【素描】枝男

男が枝を食っている。

枝の太さは箸くらいで、長さも箸二膳分くらいである。

男は枝を口から離し、手に持つと、ブンブン振り回しながら、車が行き交う大通りをのそのそと横断する。かと思ったら、車道の真ん中で立ち止まる。

枝を口にもどし、腕にかけていたコートをフワリと羽織り、白いハットを被り直してから、のそのそと車と同じ方向に歩き出して行った。

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