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雨の山は大きい

※昔書いた文章を編集し転記しています。

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2019年は何かと忙しかったが、ひと段落ついたため、しとしと降る雨をよそにエクストリーム慰安旅行で秩父へ行くことになった。

人混みとは無縁の時間に電車で秩父に向かっている間、働かない頭は通り過ぎる山々を認識するので精一杯だ。

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だんだんと、雨は山を黒く染め、白い霧は至る所で中腹の輪郭を隠す。

普段なら明確に分かれている空と山を、雨が霧を作り、輪郭をなくしてひと繋ぎにしている。雨の山は晴れの日の山よりも存在感があるようだ。

働かない頭でも感じるその存在に思わず目線を上げ、山頂があるはずの霧を見た。

視線の先には何もないかもしれないし本当に山頂かもしれない。
その山が存在している以上に雨の山は大きかった。



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