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6. 学校選び(MBA受験)

私の場合、受験準備開始から出願までが6ヶ月しかなかったため、School Visitをしたり、日本でAlumniと会ったりする時間はないと考えており、出願直前まで各スクールの情報集めはほとんどできていませんでした。今思うと恐ろしいのですが、カウンセラーのEdに何校か候補を挙げてもらい、その学校の情報をオフィシャルウェブサイトや在校生ブログなどで調べて、受験校を決定していました。TOEFLとGMATのスコアが出たことで、有名校を複数受けておけばどれか受かるだろうと気が大きくなってしまったのも原因の一つです。しかし、この様な方法はお勧めしません。当時、Essayを書きながら、受験校に関する知識が圧倒的に不足していることに気づき、慌てて友人の伝をたどったり、Edに紹介してもらったりして、在校生にSkype等で話を聞かせてもらいました。話を聞いたのは各校1〜2名で、しかもその学校のことをあまり知らない状態で話を聞いていたので、何とも微妙な雰囲気で会話をしていたのを覚えています。当時対応いただいた方には感謝することしかできません。

自分のやりたいことと校風とのフィットは極めて重要であり、そのフィット感を知るためには、在校生に話を聞くことが一番の近道です。ただし、入学したての1年生はまだ基本的なクラスしか受けていなかったりするので注意しましょう。卒業生でももちろん良いのですが、卒業から時間が経っているとライブ感が薄れるため、極力若い卒業生に話を聞いた方が良いです。また、卒業生は自分の経験を美化する傾向があり、本音ベースでその学校の気に食わなかったところなどは紹介してくれない印象があります。学校とのフィット感を確認できれば、Essayの記載内容やInterviewにも活かすことができるため、当然合格確率もアップします。

School Visitが最も望ましい方法ですが、できない場合も日本で開催されている説明会へ参加し、そこに参加しているAlumniに話を聞く等の方法があります。各校の説明会はAGOSのHPに告知されることが多いため、AGOSのHPは定期的に確認しましょう。また、各校の日本人在校生のホームページに連絡先が書いてあるケースもあるので、そこからSkype等の依頼をすることも可能です。私は留学時に日本人学生のクラブでアプリカントへの対応を担当していましたが、年間40~50名程度の受験生がコンタクトを取ってきました。ほとんどがVisitの依頼でしたが、中にはSkypeやメール相談の依頼もあり、基本的には断らずに日本人学生で分担して対応していました。日本人学生が複数いるスクールであれば、失礼な依頼文を書かない限り、対応してくれる可能性が高いと思います。

(1)国(アメリカかヨーロッパか)

アメリカは留学期間2年の学校が多く、ヨーロッパは1年の学校が多いのですが例外もあります。私が一番強く感じた特徴の違いはDiversityにあります。アメリカでは30%程度外国籍の学生がいるといっても、アメリカ色がかなり強く、留学生がアメリカのビジネススクールにお邪魔させてもらっているイメージです。アメリカ人はアメリカ以外の国をほぼ意識していないことが多く、学ぶケースもアメリカ企業が中心であるため、学生間や教授との会話は、アメリカという国を理解している前提で進められます。アメリカに留学するからには、アメリカに一定以上の興味がある必要があるでしょう。ヨーロッパの場合、所在国出身の学生の割合が数%ということもありますし、扱うケースもその国の企業に関するものが大半などということはありません。

一方、ビジネスという観点から考えると、個人的にはアメリカの方が進んでいると思います。ヨーロッパの国であれば、優れたビジネススクールは多くても国毎に数校ですが、アメリカには数十校の優れた学校が存在します。Financial Times等のMBAランキングでは、アメリカ以外のMBAスクールが実力以上に評価されている印象を受けます。アメリカのビジネススクールに通った方の多くが感じることだと思いますが、アメリカがこれだけ繁栄しているのには理由があります。起業家精神が強いことに加え、適切な競争が働いているので、質の高いスタートアップが次々と生まれる環境にあるのです。上でDiversityがあまりないと書きましたが、それを補って余りある価値がアメリカにはあります。

(2)立地(都会か田舎か)

日本人はストイックに「MBAに行くからには遊んでしまわないように田舎に行きたい」などと考える人も多いのですが、個人的にこの意見には賛同しかねます。もちろん、田舎の学校に行くことも選択肢の1つであり、文化的側面、住環境面から、素晴らしい田舎町というのも存在します。しかし、2年間という留学期間は相当長く、私生活でのストレスは、勉強へのモチベーション維持などにネガティブに働く点には留意が必要です。特に家族帯同で留学する場合、生活環境は極めて重要です。MBA留学は会社で働くのとは違い、四六時中学校にいる訳ではありません。その学校が自分にとってどうプラスか、ということだけでなく、文化も含めてその街に住むことが自分にとってどうプラスか、という観点も考えておいた方が良いでしょう。
また、アメリカ人にとってMBAで最も重要なことは就職活動であり、彼らにとっても立地は極めて重要です。金融にいきたいのであればNY、起業したいならベイエリアなど、自分の学校と就職したい先の距離は当然近ければ近いに越したことはありません。結果的に、立地が良い学校の方が優秀な学生が集まりやすくなります。ただし、超有名校の場合には、企業側からキャンパスに足を運んでくれるので、田舎にあるデメリットは一部解消されます。

(3)授業等

MBAはコモディティ化が進んでおり、独自色の強いスモールスクールを除き、どの学校でも一定の授業ラインナップを用意しています。したがって、学校のHP等で授業ラインナップを見ても、学校を選択するために十分な情報は得られません。1つ重要なのは、学生の目指す進路の特色です。例えば、ファイナンス系の授業が充実している学校には金融機関志望の学生が集まり易く、起業に関する環境が良い学校には、起業を目指す学生が集まり易くなります。このように、在籍する学生にどのような色が付いているか、それが自分の将来目指すキャリアとどの程度近しいかが、学校選びにおける重要なポイントとなるでしょう。
授業においてもう1つ重要なのが教授の質です。授業がコモディティ化している以上、学びの多さは教授の能力に大きく依存します。私の留学時も、トピックは興味深いのにあまり面白くない授業や、逆に基礎的な内容であるにも関わらず超人気授業もありました。残念ながら、学校に所属する全ての教授が素晴らしいスクールなど存在しません。自分が興味ある分野に有名教授あるいは学生に人気の教授がいるかは確認しておいた方が良いでしょう

(4)日本人が受かりやすいか

私の学校選びに欠けていたこととして、「社費派遣の日本人が受かりやすいか」という観点があります。自分がどうしても行きたい学校(ドリームスクール)がどこなのか考えるのはもちろん重要なのですが、滑り止めの学校をどこにするかも極めて重要です。ランキング下位の学校が、必ずしも日本人が合格しやすい学校ではありません。本命の学校の合否が出る前に留学先を1つ確保しておくと準備がかなり楽になるため、日本人が受かりやすく、かつ出願のタイミングがやや早い学校を受験できると良いでしょう。
また、日本人留学生の年齢は30~35歳くらいが多いのですが、アメリカ人などは27~29歳くらいが中心であり、年齢層が一段ずれています。日本人を意図的に取っている学校の場合、年齢が高くても合格確率にあまり関係がありませんが、日本人を他の外国人と特に区別していない学校の場合、年齢の高い受験生は比較的合格しにくくなります。

(5)在校生・卒業生との面談時に質問すべきこと

上の様なことを一通り読んだとしても、最初に書いたとおり、在校生や卒業生から生の声を聞くことで学校のフィット感を探る必要があります。しかし、在校生と会ってみて何を聞いて良いか分からなくなり、気まずい雰囲気が流れた経験のある方はいないでしょうか。MBA生は自分も受験時に苦労していることが多いので基本的に親切ですが、中には意識が高く、聞かれたことにだけ淡々と答える様なタイプの人もいます。在校生と話す際は、自分のバックグランドや何故MBAに来たいのかということをまず伝えるとアドバイスがしやすくなります。これはざっくりしたものでも問題ありません。むしろ、あまりマニアックだと自分の経験とオーバーラップしないためにアドバイスがしにくかったりします。私が話した中では官僚の方で「介護ロボットの民間利用推進を考えているがUCLA Andersonにはその様なオポチュニティはあるか。」と聞かれ、言葉に窮したのを覚えています。話し方のコツとしては、あまり方向性を限定せずオープンな質問をすると、あとは在校生や卒業生の方が自分の話したいことを話してくれます。質問例としては、以下の様なものが考えられます。

・何故その学校を選んだのか。
・その学校の何が好きか。
・その学校で何か気に食わないことはあるか。
・学生はSupportiveかCompetitiveか。
・授業は座学が多いか、ケースが多いか。
・チームワークはどの程度重視されるか。チームワークの具体例は。
・面白かった授業は。
・お勧めの教授は。
・どの様な分野に就職する学生が多いか。
・授業以外でどの様な活動をしているか。
・起業しようとしている学生はどれくらいいるか。
・起業をサポートする環境はあるか。
・他学部とのコラボはあるか。
・人気のクラブは。
・就職活動のサポート態勢は(私費留学の場合)。
・アメリカ人とどの様に関わっているか。
・留学生は溶け込めているか。
・住環境はどうか。
・来る前の印象と異なる点は(良いことも悪いことも)。

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