筋肉に

筋肉に外国語を覚えさす。

リスニングってすごい

リスニングができるようになるって、冷静に考えてすごいことです。一つ一つの単語の理由を知っていないといけないし、文の構成や文法の知識も知らなければ文章の意味として理解できません。しかも話者はYouTubeみたいに止まってくれません。瞬間瞬間に処理しないといけない情報量が多すぎる。これができるということは、冷静に考えてすごいことです。

それが母語ならば、それほど頭の回転が速い人ではなくても、聞き取ることができます。それはなぜか。それは、母語では一つ一つの文法や単語の意味などを考えていないからです。脳みそを経由していません。反射運動のように、筋肉が外国語を覚えているような感覚です。だから情報量は多量ですが脳が処理している情報は少なくなり、リスニングが可能になります。

外国語を母語のレベルにまで昇華させるのは難しいですが、リスニングができるようになるためには、めちゃくちゃ頭の回転数がいい人は除いて、脳の情報処理の負担を減らさなければいけません。単語の一つ一つを脳みそで訳する時間はありません。ということは、筋肉に外国語を覚えさすということが現実的に必要にです。リスニングができる人というのは、そういう状態なのです。

意識してできることには限りがある

「歩く」という動作をロボットにプログラミングするとき、そのコーディングが非常に複雑になると聞いたことがあります。

まず目で見て、前方に何か障害物が無いかを確認します。そして一方の足を前に出そうとする。この時に徐々に重心を前に移していきます。遅すぎると後ろに倒れてしまうし、はや過ぎれば前に倒れてしまう。そして、足が着地するころにはもう一方の足が地面から離れている。着地した足の裏の体重移動を後ろから前に移しながら、最後にはつま先で再度地面を蹴る、その時には他方の足のかかとが地面に着地し始める。これを繰り返す。

私たちは毎日一万回も「歩く」という動作をしていますが、この様な意識はしていません。無意識化されているのです。この状態のことを「筋肉に覚えさす」と言っています。これができることで、私の意識は別の問題に取り組むことができるのです。無意識化は偉大なのです。

無意識化には反復練習

無意識を利用するためには何が必要か。これは反復練習です。何度も繰り返し繰り返し練習するのです。ちょうど高校球児が素振りを繰り返してその感覚を体に覚えこませるように、語学に関しても、特にリスニングに関しては英語を耳に慣らせるための反復練習が肝です。そして、ある一定の反復を経た後に、急にその外国語が耳に入ってくることがあります。私もそうでした。ある時ふと気づくのです。

「あれ、いちいち訳さなくても、文の全体からその意味が分かるようになってる。」

そう、いちいち単語を訳していた時は脳のメモリが常にフル回転パンク状態で、その次に出てくる英単語を聞き逃してしまったりしていました。しかし、無意識化されて耳の筋肉に英語を覚えさせると、その時は脳内メモリを使っていない感覚になるのです。そうすると自分の思考に余裕が生まれます。(まるでサクサクのパソコンのように。)単語を聞き逃すこともなく、文全体の意味も把握できている状態になる。英語耳を手に入れた瞬間です。

「英語に浸かる」感覚

英語は単語をたくさん覚えないといけません。そして、その暗記が嫌いで英語を遠ざけてしまう人が少なくありません。確かにそうなのですが、それだけでは英語を使えるようになりません。脳みそだけではなく、筋肉にも覚えさせる必要があるのです。だから机上で脳みそに覚えさせるというよりも、五感を駆使して「英語にどっぷり浸かる」という方がより正しい表現だと思います。

多くの人は英語に浸かりきっていません。もっともっと英語を聞いて、もっともっと英語しゃべる必要があります。一日24時間の中で一時間だけは英語のプールの中に飛び込むという積み重ね。それが重要です。そうでもしないと、日本にいながら外国語を筋肉にまで落とし込んで無意識化させることは難しい。逆に、毎日一時間だけでも「浸かる」習慣ができれば、その成果は半年もすれば目に見えて出てくるでしょう。

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