秋の風景
赤く色づいた葉っぱがスローモーションで落ちていく。
うすい雲から透けて見えるのは、たくさんの水でといたような淡い空。
樹々にはぽつぽつと朱色や橙色が足されていく。
たわわに実る柿。枯れ葉の絨毯。あたたかな秋の日差し。
晴れた日の秋の風景は、どこか幻のようで眩しい。
子供のころから自然にまみれていた。近所の子供たちとも遊んでいたけれど、鮮明に覚えているのは一人で過ごしている時かもしれない。
夕陽みたい染まったカラスウリ。深い紫色に熟した山ぶどう。近所の家のグミをもぎっては食べ、もぎっては食べる。玄関先の金木犀の香りが好きで、花をつぶして香水もどきを作ったりもした。
空はたかく、見上げればいつもそこにあって。全ての人とも繋がっているんだと、しみじみ感嘆したり。
せっせと人々が会社で働いている月曜日だというのに、自然の中をうろうろしているのは子供のころの名残かな。世俗からは逆行する一方で。
気がつけば11月も終わる。
季節の変わり目、風邪など召されませぬよう、あたたかくしてお過ごし下さいませ。
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