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8. 参考書の評価(MBA受験)

TOEFL、GMAT対策の本は数多く出版されているのですが、TOEFL、GMAT自体が「こうすれば必ず点数が伸びる」といった類のテストではなく、参考書の内容をマスターしたからといって必ずしもスコアが上がる訳ではありません。時間は限られているので、自分に合っていない参考書に時間を掛けて取り組むことは時間の無駄です。取捨選択をしながら、自分に合った参考書を見つけるのが良いでしょう。

(1)ETS公認ガイド TOEFL iBT (ETS)

公式問題集であるため、一度は取り組んでおいた方が良く、解説もETSの採点方法を知るうえでは重要です。本問題集を繰り返し解くことを勧める人もいますが、TOEFLはGMATと異なり、本試験を繰り返し受験可能なことから、私はそこまでの価値は感じませんでした。今思えば、Listeningなどはもう少し繰り返しやって良かった気もします。

(2)TOEFL TEST対策iBT英単語 (テイエス企画)

私は、社内選考通過前に本屋で偶然出会った本単語帳に一時取り組んでいました。あまり有名ではありませんが、TOEFLには、小中高の理科や社会科などで出てくるような単語が使用されることが多く、それらの単語が分野別に多く掲載されているという点では、十分役立つ内容だったと思います。ただし、類義語など、CDに録音されていない単語が数多く掲載されていることから、どこまでが覚えるべき単語なのか判断がつかず、社内選考通過後は取り組みませんでした。

(3)TOEFLテスト英単語3800 (旺文社)

TOEFL対策として最も有名な単語帳です。Part1からPart4まであり、頻出度は初めの方ほど高くなっています。Part2まで覚えれば、Reading等のスコアがかなり上がるという人が多く、実際Part2までの単語はかなりの頻出単語です。ただし、ReadingやListeningで満点近いスコアを出すためには、Part3とPart4も覚えた方が良いというのが私の印象です。例文がほとんどなく、CDも英単語を読み上げるだけなので、極めて覚えにくくなっています。本単語帳を使用する場合は、長期間繰り返し続ける根性が必要です。

(4)TOEFLテスト続基本ボキャブラリー2000語 (角川)

TOEFLに出てきそうな文章(アメリカ史など)の中に必要単語が散りばめられており、CDもあるので覚えやすい単語帳です。かなりの良書だと思うのですが、必須単語を完全に網羅する類の単語帳ではないため、受験まで時間がある場合に取り組むと良いでしょう。YESで紹介されたので買いましたが、その時には既にTOEFL3800に取り組んでいたので、即効性の観点から途中でやめました。

(5)TOEFL TEST対策iBTスピーキング (テイエス企画)

TOEFLのSpeakingは自宅学習が極めて難しいのですが、本参考書は比較的有名です。ただし、当時の私には難易度がかなり高めでした。解答例が、アメリカ人目線のものとなってあり、話すスピードもかなり早いことから、英語があまり得意でない人が、模範解答レベルの解答を目指すと、挫折する可能性が高いと思います。私も途中で挫折しました。TOEFL Speakingは参考書に頼らずE4TGなどの予備校に通った方が良いと思います。受験までに時間がある場合はやってみても良いかもしれません。

(6)TOEFLテストライティング問題100 (旺文社)

具体的なテンプレが紹介されている訳ではないため、TOEFL Writingで高スコアを出すために、これだけをやれば良いというものではありませんが、英作文で知っておくべきルールが分かりやすく記載されているため、入門書としては取り掛かりやすい内容です。量も多くなく、基本を抑えた良書なので、時間をかけずにさっと取り組むのが良いでしょう。

(7)TOEFLテストライティングの方法 (実務教育出版)

本参考書も、いわゆるテンプレが紹介されている訳ではありません。内容はやや上級で勉強にはなりますが、TOEFL Writing対策としての即効性はあまり感じられませんでした。

(8)TOEFL TESTリスニング完全攻略 (語研)

当時も既に中古しかありあませんでした。TOEFL Listeningによく出てくる会話形式や講義形式の音声が多数収録されており、知っておくべき語彙や表現が数多く紹介されています。日本の出版社から出されているものとしては、非常に質が高いと思います。欠点としては、まず問題の内容が本番と乖離しており、何を聞きたいかよく分からない(正解がよく分からない)問題が多くなっています。また、声の質も本番とはあまり似ておらず、日本の参考書の典型でありますが、英語が聞き取り易すぎます。Listening技術を向上する目的ではなく、TOEFL Listeningに必要な語彙や表現を学ぶ目的と割り切って使用するのが良いでしょう。

(9)Writing for the TOEFL iBT (Barron)

本参考書の一番の特徴は、Independentの問題例185問に対する模範解答が全て掲載されている点にあります。これを読むだけで、英作文の仕方について、かなり勉強になるでしょう。当時はあまり時間がなかったので、何度も読む時間がありませんでしたが、今思えばこの回答を繰り返し音読などすれば良かったかなと思います。一方、参考書として使うには、文章が全て英語ということもあり、取り組みづらいと思います。個人的に、英語が相当得意でない限り、TOEFL Writingに英語の教材を使用することはあまりお勧めしません。また、Integratedについては、やや的外れなことが掲載されている印象を受けました。

(10)Longman Preparation Course for the TOEFL Test: iBT Reading (Pearson ESL)

TOEFL Readingの問題はいくつかのパターンに類型されるのですが、本参考書は、そのそれぞれのパターンについて説明し、解答方法を示しています。演習としての量も丁度良く、私の中ではReadingの問題集としては理想的だという評価です。本参考書では、問題の周辺の文章だけを読む方法が紹介されていますが、Readingは最後に文章全体を理解していないと解けない問題が出題されるため、日本人にはやや難易度が高い方法だと感じました。TOEFL Readingは、まず文章全体が表示され、その後、問題の右側に問題に関連した段落のみが表示されます。最初にまず文章全体を読んでしまうと、それ自体にかなり時間がかかり、問題を解いているときに結局もう一度読み返すことになるので、時間が足りなくなります(多くの受験生がこのパターンに陥る)。私は、本参考書方式との折衷案として、最初に出てくる文章は全く読まず、問題の右側に出てくる段落を都度全て読む形式としていました。問題は上の段落から順番に出されるので、最終的には、文章全体を読むこととなり、文章全体を理解していないと解けない問題にも対応できます。この方法にしてから、Readingは時間内に解けるようになりました。

(11)Delta's Key to the Next Generation TOEFL Test: Advanced Skill Practice: Listening (Delta)

TOEFL Listeningの問題が類型化され、一定量の演習問題が収録されています。音声の質も内容も本番に近いように感じられました(こういった参考書は実は物凄く珍しい)。問題とその解説も悪くありません。私は、本参考書のCDを、内容を覚えてしまうくらい、繰り返し聞いていました。Listeningの点数を伸ばしたい場合は、是非取り組むべき良書です。

(12)Delta's Key to the Next Generation TOEFL Test: Advanced Skill Practice: Writing (Delta)

TOEFL Writingのスコアが伸びないときに購入したのですが、ほとんど使用しませんでした。説明も的を射ているとは言いがたく、途中まで読んですぐにやめてしまいました。

(13)The Official Guide for GMAT Review (Wiley)

GMATの公式問題集です。過去問集ではなく、受験生への指南書であり、GMAT攻略に必要な知識が詰め込まれています。予備校等では、過去問の演習を行うことが多いのですが、GMATの問題にもトレンドがあり、そのトレンドをつかむという意味でも、本書には必ず取り組むべきです。予備校では問題の解説が極めて詳細かつ論理的に行われますが、本書の解説はもっとシンプルで感覚的なものとなっています。日本人にとっては予備校的な考え方の方が問題を解き易いものの、本番でも時間がなくなってくると極めて短時間で回答を迫られる場合があるため、本書の解説を読み、感覚で問題を解く能力を養うことも重要です。GMATも徐々に変化していることから、Official Guideは最新版を購入しましょう。私の時は以下のように3冊組みになっていた記憶はなく、1冊にVerbalもQuantitativeも両方含まれていた気がします。3冊全てに取り組むべきかどうかは、直近の受験者の情報を参考にするようにしてください。

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