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不幸の引き出し対策

私は最近、前と比べるとあまり人に質問をしなくなったと思う。理由は最近、自分に不幸の引き出しがないから。

仲良くなりたい相手についてはいろいろ聞きたいし、会話を盛り上げるために共通点を探す質問は有効だし、相手に興味があるからこそ質問はしたいものだけど、うっかり相手の不幸を引き出してしまったときに対価として差し出す手軽な不幸を持ち合わせてないので聞けなくなった。

「最近仕事どう?」と聞いて、うっかり楽しくなさそうな顔をさせてしまっても、いま私は仕事が楽しいので「わかるわかる」ってできないし、「最近彼氏とどう?」と聞いてため息吐かれても、いまは一緒にヤケ酒を楽しめない。

自分の質問でうっかり相手の不幸を引き出してしまっても、自分にも不幸があればすっと差し出しておもしろおかしく会話のテンションを維持できるのに、いま私がすっと差し出せる不幸はせいぜい鼻の調子が芳しくない程度なので相手にとって割に合わないし、花粉症ですらないので花粉症の方々には恨みさえ買いかねない。

落ちてる相手と一緒のところまで落ちないと会話をうまく進行させられないのは私の修行がまだ足りないところではあるものの、誰でも彼でも力を入れて励ましてしまって変に頼られるのも、ちょっと困る。

余談だがバチェロレッテの萌子さんが各種男性のどんな弱いところも承認の言葉に変えてしまうあれは、番組だからいいけど現実世界のプライベートな文脈で無闇にやってしまうとわりとめんどくさいことになるのではないかと思う。

だからこそ、こうやってそのときどきの自分を垂れ流しておいた文章を、関わってくれている皆さんが読んでくれているというのはなんとも都合がいいことで、同じようなテンションにある人が良いタイミングで近づいてきてくれるというのもあるし、私が垂れ流してる中から相手が選んでくれた話題であれば、不幸の引き出しを持ってるかもしれない人でも話しやすい。

それになんとなく、質問を挟まずとも、相手が心を割って話してくれるまでのリードタイムが短くなった気もする。

そうやっていつの間にかこのnoteもすっかり私にとってのコミュニケーション装置だなあ、なんてことを思っていたら、どうやら今月で丸1年。

いつも読んでくれているお友だちの皆さま、ありがとうございます。まどろっこしいコミュニケーションスタイルで恐縮ですが、今後ともよろしくお願いいたします。

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