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3-3. 英語のSpeaking(話す)

英語の勉強を始めようとする人のうち、英語を話せるようになりたいという方はかなり多いでしょう。逆に言えば、多くの日本人が英語のSpeakingに苦手意識を持っていることとなります。中学、高校と少なくとも6年間も英語を勉強している日本人が英語を話せないのは何故でしょうか。

日本語→英語の語彙不足

大学受験などで英語の勉強に力を入れた人は、一定の語彙力を有しています。しかし、これはあくまで英語→日本語の語彙力があるということです。話す時に必要なのは日本語→英語の語彙力で、これを高めない限り、英語が話せるようにはなりません。たとえば "I went to a museum the day before yesterday." という英文は多くの人が和訳できると思います。一方「一昨日、美術館に行った。」ということを伝えたい時に「あれ、美術館って英語で何だっけ」「一昨日って英語で何て言うんだ」と考え込んでしまう方は、それなりにいるのではないでしょうか。

英語を話すときは思考から英語にしてしまい、頭の中で日本語から英語に翻訳するという作業をしないようにすべきという意見があります。ただし、大人になってから英語の勉強を始める場合、そのようなことができるというのは幻想にすぎません。大人は頭が完全に日本語仕様になっているので、日本語を英語にするという作業は避けて通れないのです。

日本語能力の高度化

社会人になってそれなりに経験を積んだ方の場合、話すにしても文章を書くにしても、日本語の能力が学生の時に比べて向上しています。上で記載している内容とも近いのですが、何かを話そうとした時に頭に浮かぶ日本語が複雑だと、それを英語化することが困難になります。これは留学中のディスカッションであったり、仕事における会議であったり、知的発言が求められる場面でよく起こります。これは、大人になってから英語学習を開始した人ならではの悩みです。

発音ができない

当然ながら発音がうまくできなければうまく話すこともできません。仮に自分なりの発音で話しても、相手に理解してもらえないということもあります。相手に話が通じないと、自分の英語が間違っているので伝わらないのか、発音が悪いので通じないのかが分からず、疑心暗鬼になります。

英語を一生懸命話しているとネイティブから怪訝な顔で “What?” などと言われて心が折れてしまいそうなことがよくありますよね。彼らは単純に何と言ったか分からないだけで、英語が下手だからイラついている訳ではありません。軽く聞き流して、もう一度ゆっくり話ましょう。海外に住んでいると、そのうち何も思わなくなります。

また、単語ごとの発音だけでなく、文章全体のイントネーションも重要です。たとえば、すごく単純な "Have you already sent an email to Tom?" といった疑問文でも、実際に話してみると、驚くほど不自然なイントネーションとなってしまうものです。文章が長くなれば尚更で、これが高度な英語を話せない理由にもなります。

単純に英会話に慣れていない

英語学習者で三単元のSを知らない人はほとんどいないでしょう。しかし、TOEICで900点を取るような人でも会話となると三単元のSを漏らしてしまったりします。現在形を使うか、過去形を使うかといったこともそうでしょう。書き言葉であれば当たり前に使いこなせるような英文法が、いざ話そうとすると正確にアプトプットできないケースは多々あるのです。英語をそれなりに勉強してきたのに、話そうとするとめちゃくちゃな文章になり自己嫌悪に陥ったという経験をした方は多いのではないでしょうか。この様なことが起こるのは単純に慣れの問題で、英語を話すという行為の経験値が不足している場合に起こります。英語を話すトレーニングをする以外にこれを解決する方法はありません。

さて、それではSpeaking能力を向上するために、どのような勉強方法が考えられるでしょうか。

英会話学校に通う

私は「英語を話せるようになるためにはどうすれば良いか。」と聞かれると「まずは顔を真っ赤にして英語を話すこと。」と答えるようにしています。英語学習者にとってReading等の他の英語技能に比べ、Speakingのレベルが一段も二段も下がるということがよくあります。これは、他の技能の向上がSpeaking能力の向上に必ずしも結びつかないことを意味します。英語が話せないことは英語を話してみないと理解できません。多くの英語学習者が、Speakingは難しいので、ある程度英語の勉強をして基礎的な能力をつけてから始めたいと現実逃避をしてしまいます。ただ、このようにSpeakingから逃げていても、英語はいつまでたっても話せるようにはなりません。
私はベルリッツに通っていましたが、自分に合ってさえいれば、どこでも問題ないと思います。最近ではコスト・パフォーマンスを考え、フィリピン人講師によるオンライン英会話に取り組んでいる人も多いですね。英会話学校に通う意味は、英語を話し、自分がいかに話せないか知ることが一番重要であることを意識しましょう。

日本語→英語の語彙、英語表現を増やす

大人の場合、英会話学校に通っていれば、そのうち英語が話せるようになるというのは幻想です。何故なら、上で述べたとおり、英語が話せるようになるためには、頭に浮かんだ日本語を英語に変換する能力を高める必要がありますが、英会話学校の会話は基本英語のみなので、この能力は必ずしも高まりません。また、英会話学校は週に1〜2時間程度なので、英語の練習量としても不足しています。英会話学校は、どのような時に自分が言葉に詰まってしまうのか認識する場所と捉えた方が良いでしょう。
英会話学校などで、日本語→英語の変換がうまくできなかった場合、それを後で辞書などを使いながら書き出していくと良いです。これは最初はある程度時間をかける必要があります。特に、自己紹介などについては、じっくり時間をかけて英語の文章に起こしておくことをお勧めします。ただ、一点注意した方が良いのは、話し言葉と書き言葉は違うということです。文章をかくと、どうしても話すよりも文法的に複雑で長い文章を書いてしまう傾向にあります。文章に起こしたら実際にそれを読んでみて、それが自分にとって話すには複雑すぎると考えた場合には、自身のSpeaking能力に応じて、単純化しましょう。英語表現の検索には、DMM英会話がお勧めです。ネイティブ講師が日本語→英語の表現方法について、質問に答えてくれています。Weblioなどのオンライン辞書は、時に不自然な英単語が表示されます。

音読する

上でも書いたとおり、英会話学校での会話だけでは、英語の練習量として不足しています。また、英語学習者の中には、将来的に留学や駐在を予定しており、そこでどっぷり英語に浸かる予定なので、経験値はそこで十分に溜まるはずと考えている方もいるかもしれません。ただし、実際にはそんなに甘くはありません。留学では授業は全て英語であっても、実際の自分の発言時間は1日数分程度ということもあり得ます。駐在はもう少し増やす機会が増えますが、特に日本企業からの駐在員の場合、英語を話している時間はそんなに長くないはずです。余程、社交的にネイティブとの交流機会を増やさない限り、海外にいてもSpeakingのトレーニング量としては不十分であることが多いのです。
そこで、十分な練習量を確保するためには、1日1回音読することを日課にすると良いです。毎日音読を行うことで、口が英語に慣れていき、より自然に英語が口から出ていくようになります。英語を口に出し発音すると、一言一句に意識がいくようになるため、文章をただ単に読むよりも、語彙や英語表現の獲得という点からも効果的です。

本記事は以下のマガジンの一部です。


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