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公認会計士試験に挑戦していた頃の話

私は、公認会計士という資格をもっています。国家資格としては医師・弁護士と並び日本の3大国家資格と言われたりしています。
合格率など低く難しいとされていますが、決してそんなことないと思っており、これから目指そうか迷っている方や現に勉強中の方に何かの参考になればと思い、私の公認会計士試験の受験時代の話をさせていただきます。

何故、目指したのか?

大学2年の秋頃、徐々に就活ムードが高まりザワついてきました。
当時、いわゆる就職氷河期。周りの友人は、少しずつ、業界・企業の情報を集め始めていました。しかし、、、私はというと、父が勤務している大手医薬品メーカーに就職するつもりでした。いわゆる縁故採用ですね。
しかし、ふと、友人の話を聞きながら、「自分はこのまま、のほほんと大学生活を送ってしまっていいのか?」という問いが頭を巡ってきました。

就活という荒波にもまれることなく、社会に出て通用するのか?
そんな不安が沸々とわいてきました。何かやらねば、、、

当時、中央大学商学部に在籍していたので、周りに公認会計士税理士を目指す人やそういった情報が溢れていました。国家試験だし、最難関と言われている。チャレンジするのはいいこと。なんて思いながら、色々と調べてみました。

試験制度、給与水準など調べましたが、最終的には、「公認会計士になれば、税理士登録ができること」が決めてかなと。。。素人目には税理士より公認会計士の方が上みたいに感じていたのが本音です。

実際のところは、公認会計士と税理士に上下関係はありません。専門が全然違います。公認会計士は監査。税理士は税務。
「登録はできる=名乗ることはできる」ことになりますが、業務をする(=お金を稼ぐ)こととはまた別の話です。

迷走する「試験勉強」

近くの大原簿記専門学校の公認会計士講座を受講することにしました。両親には、簡単な試験ではないので25歳まで挑戦させてほしいとお願いしました。

1998年3月頃1年目スタート(1999年受験)。淡々と授業を受け、答練(確認テストのようなもの)を受けました。しかし、復習のやり方がよくわかっていなかった気がします。膨大な範囲の知識を記憶をしなくてはならないので、テキストを何度も読むということが、とても重要になってきます。
しかし、そんな当たり前のことが理解できず、実践できませんでした。
短答式試験の直前模試で50門中正解は9問。5択のテストで9問とは、、、
確率を下回っていました。もちろん本試験でも自己採点で20問くらい(合格ラインは32問くらいだった気がします)。手も足も出ない感じでした。
⇒ 普通ならこの時点で才能がないとあきらめるのかもしれません・・・

2年目(2000年受験)。復習のやり方はだいぶわかってきましたが、何度も勉強計画を見直し、綺麗なノートや暗記カードを作ったり、創作活動に力を入れすぎていた気がします(←勉強できない典型です)
結局、そういうものは作っただけで満足し、活用できず。。。ムダなことに時間を使いすぎました。
この年は、スタートダッシュは良かったのですが、当時大学4年生。夏が終わってくると友人たちは就職先が決まり、徐々に卒業に向けて遊びが活発化してきます。私も、人生一度きりと言い聞かせ、友人たちとの遊びに時間を費やしてしまいました。そんな生活をしていたので、勉強量が減少していき、講義や答練をサボり始め、気づけばあきらめモード。大学卒業後は、勉強仲間とパチンコに通う日々。親のスネをかじりながら、ロクに勉強もしないで生活している本当にダメな人間でした。
なお、本試験の自己採点は25問(合格ライン前年と同水準)くらい。
⇒ ちょっと成長しました(汗)

3年目(2001年受験)。ここまでくると、さすがに短答式を合格しないとカッコ悪い。交友関係も勉強仲間がメインとなり、相変わらず、勉強仲間とパチンコに行ったりしていました。それでも、時間はあるので勉強時間はそこそこ確保できました。答練もようやく平均点が取れたり取れなかったり。
短答式試験の自己採点は32問。合格ラインは32~33問。ちょっと期待していましたが、結果は不合格。3連敗でした。
⇒ ここまでくると一生受からない又は長期化するのでは?と周りは思っていたに違いない。

転機(勉強仲間の合格)

短答式試験の合格発表日。
私は落ちましたが、勉強仲間の一人が合格したのです!正直、驚きました。
その人は、答練をしても、ほとんど私と同じくらいの成績で実力は変わらないと思っていました。そんな身近な人が短答式試験を合格し、さらに論文式試験にも合格してしまったのです。
悔しい気持ちは少しありましたが、その時一番思ったのは、
「今の自分でも十分合格できる可能性がある」と強く思えたことです。

何が足りなかったのか?・・・勉強量?、勉強の質?いやいや、実力は十分なはず。あと、足りないものは・・・?

なかなか言葉にするのは難しいのですが、
私の中では「論文式試験に絶対合格するという気持ち」なのではとの結論にいたりました。

したがって、まず、常に本番を意識することから始めました。本番では、様々なプレッシャーや想定外の出来事により、心の動揺から、普段なら簡単に解ける問題も間違えてしまう。だから普段から、勉強をしていても、本番で「こんな状況になったらどうするか?」など考えるようになりました。
また、答練や自習室で勉強している際に、
・ 隣にブツブツ独り言を言う人がいても、
・ 貧乏ゆすりの激しい人がいたとしても、
・ 電卓の押しが異常に強い人がいても、
これが本番ならとか想像しながらやっていました(意外と面白がってやっていました)。

もう一つ大切なことは、試験本番1か月前の追い込み期間にする勉強の準備をしておくことです。この時期は新たにインプットすることはなく、どれだけ効率的に復習し、記憶を定着させるかが鍵。私の場合は、不要なもの(=その期間に見ないもの)はどんどん捨てました
例えば、答練の解説です。答練は、受けた後すぐ、下書き用紙の書き方を考え、A4一枚にまとめました。そうしたら、解説を捨てます。
その他、テキストに色々書き込みました。繋がりがある文章があればリンクさせておく(文章の終わりに関連する文章のページ番号を付しておく)。
また、教科によりますが、財務諸表、会社法、監査論などでは、定義は「青」、意義は「ピンク」、手続きは「緑」といった具合にマーカーを引き、視覚的に判別できるようにしていました。

最後の試験~プレッシャーとの闘い

2001年7月頃から4度目の試験に向け勉強スタート。来年はタイムリミットの25歳。やることはもうわかっている。自分は合格できるレベルにある。
あとは、本番で自分の実力を発揮するだけ。奇跡はいらない。120%の力もいらない。できることだけ、完璧にこなせば良い

短答式試験の日。驚くほど答えがわかりました。問題を解いている時は、今回は基礎的な問題が大部分を占めている。これはみんな正解してくるはず。気は抜けないと思いながら解きました。
結果は、50問中自己採点で45問。専門学校の合格予想ラインは36問くらい。自分でもこの結果に驚きました。

短答式試験終了から論文式試験までの間、ここは受験生みな、心がうごめく時期だと思います。ストレスで押しつぶされる人、モチベーションが上がらない人、この時期に失速する人はたくさんいます。逆に、この時期に大きく伸びる人もいます。昨年合格した勉強仲間はそうであったに違いない。

論文式試験は3日間。試験会場は早稲田大学。当時、千葉に住んでいたので、茅場町のホテルに泊まり、そこから地下鉄で受験会場に向かいました。1日目、目覚めるが体調が悪い。地下鉄で4駅くらいだったが、各駅で降りてトイレに駆け込む始末。自分は3日間耐えきれるのか?と不安になりながら、試験会場へ。机に着席し、試験開始を待つも、気持ち悪い。
これってプレッシャー???
この状況は想定外。最悪でした。めちゃくちゃ弱気でした。
でも、ベストは尽くそうと思い、できる問題だけを解く!という気持ちで臨みました。3日間とも、試験中は体調が悪く、試験が終わって夕方からは調子が戻る。2日目は回復するのかなと思いましたが、2日目、3日目も同じ状況。本当にキツイ3日間でした。

3日間、7科目の試験が終わった瞬間。ベストを尽くした・・・。心の底からそう思えました。極限状態でやり切ったので、妙な満足感がありました。

試験から3か月後、合格発表日。専門学校の掲示板で自分の受験番号を確認しました。大きな感動はまったくなく、ただただ、”ホッ”としました。

まとめ

ここまで、つらつらと書いてきましたが、この資格は、決して合格できない試験ではないと思っています。当然、運・不運などで結果が左右されることもあると思います。でも、あきらめなければ合格できる資格だと思います。一方、この資格を持っているから人生安泰というものでもないです。苦労している人、メンタルやられて働けなくなった人などもいます。幸い、私の場合、信頼できる上司や同僚に恵まれ、辛いことも多々ありましたが、有意義な人生を送れています。また、監査法人で学んだことは、今でも貴重な経験だと思っております。是非、多くの方にそんな経験をしていただけたらと思っています。

最後に、公認会計士を目指そうとしている方、目指している方へ、以下のことを考えているかご確認ください。
● タイムリミットを決めておく(私の場合は25歳まで)
● みんなができる問題を完璧にする(基礎が重要)
● 自分を信じて最後まであきらめないでベストを尽くす
 (←これは公認会計士試験に限らないですね。)

有意義な人生にしていきましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました。

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