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雑記:世界の中心で、「メル・ギブソン」と8回叫ぶ

今更というべきか、「ザ・リーサルウェポンズ」という音楽ユニットに出会ってしまった。一日中ずっと彼らの代表曲「80年代アクションスター」という曲を聴き、そしてライブ映像を繰り返し再生していた。

一度聴けば耳から離れないキャッチーなメロディや、アクションスター列伝を紹介しながら思わずクスッと笑ってしまう小ネタ満載の歌詞は何度聴いても楽しかった。ライブ映像をアップロードしてくれているのだが、観客の熱も物凄い。まさか世界的スターのメル・ギブソンも極東の島国で自分の名前がライブ中に連呼されるとは思っていないだろうし、そもそもこのライブのことはきっと知らないと思う。そんなことを思い巡らせていたらまた笑顔になれた。

動画を何度も繰り返し見ていると、何故か不思議なことにホロリと涙が零れ落ちていた。私にはその理由が分からなかったので、突然の涙に自分が一番驚いた。飲みかけた麦茶の入ったグラスを置いて零れた涙を拭いながら、なぜ今自分は涙を流しているのかをしばらく考えてみた。理由は2つほど思いついた。

一つは、この歌がコミックソングの奥深さに気づかせてくれたから。
この曲に限らず、ポンズ(ザ・リーサルウェポンズの愛称だそうです)は様々な名曲の音色、メロディ、作風をオマージュしているところが散見される。キャッチーでどこか懐かしい曲に載せてどこか可笑しい笑顔になれるところが彼らの魅力の一つなのかもしれないと感じた。コミックソングは一見ふざけた曲のように感じるかもしれないが、オマージュ先の音楽や文化に対して深い造詣がなければこのように楽しめる曲は出来ない。(深い造詣があればこそ、賛美も批判も皮肉も出来ると思います)ある意味では、コミックソングはそのオマージュ対象への大きな愛と言えるだろう。

もう一つは、ライブで音楽を楽しむことが自分の人生の中で大きな意味を占めていることに気づいたから。
コロナ禍以降さまざまな形で音楽を楽しもうと多くの方が取り組まれていて、無観客ライブのオンライン配信の増加などはその代表的なものだと思う。遠く離れていても、自分が好きなミュージシャンの音楽を楽しむことが出来るのは素直に嬉しいところだ。
だがしかし、オンライン配信ライブで素敵な音楽に出会う度に、「このライブは生で聴きたかった」という気持ちが胸の奥底から湧いてくる。どんなに素敵な音楽・パフォーマンスがそこにあったとしても、それを生で体験することの喜びはまた別に存在するものなのだ。
先に紹介したポンズのライブでは観客が一体となって「メル・ギブソン!」と8回叫びあっていた。側から見ればなんとも奇妙な光景ではあるけれども、この空間に私も飛び込んで一緒に叫びたいと強く思った。
自分が好きな音楽が好きな仲間と一緒に、自分の好きな音楽を聴いて、笑って叫んで、共にライブを盛り上げてゆくことが、他の何よりも自分の心を満たし元気をくれたことを再確認し、そしてそれが許されずにいること、ともすればライブそのものが批判に晒されてしまう恐れがあること、この先もしかしたらこのようなライブが消えてしまうのではないかという怖さ、そしてこのような"我慢"をゴールのないままだらだらと首を絞められながら走らされていることへのもどかしさと、音楽ライブを軽視されているかのような補償などの社会政策の無さへの怒りなどが浮かんでは頭の中でずっと巡っている。

もし、いつかこの先にポンズのライブが開催されたら、是非ライブハウスに駆けつけて彼らの音楽を生で聴きたい。そしてそれを楽しみにして生きてゆきたいし、そのような未来がやってくることを心から願い、その未来を実現出来る様に生きてゆきたいと強く思う。

早く音楽を楽しめる世に再び戻りますよう。

たくさんのゲーム音楽演奏会に参加して、たくさんレポートを書いてゆく予定です。