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2. TOEFL iBT(MBA受験)

TOEFLは英語力を測るテストですが、日本人の苦手なSpeakingとWritingがあり、難易度はTOEICをはるかに上回ります。また、予備校やカウンセラーに相談にいくと、相談者の英語力の尺度としてTOEFLスコアを聞かれることが多く、スコアを持っていないと「とりあえずTOEFLを受けてきたら。」と一旦保留となってしまうことがあります。したがって、勉強してからなどと先延ばしにせず、可能なかぎり早期に受験しておいた方が良いでしょう。

TOEFL iBTは120点満点(各セクション30点満点)で、多くの学校が100点を足切りスコアとして設定、一般的にTOP校を受験するためには105点以上が望ましいとされています。英語が苦手な日本人には酷ですが、スクール側からすると「最低限の英語力がない=MBAに参加すべきではない」であるため、TOEFLスコアが合否に与える影響は極めて大きく、トップスクール合格にはGMATよりもTOEFLが重要というカウンセラーもいます。

よく聞かれる質問として、TOEFLで100点超えするためには、TOEICでどれくらいのスコアを取っておけば良いかというものがあります。結論から言うとTOEICスコアはあまり参考になりません。英語があまりできなくてもTOEICで高得点を取ることは可能であり、TOEICスコアが900点を超えていても、TOEFLで100点を取ることは容易ではありません。私の場合、TOEICのベストスコアは935点でしたが、TOEFLは初回受験85点でした。

(1) Reading

一般的に日本人が最も得意とされているセクションです。他のセクションに比べ、点数が安定し易いことから、28点以上を安定的に取得できる状態としておくと良いでしょう。高スコア獲得には単語力を軸とした読解力の向上が必要であり、予備校に行く必要性は低い(多くの人にとっては時間の無駄)と思います。頻出文法問題などを理解していればスコアの稼げるTOEICとは異なり、TOEFLのReadingは長文を読みその意味を理解していないと解けないような出題形式となっているため、参考書などで小手先のテクニックを学ぶだけでは高得点を出せません。

単語については、旺文社のTOEFLテスト英単語3800が有名です。例文がなく、極めて覚えづらいのですが、TOEFL頻出単語が網羅されており、覚えられれば、得点力がかなりアップします。Part 1からPart 4まであり、Part 2まで覚えておけば問題ないという方もいますが、私はPart 4まで全て暗記することをお勧めします。個人的な感覚では、26〜27点くらいで伸び悩む人と、安定的に28点以上取れる人の違いは単語力にあると思っています。私は、毎朝最低40~60分程度を単語の時間と決め、繰り返し本単語帳に取り組むことで、最終的にほぼ全ての単語を暗記しました。受験後半に、TOEICは一応受けているものの、Essayなどの準備があるので朝の単語帳はやめていた時期があるのですが、Readingのスコアは緩やかに下がっていきました。このような経験からも、TOEFL Readingで高得点を維持するためにはとにかく単語だと考えています。

単語帳以外の市販の参考書はいくつかありますが、Longman(洋書)が比較的取り組みやすいと思います。Readingの出題パターンを類型化しており、どのような問題が出題されるか参考になります。ただし、本参考書で紹介されている出題文は全く読まず、問題に関連する部分だけ読むという方法は、日本人には難易度が高いと思います。Readingはまず文章全体が表示され、その後、問題と問題に関連する段落が表示されます。たしかに、最初の文章をまず読んでしまうと、問題を解く際に結局もう一度文章を読むことになり、時間が足りなくなります。一方、最後には文章の内容を理解していないと解けない問題が出てくるので、文章を全く読まないのも危険です。私は折衷案として、最初に出てくる全文は無視し、問題の横に出てくる段落を都度読むという方法をとっていました。この方法にしてから時間が足りなくなることはなくスコアも安定しました。良い参考書なのですが、一度読めば分かるので、一通りやればそれで十分だと思います。

単語以外では、National Geographic等のHPを毎日読むことで英文読解力を上げることを勧める人もいます。ただし、他にもすることがたくさんある中で、Readingのために費やせる時間は多くなく、個人的にはReadingのために単語以外に追加で何かをする必要性は低いと思います。GMATの勉強を同時にしている場合は、GMATの難解な英文を精読することが、読解力の向上に繋がります。

(2) Listening

ListeningもSpeakingやWritingといったアウトプット系よりは簡単と考える人がいるかもしれませんが、Readingに比べるとListeningのスコアメイクに苦しむ受験者が多くいます。TOEICのListeningに比べると内容を理解していないと正解できない設問が多く、Reading同様、テクニックで何とかするということができません。Listening力向上にはそれなりの時間を要するため、一定の試験対策をした後は地道な努力が必要です。

Listeningにおいても、単語力は極めて重要です。単語を知らないと、文脈を誤って解釈してしまう可能性が高くなるため、単語力不足は点数が伸びない大きな要因となるのです。実際、Listeningのスコアが伸び悩んでいる方の話を聞くと、TOEFL 3800のPart 3とPart 4は覚えるのが面倒なので捨てているという人が多かったりします。私は、TOEFLで高得点を獲得したければ、単語の丸暗記は避けて通れないと考えています。

単語以外の教材については、私はDelta(洋書)を使用し、繰り返し通退勤の電車の中でリスニングしていました。音声が比較的本番に近く、問題の類型化等も行っており、私が手を出したことのある参考書の中では圧倒的に優れていました。日本の教材は、英語がきれいすぎる、ほとんどが同じ声で聞き慣れてしまう等の特徴があります。Deltaを教材として使用しているWeb TOEFL(eTestPrep)に取り組んでいる受験者も多くいましたが、私は試してもいないので詳細は不明です。

(3) Speaking

英語が苦手な日本人にとっては最大の難関です。他のセクションはいずれも20点台後半を目指しますが、帰国子女等を除き、Speakingで20点台後半を取得できる日本人受験生はほぼ存在しません。Speakingは全6問が出題され、それぞれ、Weak-Limited-Fair-Goodのいずれかで評価されます。6問ともFairだと23点となるため、日本人はまず23点に到達できるかが勝負となります。私は結局、23点に到達することができませんでした(最高22点)。

Writingと異なりテンプレ(Writingのテンプレについては後述)を覚えればスコアを稼げる訳ではなく、発音や流暢さも評価の対象となるため、予備校等でテクニックを学ぶだけでは、良いスコアが出せません。私はまずAGOSのビデオ講座を受講したのですが、これはほとんど時間の無駄でした。3時間の講義が全4回(私の場合、BasicとAdvancedを受講したので、更にその2倍)で構成されているのですが、時間に見合ったノウハウは提供されません。おそらく長く取り組んでいればそれなりに効果があるのだと思いますが、短時間でとにかくスコアが上がるために何をすれば良いか知りたいという人には向いていません。今になって振り返れば、Speakingをビデオで何とかしようという考えが浅はかでした。また、ベルリッツでも、講師にTOEFL対策をしてもらうように頼んだのですが、彼らはTOEFL試験の内容すら把握しておらず、こちらもほとんど時間の無駄でした。

この業界ではE4TGという個人塾を開いているDonaldというアメリカ人が有名で、ここに比肩できるところはないというのが私の結論です。私も11月になって受講を開始しましたが、もっと早く参加しておくべきだったと後悔しています。1授業5名に参加者を限定し、週1日3時間でTOEFL Speakingの全6問に取り組むことから、演習として極めて有効です。営業妨害になるので内容なあまり細かく書きませんが、彼が教えるメソッドは即効性があり、英語力が比較的低い受験者でも対応可能なので、私のように受験までの時間が限られている受験者にもお勧めです。ちなみに、最近では講師を増やすなど、事業をかなり拡大している模様です。

(4) Writing

Writingという行為自体は日本人の苦手分野なのですが、TOEFLのWritingはそこまで苦労せずにスコアを出す受験生もいます。特に、MBAの在校生や卒業生に尋ねると「Writingはテンプレさえ覚えれば大丈夫」という人も多くいます(テンプレ:解答を当てはめる定型の文章雛形)。

私の場合、7月中にTOEFLテストライティング問題100 (旺文社)で自習。その後、AGOSのビデオ講座を受講中にTOEFLの第1回目を受験し22点でした。ビデオ講座の受講を継続すれば点数が伸びると期待していたのですが、実際には受講終了時点で再受験し再度22点でした。AGOSのテンプレどおりの対応をしていたため、大いに焦ったのを覚えています。結果的には、Web TOEFL(eTestPrep)Jackのサービスを利用し始めた直後に28点を取得しました。練習量を増やした訳ではないので、テンプレが自分に合っていたものと思われます。

Writingの勉強をするうえで、自分の書いたものを誰に添削してもらうか、という問題があります。AGOS、Web TOEFLいずれも添削サービスを提供しているのですが、授業を行う講師と添削者が別人であるため、授業で言われたとおりの対応をしたのに低いスコアを付けられたり、添削が誤字・脱字チェック程度であったりと、添削の質があまり高くありませんでした。添削という点では、Jackのサービスが最も丁寧だと思います。Writingはテンプレを使いこなすことと、練習によりタイピング速度と精度を上げる(タイポを減らす等)ことが重要であり、予備校への通学よりも、こうしたサービスを利用した方が効率良い印象です。

TOEFL受験用のテンプレはネイティブに言わせるとかなり不自然なようです。AGOSでテンプレを使った文章を添削依頼すると「この文章をよく目にするが、何故このような不自然な文章を書くのか。」と返ってきます。おそらくこの感覚は正しいのだと思います。E4TGも最近Writingのサービスを開始したようで、彼らのHPでもテンプレを批判しています。一方、テンプレを使ってもスコアが出ることは事実ですし、英語力の低い受験者の場合、テンプレで文字数が稼げるのもありがたいものです。テンプレが不自然と言われても「ではどうやればスコアが伸びるのか。」と言いたくなりますよね。E4TGのサービス内容はやっていないので不明ですが、ネイティブから正攻法でWritingの手法を学ぶか、テストのためだと割り切ってテンプレを使うかは、自身の受験スケジュールを踏まえて決定すれば良いでしょう。

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