Catalinaとプリンタドライバ

 職場の古いiMacのOSアップデートと,プリンタドライバがうまく使えないトラブルについての覚え書き。

1 古いiMacにCatalinaを入れる

 職場のiMac 27 inch late 2013。一時期,突然プッツリと電源が落ちたり,文字入力やアプリの動作が極端に遅くなったりするようなこともあったが,だましだまし使ってきた。
 このところは,High Sierra ( MacOS 10.13 ) である程度安定して使えていた。うまくいっているときには余計なことはしない方がよい。だが,常用しているアプリケーションがCatalina ( MacOS 10.15 ) より古いOSでは起動しなくなってしまった。プライベートで使っているMacBook Air 13 inch 2017 を先にCatalinaにしたら,なんとか大きなトラブルなく使えそうだった。そこで,この古いiMacも不承不承OSをアップデートすることにした。
 ところが,これが思いのほか難航した。アップデータのインストール中に,進行が止まったまま1日放置してもうんともすんともいわない状態になる。強制終了したり,購入時のOS ( Marvericks ) を入れ直したり,そこにアップデータをかけたり,また強制終了したりとしているうちに,起動さえも怪しくなってきてしまった。もうハード的にもダメなのかもしれない,と思ったが,最後に,内臓ハードディスクを初期化してOSの再インストールをしてみた。これも数度のチャレンジの末に,なんとかCatalinaのインストールが完了した。
 だが,まだ苦難は続く。失われたデータをこれも不調気味の外づけハードディスクドライブのTime Capsule から引き上げてきたり,アプリを入れ直したりと,復旧作業を続けた。
 その間も仕事はしなければならない。あるとき,ちょっとしたことでプリンタを使おうとしたが,プリントキューに「"filter" 失敗」と表示されてプリントジョブが停止してしまい,何度試しても動かない状況になった。
 ググってみると,Catalinaの仕様変更で起きるプリンタ周りのトラブルは多いようだ。この場合,Catalinaにプリンタドライバが対応していないらしい。EPSONのホームページで探しても,この10年もののインクジェットプリンタのCatalina対応ドライバを見つけることはできなかった。

2 新しいプリンタドライバとの格闘

 なりゆきで消去した内臓ドライブのデータ,ライセンスキーの失われたアプリ,文書のプリントアウトもできなくなった。このトラブルで失ったものは大きかった。だが今さらもとにも戻せない。仕方なく,年度末のなけなしの予算を工面して,Brother社製の安い複合機を買ってきた。
 仕事の合間になんとかセッティングをして,期待に胸膨らませながらプリントアウトを試してみた。ところが…また出てきた。「"filter" 失敗」のヤツが。何度繰り返しても,プリンタはうんともすんとも言わない。
 まずはググってみた。システム初期設定の「プリンタとスキャナ」でプリンタを追加するときに,「機種名+CUPS」という名前のドライバを選べ,との指示がある。だがそんなものはどこにも見えない。さらにググると,それが見えない場合は最新のドライバを入れ直せと書かれていた。それも試してみる。Brother社の推奨する手順でアンインストールをしてから入れ直したりしても,何度インストールを繰り返しても,状況は変わらない。
 Brother社のサポート窓口にメールで,その後はチャットで,助けを求めた。だが,ほとんどそれまで繰り返し試したことをまた指示されることが続いた。とにかく馬鹿正直にもうそれまでに試したことも言われるままに繰り返してみたが,うまくいかない。とうとう最後には,「セーフブートをしてみてダメだったら,もうこちらでできることはない」とサジを投げられてしまった。
 Brother社のサポートから指示されたことではないが,自分で試してみたことがある。このプリンタのドライバのアンインストールは,手動でいくつかのファイルを削除しなければならない。その作業中に,プリンタの追加の時には見えなかったはずの「機種名+CUPS」という名前がついたファイルが目に入ったのだ。拡張子が圧縮ファイルっぽかったので,これを解凍してみたら,そのものずばりの名前のファイルができた。そこで,プリンタの追加のときに,ドライバの選択で「その他」からこのファイルを検索して指定してやった。「これは我ながらすごい解決法だ」と思ったが,結果はダメだった。
 もちろん,言われた通り,セーフブートも試してみた。「シフトキーを押しながら再起動」。これをやると,起動したあとどこかに「セーフモード」というような表示が出るはずなのだが,それが見当たらない。これはターミナルモードからコマンドラインでセーフブートをしなければならないかもしれない。そんなこんなしているうちに,内蔵のマイクとスピーカーが認識されなくなってしまった。満身創痍である。やはりハード的に限界なのか。

3 なぜか解決?

 と思っているところに,システムのアップデートがある,という通知が表示された。ええい,ままよ,もう毒は食らったのだから皿もなめてやる,とアップデート。その日はそのままパソコンを放置して帰宅した。
 翌日,出勤してみると,アップデートは終わっている。OSのバージョンは,10.15.4。試しにシステム環境設定の「サウンド」を開いてみると,内蔵のマイクもスピーカーも認識されているようだ。お,ちょっと明るい兆しが。
 ここで,もう一度プリンタの追加でプリンタドライバを選んでみると,なんと「機種名+CUPS」が表示されているではないか! はやる胸を抑えて,pdfファイルを一つプリントしてみた。やった! なんだかわからないが,うまくいった!
 セーフブートができていないように見えていたけれど実はそれが有効だったのか。OSのアップデートで何か不具合が解消したのか。詳細は不明ながら,ここ2週間近くガタガタし続けていた問題が解決して,プリンタが使えるようになったのだから,とりあえず文句は言うまい。
 もしかして,このアップデータをかけた後のシステムなら,古いEPSON製のプリンタもまだ使えたのではないか,新しいプリンタを買ってきたのは尚早だったのではないか,という気もしなくはない。しかし,なんとかトラブルを乗り越えられた感が,その気持ちを上回っているのでよしとしよう。
 それにしても,ウイルス騒ぎで仕事のペースが大幅に落ちているとはいえ,こういうことでやたらと時間がとられてしまうあたり,まだまだ道具に振り回されていると感じる。もう少し,道具の方が人間側に寄り添ってくれるとありがたいのだが。

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