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山便り (11)

台風15号の爪痕

 9月21日14時頃、浜松に上陸した台風15号は、その後日本本土の真ん中を北上した。秋雨前線を刺激して暴風と共に大雨を降らせ、日本全土に爪痕を残した。我が家の車庫の屋根トタンは1/4が飛んでしまった。書庫の手作りフェンスも倒れた。こうなると山の被害は計り知れない。想像するのも嫌だが、多分、路面の土は流されガタガタになっているだろうし、悪ければ、風で木が倒れ道を塞いでいるだろう。最悪のケースは、先の7月20日の台風6号で崩れ、修復したばかりの作業道が、再び崩れ前回より、ひどくなっていることだ。
 翌22日、朝6時に目が覚めた。被害の実情を知って落胆する恐ろしさが、山に出掛けるのを渋らせていたが、8時、覚悟を決め山に出掛けた。運転しながらも、次女が「もう少し経ってからにしたら」と言うのを振り切ってきたので、「落石注意」の看板を見ると、山崩れに会わないだろうかなど悪いことばかり考える。道の駅「山桃の里」の手前で車が数台止まっている。信号もなく普段、車が止まるところではない。一台一台車を止めて何か説明している人がいる。「この国道152号線は龍山で通行止めになっている。通行可能となる目途は立っていない。」という。「横山から熊に抜ける県道に入る」と言うと通してくれた。天竜の奥は、余程ひどかったのだと思うと心配は膨らんでくる。横山から県道に入る交差点の信号が消えている。この辺りは停電しているのだと思うと不安は更に膨れた。県道を走っていくと、枯れ枝と共に暴風で引きちぎれた小枝が散在している。何時もは気がつかない小さな沢の所では流されてきた石がゴロゴロしている。尋常ではないことはすぐ分かった。5分も行かぬうちに、通行止めに会った。見ると道路が崩れてきた土砂で塞がれていた。峰づたいの道は何とか通れるだろうと言うのでそちらに回った。地元の人達が手分けして崩れた箇所、散在する木の枝を片付けている中を恐縮しながら走った。県道から山に入る市道に入ろうとしたら驚いた。石ころだらけで車ではとても入れない。仕方なく、車を道端に止め、徒歩で小屋まで行くことに決めた。果たして小屋までたどり着けるのか不安が募る。

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