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仮説力を鍛えて、本質的に強い営業パーソンへ

この投稿は「営業アドベントカレンダー(#営業アドベント)」企画の投稿です。

営業界のアベンジャーズ達があの手この手で「営業」のアップデートをしていく超有益な投稿が続いてますので、本当に何を書こうか迷いました。。
#営業アドベント」BtoBビジネスや営業に関わる皆様は要チェックです!

個人的にはインサイドセールス界の帝王ことビズリーチの茂野さんからパスを受けるのが怖すぎましたが、張り切っていっちゃいます!!


▼自己紹介

こんにちは!クラウドサーカス株式会社(旧Mtame株式会社(エムタメ))の田中次郎@MtameTanakaです。

自己紹介

BowNow(バウナウ)というマーケティングオートメーションツールのプロダクトオーナー兼、MA事業(ツール・コンサル・BPO)のrevenue managerをしています。

ざっくり言うとマーケ、インサイドセールス、フィールドセールス(OS含む)、CS、コンサルを横断的にマネジメントし事業全体の売り上げや顧客の成果を上げる役割です。

Twitterにて事前にアンケートを取ると「インサイド×MA」が一番票を獲得しましたので「営業に関わる人全て」に関係ありつつもインサイドセールスやマーケティングオートメーションにも触れる内容にしました!


▼今回のメインテーマ

「超重要な基礎能力『仮説力』を強化する方法」


僕は営業パーソンの基礎能力として仮説力が超重要だと考えています。
この基礎能力が高まると、各フェーズの効率(確率)が良くなり、他の業務や能力の成長率にも大きく影響を及ぼします。

スポーツでいうところの筋力(筋トレ)に近い能力が「仮説力」だと考えています。

営業には色々な種類の提案がありますが、僕は社会に出てから12年間ずっとお客様の売り上げを伸ばす無形商材の新規提案をしてきました。
(マーケティングオートメーションのように「時間を短縮する」ものも、 本質は営業活動の生産性を高めて売り上げを伸ばす活動です。)

元々のキャリアをSMB向けのド新規営業(ニーズ潜在層にニーズ喚起)からスタートしているので、テレアポをするにも商談に行くにもとにかく、
事前準備と質問力(ヒアリング力)が重要になります。

今でこそ信じられないですがタウンページを上から順にテレアポ!みたいなことを入社当時はやっていました。(1日130コールとか

そうすると、多くのガチャ切りや罵声を浴びせられます。
当たり前ですよね。お客様からすると業務中にかかってくる電話や招かざる訪問者は業務の邪魔ですから。

僕はそこに対して仮説に圧倒的時間をつかってリストとトークを作り商談資料と商談の流れを練り上げることで商談化率・受注率を高めていきました。
お客様に「聞き耳を立ててもらう」必要があったのです。

ど新規のニーズ喚起から入っても新規の受注率が28%をキープしていた時期もあるくらいです。リスト作りから自分でやることで今でいうABMに近い価値を生んでいました。

お客様にとっては商談相手は今後長く付き合っていくビジネスパートナー候補なわけで、

・優秀な人
・話が早い人(1言ったら10わかってくれる人)
・一生懸命自社のことを考えてくれる人

と会話したいですし、お付き合いしたいですよね?
むしろ仮説が仮に間違っていたとしても、そう思ってもらえさえすれば本当の情報は向こうから教えてくれます。

重要なのはお付き合いしたい人だと短い時間で感じてもらうことです。そのために僕はとにかく仮説力を高めたわけです。

その後、営業→営業MG→CS責任者→自社マーケ&営業企画(ある種セールスイネーブルメント)→事業責任者(インサイドセールス・CS立ち上げ)

を経験して今に至るわけですが、
自分自身が業務で成果を出すためにも、チームメンバーに成果を出させるためにも、仮説力が非常に役に立ったと考えています。


ということで前置きが超長くなりましたが
本noteでは、以下のような内容でお伝えしていきます。

◆もくじ

▼仮説力の重要性
▼インサイドセールスにおける仮説力の必要性
▼仮説力の強化(訓練)方法
▼MAツールを使って仮説のプロセスをより簡略化
▼仮説の注意事項
▼まとめ


仮説力の重要性

そもそもSPINやチャレンジャーセールスモデルのように世の中で実践されている数々の概念やフレームワークは「仮説力」が高いことが前提になっていますよね。

・大型商談を成約に導く「SPIN」営業術

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参照:https://lightingup.hatenablog.com/entry/2019/05/06/225113

チャレンジャーセールスモデル

◆チャレンジャーの「指導」
⇒ 顧客のビジネスについて独自の視点を持ち、双方向の対話能力に長けている「チャレンジャー」は、営業上のやりとりのなかで差別化ポイントを指導する(教え導く)ことができる。

◆チャレンジャーの「適応」
⇒ 顧客のバリュードライバーや経済ドライバーを把握している「チャレンジャー」は、顧客組織のなかの正しい人に正しいメッセージを伝え、共感を得られるように適応することができる。

◆チャレンジャーの「支配」
⇒ 「チャレンジャー」はお金の話もいとわず、必要とあらば顧客に多少の無理強いができる。したがって、営業プロセスを支配する(主導権を握る)ことができる。

参考サイト https://tartom7997.net/bookreview-challenger-sales-model/


営業活動においては事前準備、ヒアリング、提案や追客(社内調整支援)の質という点でも常に仮説力が必要になります。

マネジメント側に回ると戦略戦術策定に必須となってきますし、自身が経験したことのない業務領域をマネジメントする際にも同様に高解像度の仮説力が必要になります。(というよりそれがないと現場の人間からの信頼が得られにくくなる)

加えて、マーケティング業務やカスタマーサクセスの業務も本質は営業活動と同じで

人の心を動かし、行動を促す活動

になるので、どの職種でも仮説力は応用が利きます
つまりジョブローテや転職をする際にも仮説力が高ければ「経験したことのない業務・マネジメント領域でも能力を発揮できる」のです。


さて、こと「営業」という職種に限定すると仮説力が最も必要になるのは、

エンタープライズ向けのフィールドセールス
かと思われがちです。

それに関しては異論はないのですが、エンタープライズ系で重要になるのは
仮説の質(深さ)ではないでしょうか?

「仮説の質」に対して、「仮説のスピード」が圧倒的に求められる現場があります。
そう。今をときめくインサイドセールスです!


▼インサイドセールスにおける仮説力の必要性

インサイドセールス「訪問せずに行う営業活動の全てを担当」します。

極端にいうと1コール、1オンライン商談がすべて商談です。
なので仮説力を高めることで手に入れられる仮説のスピードが超重要になります。
特に以下のような役割では仮説力が必要となります。

(1)圧倒的に商談数が多い「オンラインセールス(非訪問商談)」
(2)ソリューション商材におけるリードフォロー活動(BDR/SDR)

インサイドの概念と役割

※オンラインセールス、SDR、BDRの意味は上図を参照ください。

(1)はオンライン化する程なので低単価・かつ商談数が多いことが想定されます。
商品紹介(不適の払拭)だけ行えば売れるサービスじゃない限り、ある程度のヒアリングと提案は必要になりますが構造上1件の事前準備に使える時間は限りなく短いと言っていいでしょう。

仮説のスピードを高めておかないと受注率の平準化(中央値をあげる)ができない可能性が高いので、実は仮説力の高さが必要なポジションと言えます。


(2)の活動においては特にパーミッション、リードフォロー活動を高いレベルで実行するには最低限の仮説力(ビジネスの流れや肝を理解している状態)が必要になります。 ※下図参照

リードフォロー

訪問による商談の場合は、単価が上がれば上がるほど1件にかけられる準備時間を長くできます。
しかし、BDR/SDRやオンラインセールスは行動量を常に求められる職種でもあります。

「1件の電話の準備に1時間かけました!ただ結果は受付落ちでした!」では生産性が低すぎますからね。。

つまり仮説のスピードが高くないと、生産性が圧倒的に悪くなってしまうのです。

仮説力を高めると、「色んな業務に役に立つ」だけでなく、
仮説作成時間が圧倒的に短縮できることも大きな価値の一つです。

前述した職種や役割でなくとも「事前準備」にかける時間を短縮し可処分時間を増やしたい人は「仮説力」を強化することを推奨します。

▼仮説力の強化(教育)方法

残念ながら、仮説力は営業力・ヒアリング力と同様に、
強化しようと思って急激に上がる能力ではありません。
(稀に新人で急激に伸びる子がいますが)

この原理原則を理解した上で、中長期的にここの強化(教育)に時間とリソースを割いていく必要があります。

正攻法でいうと、新聞を読む、本を読む、経済を勉強する、組織を見る経験をさせるという方法が一般的なのかもしれません。

つまりそういう「自己学習を長年重ねてきた人」「チャンスを掴んだ人」
のように採用や組織の人事によってしか得られないケースがほとんどです。

しかし、僕が実行した強化(教育)方法は「自己学習の素養がない人」でも
ある程度効果を発揮する方法
です。(やる側が非常に大変ですが)

そのやり方をお伝えしていきます!

1.訪問の事前準備を徹底的にやらせる
2.その案件のロープレを行い、仮説力が高い人間によるフィードバック
(仮説の質と幅)
を見せる
3.そのフィードバックを実際の案件で使う(or同行する)

とても原始的かつ全くもって新しい方法ではないですが、
これを繰り返していくしかないです。

僕がフィールドセールスのゴリゴリ営業MG時代は、
時間が無限にあり(笑)、かつ訪問数も少なかったため全案件にこの準備をさせることが出来ていました。

しかし今は訪問数が増えたり、世の中的にも時間的な制限が厳しくなったので特定の案件のみ実行したりゲーム性を持たせた形で行う研修程度にしか
実行できていません。

ただ、この行動の実行数が多いメンバーであればあるほど業務の生産性が高まっていきますし、別の職種についてもほぼ全員が中心メンバーに成長してくれています。

今でいうところのセールスイネーブルメントの文脈なのかもしれませんが、
僕はプレイングMGとしてかなりの時間をここに投資してきました。

本日はそのノウハウの一つ「仮説シート」を全公開いたします!
(見えづらいなどあれば出来る限り対応しますのでお申し付けください)

要は仮説力が高い営業パーソンが、事前にチェックするポイントどういう頭の構造で仮説に結びつけているか?をまとめたシートです。

仮説シート本番

弊社はデジタルマーケ(特にwebマーケ)の支援会社なので、そういう要素も多分に含まれていますが、メンバーに仮説の質と幅をしっかりと意識させる事が可能です。

このシートの細かい使い方は、また別の機会で説明するとして、何の情報を集めてどんな仮説を導き出すか?は繰り返し訓練することで必ず向上させられます。(同時に案件化率、受注率も向上してきます)

皆さまも自社のトップセールスの人間が行なっている仮説のフレームワークを可視化して活用することを強くお勧めします!

インサイドセールスやオンラインセールスでは、この3.実際の案件で使った記録をbellFace(ベルフェイス)MiiTel(ミーテル)録画や録音機能を使って振り返り、更にフィードバックすることも可能になりました。
テックの進化の恩恵が受けられる瞬間です。

これにより、特定の企業を見立てて商談準備や提案準備を皆で考えて、その回答として商談録画を確認するという「仮想同行」が出来るようになっています。
やる気のある営業パーソンであればトップセールスの商談を盗みまくれるので、より短い時間で仮説力と営業力を高められる方法と言えます。


▼MAツールを使って仮説のプロセスをより簡略化

ふ〜。既にかなりボリューミーですが、ここでようやくMAツールが登場します!笑

本質的には、自身やチームメンバーの仮説力を高めることが目的です。
しかしながらメンバーの成長を待っていられない状態の会社も多いはずです。

そんな会社にもってこいなのが、MAツールABMツールです。

ABMツールはFORCASSPEEDA)やユーソナー(uSonar)あたりが有名なツールでしょうか?

一生懸命メンバーが考えて時間を使った仮説もいいですが、
アナリストやDBが導き出した仮説の答えをツールを使って一瞬で得られる
のはいいですよね。
仮説力訓練と併せて使うと更に効果が倍増するはずです!

そして仮説力を向上させるツールのもう一つがMA(マーケティングオートメーション)ツールです。
MAツールとははこちらをご覧ください。

特にインサイドセールスの現場で使われることが多いMAツールですが、
僕は本来全営業が使うべきツールだと思っています。

まずはIS(営業)の現場のどういうシーンで使うか?を
以下に図解しています。

MA運用イメージ

上記の通り、webサイトの閲覧ログやメールログ、DLした資料のような
「コンテンツ閲覧情報」から「見込み客が得たい情報をある程度予想」することができます。

これに加えて更に3つの情報を付与することが可能です。

MAの価値情報が増える

▶︎デモグラ情報・・・企業情報や担当者の固有情報
▶︎行動量・・・コンテンツ閲覧の回数や量、1社からの人数
▶︎自社で独自に管理・取得した情報・・・営業関連情報やマーケ情報

コンテンツ閲覧情報とあわせた4つの情報を組み合わせることで仮説の精度を高めていくことが可能です。

仮にコンテンツ閲覧情報を活用するケースは以下のようなやり方です。

コンテンツ閲覧活用例

「得たい情報」だけでなく「検討レベルにあたりをつけられる」ことも
大きな価値の一つです。検討レベルが高い人しか見ないような情報をあえて別に用意することでより判別がしやすくなります。


ここにデモグラ情報を加えることでより解像度が上がっていきます。

デモグラ情報活用例

例:
セキュリティソフトを販売している会社のWebサイトにて、100名規模の不動産販売業界の情報システム担当者が、IR情報や商品情報を閲覧していた場合。

「そろそろ社内でデータを蓄積したり活用するような状態になってきているのではないか?」最近業界で導入が進んでいるCRMニーズと共に情報管理や個人情報管理のニーズが高まってきている可能性がある?

といった具合です。

更に行動量と管理情報を加えていくと

行動量と管理情報活用例

使える情報は非常に多くなっていきます。
使える可能性がある情報を事前に定義し、蓄積することで非常に多くの情報を扱えるようになるのがMAの利点です。


以上のように、Webサイトや業界動向など既に公開されている情報のみではなくABMツールのように、より深く質の高い情報を使ったり、
MAツールのように情報の種類を増やせるツールを併用することで
仮説の質を上げて幅を広げていきましょう!


▼仮説の注意事項

ここまでポジティブなことばっかり伝えているので、良いことづくめのように感じる仮説力の強化ですが、一つ大きな注意事項があります!

それは「導き出した仮説に頼りすぎないこと」です。

仮説はあくまでも仮説。100%そのとおりの状態なことの方が珍しいです。

時々、全く的外れな(または相手が全く実感していない)仮説を投げて
相手の反応が悪くても「その仮説にこだわる」人がいます。

仮説力や、仮説作りの過程にはプライドを持った方がいいですが
仮説自体には高すぎるプライドは厳禁です。

前述の通り、

・優秀な人
・話が早い人(1言ったら10わかってくれる人)
・一生懸命自社のことを考えてくれる人

瞬時に相手に思わせることが最大の目的です。
そして繰り返すことによって仮説スピードを早められることが価値だと
割り切って、プライドを捨てることも重要です。



▼まとめ

本記事のまとめです。

・営業パーソンにおける仮説力は、スポーツにおける筋力と同等の基礎能力

・仮説力は営業成績だけでなく、マネジメントや他の職種でも応用可能

・質の高い仮説を用意することで「お付き合いしたい存在」になれる

・インサイドセールスこそ仮説のスピード(対応可能数)が求められる

・仮説力は後天的かつ意識的に強化できる

・強化のフレームは「仮説」「フィードバック」「実践」を繰り返すこと

・仮説の質と幅を見せつけることで早く成長させられる

・MAツール、ABMツールを使って情報の種類を増やす

・コンテンツ閲覧、デモグラ、行動量、管理情報で仮説の精度を上げる

・仮説に頼りすぎずに現場でプライドを捨てる

いかがでしたでしょうか?


僕自身、営業の成果が出るのもマネジメントのコツを掴むのも非常に苦労した人間です。

だからこそ後続の方々には、もっともっと早い時間や労力で成果や能力をつけて、より早く、より良い成長の機会が訪れてほしいと思っています。

瞬時に(反射的に)仮説が頭に浮かんでくるようになればかなり仮説力が上がってきている状態です。

仮説の質だけでなく、スピードを高める必要のある
インサイドセールス・オンラインセールスこそ
「仮説力→仮説スピード」を駆使して、よりよい商談を数多く生み出し、 自社のサービスの良さを撒き散らしていきましょう!!


初noteで書き慣れないところだらけでしたが、こんな長く拙い文章を
最後まで読んでいただきありがとうございました!!


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