【素描】青い服の少年

信号機が青に変わった。

わたしが一歩ふみだすのと同時に、となりにいた小学5、6年生くらいの男の子が上半身をぐっと直角に曲げ、まえかがみになったまま、いきおいよく走り出した。

男の子は青いポロシャツを着て、左手にはミネラルウォーターのペットボトルをバトンのように持っている。右手はぴんと平たく指をそらえ、その細長い両うでを軽やかに振りながら、わたしのまえをぐんぐん走り抜けていく。そう、カール・ルイスのように。

と、思ったのも束の間。しばらくして速度を落とし、歩いてた。

そういえばこのまえ、わたしも急に走りたくなって走ったよ。
君といっしょだね。おかしいね。

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