた、行楽庵の増田氏のお料理を思い出しました。

夫曰く、「今まで食べた中で一番好きな懐石」とのこと。

世界で楽しまれ、また、日本旅行の目的の一つとして様々なバックグラウンドのお客さんを迎えることとなった日本の和食の、次の姿を見せていただいたような、鮮やかなお料理でした。

お料理も、(絶対わからない)秘密がいっぱい

どの器もデザインも質感もこだわられていて素晴らしいものばかりでしたが、中でも気に入ったのがこちらの漆椀でした。

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写真ではわかりにくいですが、直系20センチくらいありそうな大きな器。

なのに!

私の手にむりなくしっくりきて持ちやすく、この大きさなのに、信じられないくらい軽い。羽でできたよう。
お椀の部分の深さやカーブ、高台の形が完璧に美しく、朱の漆はギラギラした感じがなくとても上品でしっとり美しい。

あまりに素晴らしかったので、お部屋担当の方に、とても軽くて素敵な器ですね、とお話しすると、料理長さんに伝えてくださったらしく、こんなお話をしてくださいました。
「この漆の器は薄い木で作るのに柿渋を塗る工程があり、この柿渋の連想から、秋の今の時期だけお客様にお出ししているとのことです」と。

いや、そんなんさすがに気づかへん。。。。

料理を盛る器選びひとつにそこまで考えているのなら、他にどれだけのこだわりがこの一晩の食事に込められているのか。想像もつきません。

その後、京都の名だたる名店に器を販売している食器やさんのご主人にこのお話をしたところ、
「漆器は、長く使うと中の木の水分が抜けて器がどんどん軽くなる。老舗では、古い漆器を大切に塗りなおしながら使うので、大きさの割に羽のように軽かったのなら、年代物を大切に使い継いだものだったのかもしれませんね。」とのこと。

本当に、一晩の柊家に、どれだけ秘密が込められているのか。。。

料理も空間も何もかも。
顧客に見えないところに、惜しみなく時間と手間を注ぎ込む。
京都の老舗の矜持を垣間見た二晩でした。


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