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3. GMAT(MBA受験)

GMATはMBA用の共通試験でMBA受験生の学力を測ることを目的としています。非英語圏の受験生のみが受験するTOEFLとは異なり、アメリカ人等ネイティブスピーカーも受験しています。英語力自体を測ることを目的とはしていませんが、当然解答には英語力が求められ、非ネイティブは大きなハンディキャップを負っています。

VerbalとQuantitativeで構成され、それぞれの合計点でスコアが決定します。これとは別にAWAという英作文があるのですが、これはいわゆるGMATスコアとは別途得点が計算されます。私が受験した時はなかったのですが、2012年6月から新セクションであるIntegrated Reasoningが導入されています。IRについてもAWAと同様、得点はいわゆるGMATスコアとは別計算されます。

GMATの特徴の1つとして、Computer Based Test(CBT)である点が挙げられます。問題に正解すればするほど難しい問題が出題されるというもので、逆に不正解を繰り返すと簡単な問題ばかりが出題されます。簡単な問題は正解してもスコアがあまり上がらないため、いかに序盤の問題に正解して、難しい問題を出していくかがポイントとなります。したがって、日本の大学受験等でよく用いられる、難しい問題は飛ばして簡単な問題のみを解くという作戦が通用しません。序盤から1問1問丁寧に解答していく必要があり、本試験でも、時間がぎりぎり足りずに、最後の数問がランダムクリックになるくらいのペースが丁度良いと言われています。時間が余ったり、終盤の問題が簡単に感じたりすることはGMATでは良くないサインであり、終盤の問題が難し過ぎて解けなかったと感じても高得点となることがあるなど、試験後の直感とスコアは必ずしもリンクしません。

GMATで留意すべき事項として、月に1度、年間5回(現在はルールが変わっているはずなので最新の情報を確認してください)しか受けられないという制約が挙げられます。これにより、GMATはいつ受験するのかを極めて慎重に考えなければなりません。TOEFLのように、毎週のように試験を受けて、良い点が出るまで頑張るということができないのです。通常、実力試しは、後述するGMAT Prepで行います。

TOEFLとは違い、原則足切りスコアはありませんが、一般的にはTOP校受験に680点が必要で、700点以上が望ましいとされています。実際にそのスコアに満たなくても合格している受験者はいますが、スコアの低い受験生を入学させると、MBAランキングに悪影響となるため、GMATスコアは合格確率に大きく影響します。多くのスクールで入学者の平均スコアや中位80%のレンジなどを公表しているので参考にしましょう。ネイティブも含めたスコアなので総じて高めですが、特にレンジの下限は必要スコアの参考になるでしょう。ランキングの高い学校ほど必要スコアは高くなります。

(1)Verbal

受験者の言語能力を測るパートです。問題は、SC(Sentence Correction)、CR(Critical Reasoning)、RC(Reading Comprehension)の3種類です。出題順はランダムで、SC、CR、RCが順不同にミックスされて出題されます。

SC(Sentence Correction)
5つの文章から文法的に正しい選択肢を選ぶという形式の問題です。文法問題というと大学受験やTOEICを思い浮かべるかもしれませんが、ネイティブでも間違えるような問題が出題されるため、大学受験等で使用する文法知識だけでは太刀打ちできません。「日常会話ではよく使用するが、厳密にいえば文法的に誤り」「文法的に完全に誤りという訳ではないが文章として洗練されていない」といったことを理解しなければ解けなくなっています。
英語の読解力さえあればある程度解くことのできるCRやRCとは異なり、特殊な知識を有していないと解くことができない一方、設問の文章量が比較的少なく、短時間で解ける問題も多いことから、多くの受験生が予備校等に通うことでSCの得点アップを目指しています。
私はAGOSの中山先生の講座と、YESを早い時期から並行して受講していたため、SCは比較的得意でした。各予備校の評価については、別記事で詳しく記載する予定です。

CR(Critical Reasoning)
設問の文章に対し「最も内容を強める選択肢」や「最も内容を弱める選択肢」を選ぶという論理問題です。私はAGOSの中山先生の講座GMAT Official Guideの自習で対応しました。
出題内容はいくつかのパターンに類型化されます。どのようなパターンの問題があるかは、AGOSの授業で教えてくれます。論理力を問う問題であり、ネイティブにとっても難解な内容であることから、適当に読み流して勘で選択肢を選んでも正解率は上がりません。文章を精読し、内容を理解したうえで解答する必要があります。CRのコツは、とにかく「雑に解かない」ことです。試験本番においても焦りは禁物です。

RC(Reading Comprehension)
文章を読んで設問に答えるという形式であり、TOEFLのReadingに近い内容です。ただし、TOEFLに比べると文章がやや複雑であり、設問も高度です。私はCRと同様、AGOSの中山先生の講座GMAT Official Guideの自習で対応しました。ただし、AGOSの授業でRCに割かれる時間は極めて短時間です。RCはどうしても自習中心となりますが、似通った文章が多く出題され、TOEFLとは異なる頻出単語があることから、Official Guideの文章を精読することが一番の勉強方法だと思われます。
難易度が上がってくると極めて長い文章が出題されることがあります(CBTという性格上、難易度が上がっているという事象自体は望ましい)。序盤であれば、文章を読み飛ばすことはお勧めしませんが、終盤であれば、残り時間を考慮し、段落の最初と最後だけを読むなど、ある程度読み飛ばしてしまうことも選択肢に入れて良いでしょう。

(2)Quantitative

数学の問題です。Mathとも呼ばれます。Verbalでネイティブスピーカーと勝負にならない日本人は、Quantitativeにおいて満点近い点数を稼ぐことが求められます。高度な数学知識は求められず、理系出身者や中学受験・高校受験の経験者には比較的取り組みやすい内容であることから、一般的に予備校に通う必要性は低いでしょう。私も、Math Academy(通称:マスアカ)という教材とGMAT Official Guideのみで対応しました。多少問題に癖があり、典型的なひっかけ問題等もあるので、まずは日本語教材であるマスアカに取り組み、どのような知識を身につけておけば良いか学ぶのが良いでしょう。ただし、問題の傾向が変化してきていることから、マスアカに完全に頼り切るのも危険です。数学によほど自信のある場合を除き、Official Guideの問題も解いておいた方が良いでしょう。数学が苦手でQuantitativeに苦しむ受験生もいますが、予備校等で評判の良いものは聞いたことがありません。なお、昔のMBA経験者に聞くとMathは51点満点が当たり前と言う人が多くいます。私の感覚としては最近は難易度が上がっているため、数学が得意な人でも満点を取るのは難しくなっています。私は理系出身ですが本番は49点と50点でした。

(3)AWA

英作文です。いわゆるGMATスコアとは別にスコアが出されるため、重要性は低いと言われています。4.0点か4.5点(6点満点)とっておけば問題ないという情報もありますが、実際、AWAスコアの合否への影響は不明です(TOP校合格者は4.5点以上が一般的という印象)。
私は、AGOSで全4回の講座に出た後、1か月間ほど何も準備せずに受験したところ3.5点、GMATでは得点に加え自分の分布位置が表示されるのですが、3.5点は下位10%でした。GMATは初回で700点を取得したため、結果的には、AWAのせいで再度受験することになります。AWAなんて無視して良いとも言われたのですが、下位10%のインパクトの大きさに再度受験することにしました。

AGOS以外でAWAの予備校等は利用していませんが、2度目の受験ではテンプレにJackのTOEFL Writing(Independent)のものを使用し、4.5点(下位38%)でした。AWAはArgument問題とIssue問題の2問が出題されるのですが(2012年6月からIssueは廃止、最新情報要確認)、TOEFLのテンプレが使いまわせるのはIssueのみであるため、ArgumentはAGOSのものを使用しました。TOEFL Writingとの違いは、論理的でない文章を書いてはならない点にあります。TOEFLでは、自分の個人的エピソードなどを盛り込んで、強引に文章量を稼ごうとすることがありますが、AWAにおいてはそのような戦略は避けた方が良いとされています。AWAは重要度はあまり高くないので、それほど時間をかけるのはお勧めしませんが、JackではTOEFLだけでなくAWAの添削もしてくれていた気がするので、そのようなサービスを使うのが良いかもしれません。

(4)GMAT Prep

公式HPからGMATの模試が受けられます。本番と同じ形式であり、GMATの5回ルールによりむやみに本試験を受験できないことから、GMAT Prepである程度の点数を出せるようになってから、本試験を受けると良いでしょう。当時、模試は2種類しかありませんでした。ただし、Computer Based Testであり、一部重複はあるものの出題内容は毎回変更されることから、複数回受験することも可能です。何回受けることになるのか分からないので、終了後もあえて解答を見ずに、何度も受験できるようにしておくと良いでしょう。

本記事は以下のマガジンの一部です。


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