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【参加レポート】憧れだったWACATEに初参加してきた


ここ最近「ワーケーション」にハマりかけていたのですが、その矢先、オミクロンが猛威を振るい始めぐぬう…となっています。
早くまた安全に旅に出れるようになって欲しいですね。


さて、今回は2021年の12/12(日)、12/19(日)の2日間で行われた「WACATE(ワカテ)」というイベントに初参加してきたので、こちらの参加レポートを書いていきたいと思います。

  • 「WACATEって聞いたことあるけど、具体的にどんなことやってるの?」

  • 「参加してみたいけど、どういう雰囲気なのか分からないからちょっと勇気が出ない…」


という方はぜひ読んでみてください。


WACATEの概要


まずはざっくりとWACATEの概要から。
(以下、公式サイトから簡単に引用しました)


WACATE(ワカテ)はその名の通り「"若手"でテストに興味がある人」を対象にしたワークショップ中心の勉強会です。

Workshop for Accelerating CApable Testing Engineers:
内に秘めた可能性を持つテストエンジニアたちを加速させるためのワークショップ

の頭文字を取って名付けられたWACATEは、「若手世代がテストについて色々と学び、議論し、成長する」ことを目的に、2007年から夏と冬の年2回開催されてきました。

また、夏と冬ではそれぞれコンセプトが異なっていて、

  • 夏:ひとつのテーマを「狭く深く」集中的に取り組む

  • 冬:テストに関するテーマを「広く」取り組む


なので、今回のWACATE2021冬では「デシジョンテーブル」「探索的テスト」「テストケースの書式」「ふりかえり」など、幅広いテーマでセッションが行われました。

各セッションの内容を知りたい方は「セッションごとの概要と感想」をどうぞ。


その他、WACATEの詳細については公式サイトを見てみてください。


よくある質問もまとめられています。


参加した背景


もともと存在自体は知っていて前から興味があったのですが、今回僕が参加を決めた理由を簡単にまとめました。

  • テストについて自己流でやっている(と思っている)部分が多く、「デシジョンテーブル」や「探索的テスト」などについて改めて学び直したかった

  • ここ最近コミュニケーションやアウトプットの重要性を強く感じており、ワークショップが中心の勉強会ということで「自ら進んでアウトプットする力」を鍛えたいと思った

  • オンライン開催のため、比較的参加しやすかった


WACATEは基本的にグループワークやディスカッションなど「コミュニケーションを取る機会が多い」勉強会なので、コミュニケーションやファシリテーション、アウトプット力を鍛えられそうだと思ったのが一番大きい理由でした。

あとは、コロナ禍で2020年の冬以降オンライン開催になっていたのも理由の1つではありますね。

この辺については「ポジションペーパーセッション」の章で僕が書いたポジションペーパー(自己紹介や意気込みなどを書く紙)に詳細を書いているので、そちらも合わせて見てみてください。


セッションごとの概要と感想


ここからは、WACATE2021冬で行われた各セッションの概要と、受けてみての感想を書いていきたいと思います。

WACATEは例年2日間にわたって開催されており、

  • オフライン開催の場合:1泊して2日連続

  • オンライン開催の場合:2週にわたって2日間


といった具合に開催形式が異なります。

WACATE2021冬の各スケジュールは以下のページ参照です。


それではさっそく1日目のセッションからふりかえっていきます!


◆ 1日目のセッション


ポジションペーパーセッション


セッション1発目はポジションペーパーセッションです。

先程もちらっと書きましたが、ポジションペーパーとは「WACATEの参加にあたっての自己紹介、参加の意気込み、参加した理由 etc.」を書いた1枚の紙のことで、ポジションペーパーセッションにて一番最初に参加者同士で自己紹介を行うという流れになっています。

今回僕が書いたポジションペーパーはこちら。


初参加ということで真面目に書きましたが、今思うとちょっと硬すぎる文章になってしまったような、、、なので次回参加するときはもっと若手らしく、勢いのある感じで書こうかなと思います笑


さて、このセッションでは「4~5人で1グループを作り、その中で自己紹介」を2回行います。

そして2回目にグループになった人が、以降のセッションのグループワークを一緒に行うメンバーになるという流れです。

今回は全部で7~8人くらいの自己紹介を聞きましたが、元開発や異業種出身など様々なバックボーンをもつ方が多く、そういった方々の話を聞くのはとても興味深かったです。

あと個人的に驚いたのは、WACATEの常連(2回以上参加している方)がすごく多いこと。

後から皆さんのポジションペーパーを読んだ感じではおよそ半数以上の方が2回以上参加されているようで、やはりそれだけ良い体験ができるイベントなんだなと改めて感じましたね。


BPP(ベストポジションペーパー)セッション


続いてはBPPセッションです。

こちらは前回のBPP賞に選ばれた方が自分で決めたテーマで発表するというセッションで、今回は前回BPP賞の角玄さんが「組込み開発エンジニアがソフトウェアテストの勉強をして変わったこと」というテーマで発表されました。

概要としては「テストほぼ未経験の自分が、第三者検証チームの立ち上げをきっかけに変わったこと」というお話で、ほぼ未経験から自分なりに努力して勉強して、そこからQAチームを実際に立ち上げてしまうって素直にすごいなと感じました。

この発表を聞いて勉強のモチベーションがさらに上がりましたね。
「他の方も日々努力している、僕も負けないように頑張ろう」と思えました。


セッション1:デシジョンテーブルで振る舞いを整理しよう


お昼休みをはさみ、続いてのセッションはいよいよ手を動かすワークショップです。


デシジョンテーブルは過去に何回か使ったことはありましたが、自分が今まで書いていたのが「デシジョンテーブルもどき」であったことが分かりました笑

でも、正しいデシジョンテーブルの書き方を改めて学び直すことができ、それに伴って「同値分割」や「因子・水準」など、関連する技法・用語の理解も深めることができてとても充実したセッションになりました。

グループワークでは、メンバー同士でデシジョンテーブルを見せ合ってディスカッションを行いましたが、それぞれ「因子・水準の出し方」や「結果の書き方」が異なっていて、同じお題でも違う視点や考え方で捉えることができて勉強になりました。


セッション2:ふりかえりをふりかえる


1日目最後のセッションは「ふりかえり」についてのセッションです。

実は今までの各セッションの終わりには5分間「セッションのふりかえり」の時間が設けられていて、こちらの「ふりかえりをふりかえる」のセッションでは「『今までのセッションのふりかえり』をふりかえる」という時間になっていました(説明がややこしくてすみません…笑)

どうやら2021冬のWACATEではこの「ふりかえり」が1つの重要なキーワードになっていたようですね。


実際のワーク内容ですが、Google Jamboardにて付箋としてまとめていた各セッションのふりかえりをもとに、その中でも特に深堀りしてふりかえっていきたいふりかえりを選び、それに対して

  • ふりかえったとき、どんな感情だったか

  • なぜそのような感情を抱いていたか

  • ふりかえり内容について「実務」と「WACATE2日目のワーク」それぞれに活かせそうなこと

を追記していき、最終的に「実際の行動」にまで落とし込んでいきました。

ちなみに、今回僕が深掘りしたふりかえり内容はこちら。


こちらは角玄さんのBPPセッションに対してのふりかえりを題材にしたものですが、大まかな流れとしては以下の通りです。

「テスト未経験からQAチームを立ち上げていてすごい(ふりかえり)
 ↓ どういう感情?
「驚き、尊敬(感情)
 ↓ なぜ?
「同じ立場だったらできないと思うから(理由)
 ↓ このふりかえりをどう活かす?
「自分もマネジメント・ファシリテーション力を伸ばしたい(活かしたいこと)
 ↓ 具体的には?
「JSTQB AL TMを勉強する・他の人に話を振ってみる(行動)


ちょっと無理やりJSTQBの勉強に結び付けてる感がなくはないですが、ある程度きれいに収まったんじゃないかなと思います笑

実は、僕は今まで業務などでふりかえりをちゃんとやったことがなかったので、このセッションでのふりかえりが初めての経験になるのですが、このようにしっかりと型みたいなものが決まっていて、「どういった流れで考えていくと実際の行動まで落とし込めるか」の道筋が立てられているフレームワークを使えば、未経験者でも簡単にふりかえることができることを実感できました。
(厳密に言うと、今回使用したふりかえり方法は既存のフレームワークではないらしく、「ORID」「4行日記」などの手法に近いものだそうです)

それ以外にもKPT(名前だけは知っていた)などの有名どころな手法も改めて紹介されており、どこか遠い存在だったようなふりかえりがとても身近なものに感じられるようになりましたね。

できるところからで良いので、僕も今後はしっかりとふりかえりながら業務をより良いものにしていこうと思いました。


◆ 2日目のセッション


モーニングセッション:継続的テストモデルにおける具体的な施策を学ぶ


2日目最初のセッションは、「継続的テストモデルにおける具体的な施策」についてのセッションです。


「継続的テストモデル」についてはおそらくこちらの図が有名だと思いますが、今回のセッションで学ぶのは右側の「Release~Monitor」までのプロセスが対象の施策になります。


今回紹介された具体的な施策は以下の6つでした。

  • ダークローンチ

  • A/Bテスト

  • バグバッシュ

  • ドッグフーディング

  • βテスト

  • カナリアリリース


これらについて僕自身、

  • 経験したことがあるもの:バグバッシュ、ドッグフーディング

  • 名前は知っていたけど経験したことがないもの:A/Bテスト、Bテスト

  • 名前自体初めて聞いたもの:ダークローンチ、カナリアリリース


といった感じで、聞いたことはあったけど経験したことがなかったり、経験したことはあるけど「そういう名前だったんだ!」という施策があり、とても勉強になりました。

今までは「リリースした後って、もう次のリリースのテストに移るんじゃないの?」と思っていましたが、「リリース後にも実施することができる具体的な施策(テスト活動の一環)」を学ぶことで、より継続的なテストについて理解を深めることができましたし、こういった活動を提案したり運用したりすることもQAエンジニアの仕事の1つなんだと改めて実感できましたね。


セッション3:探索的テスト


続いては「探索的テスト」のセッションです。

WACATEの実行委員ブログでも書かれていますが、このセッションのためにWACATE実行委員自らテスト用のアプリケーションを開発するという力の入れようで、個人的に一番楽しみにしていたセッションでもありました。

ワークの内容としてはシンプルで、用意されたテスト対象システムに対し、各自でテストチャーターを作成したり探索的テストを行った後に、各グループのメンバー同士で話し合う、といった流れです。

話し合いの時間では、

「どんなバグが見つかったか」
「○○ボタンの挙動がおかしかった」
「○○の条件下で○○したらどうなるんだろう?」
「バグじゃないと思うけど、あの挙動って○○だよね」

などなど、色々な意見が交わされとても充実した時間になりました。

今までのセッションでもそうでしたが、自分の考えを人に伝えたり逆に他の人の考えを聞くことでお互いに異なる視点や考え方を共有することができ、「なるほど、そういった見方もあったか~」という気づきに繋がるので、やはりワークで手を動かす → 情報を共有し合うというのはとても勉強になるなと感じましたね。


セッション4:昼の分科会


お昼休みをはさみ、2日目の後半戦は分科会セッションからスタートです。

分科会は今までのセッションとは少し異なり、「参加者側が取り扱って欲しいテーマを応募し、選ばれた各テーマについてグループごとに分かれてディスカッションする」という形式のセッションで、今回は以下の4つがテーマとして選ばれました。

  • 何をどうやってインプットしていますか?意識していることは何ですか?

  • VRアプリのテストをどうやるか

  • どういうテストを自動化するか

  • 開発者のテストとQAエンジニアのテスト


どれも興味深いテーマでしたが、他の人のインプット方法に興味があったので、僕は1つ目のセッションを選びました。

こちらのセッションでは、インプットに関する以下の4つのことを順番に発表していき、他の人からフィードバックをもらったり情報交換をしたりするという流れでした。

  • おすすめのインプット

  • どうやって情報収集をしているか?

  • 今欲しい情報

  • インプットするときに意識していること


僕は以下のようにまとめて発表しました。


これらの発表に対して、他の人から「この本おすすめですよ!」「わたしの現場ではこうやってますねー」「この○○って知りませんでした!」などなど、色々な情報をもらったり意見を交換することができ、とても有意義な時間になったように思います。

せっかくなので、おすすめのインプットやインプット方法で多く出たものをいくつか紹介したいと思います。

  • おすすめのインプット
     - JSTQBの各種シラバス
     - マインドマップから始めるソフトウェアテスト
     - 知識ゼロから学ぶソフトウェアテスト
     - ソフトウェアテスト技法練習帳

  • おすすめのインプット方法
     - JaSST
     - JaSST nano
     - テスト設計コンテスト
     - ブログやTwitter
     - 社内勉強会


おすすめのインプットとしては、(僕もですが)JSTQBのシラバスをあげる人が多かったですね。やはり基本はシラバスから、というところでしょうか。

インプット方法としては、JaSST nanoが圧倒的に人気でした笑
僕も含め、集まったメンバーのうちたぶん半数以上の方があげていましたね。


~ちょっと脱線~

(知らない方向けに)JaSST nanoは「小さな小さな、最も発表のハードルの低いJaSST」をコンセプトに、2021年6月から月1回のペースで行われているイベントで、2022/2/15(火)の「JaSST nano vol.9」で通算9回目の開催となります。

vol.9の発表者の募集はすでに始まっているみたいなので、興味のある方は以下の公式サイトからぜひ確認してみてください!


connpassのコミュニティページはこちらから

~脱線終わり~


といった感じで、みんなでわいわい盛り上がりながらディスカッション・情報交換ができてとても楽しかったです!

もし次のWACATEでも同じような分科会の時間があるのであれば、もっと別のテーマでもディスカッションしてみたいですね。


セッション5:みんなどんな書式でテストケース書いているの?


続いてのセッションは「みんなどんな書式でテストケース書いているの?」です。


こちらも他のセッション同様ワーク形式で、自分が普段書いているテストケースをグループメンバー同士で発表し合い、フィードバックをしたりされたりするセッションになります。

僕はデシジョンテーブルや探索的テストと同じく、テストケースも自己流で書いていた部分が多かったので、このセッションも他のメンバーのテストケースの書き方・考え方が学べてとても勉強になりました。

こちらについても、僕のグループ内で出たテストケースを書くときの考え方・コツを一部ご紹介します。

  • 前提条件、実施手順、期待値を詳細に書き、誰がテストを実施しても同じ結果となるような作りにする

  • テスト観点ごとにテストの流れを意識し、全体を通してどのようなテストをどういった流れ、目的で実施しているのかを分かりやすくする

  • テスト観点書など、テストケースに紐づく各資料とのトレーサビリティを意識して作る

  • 1つのテストケース内で複数回結果を入力できるようにする

  • 対象システムの画面URLを貼って確認しやすくする

  • テストケース全体で共通となる説明を始めに記載し、テスト手順や前提条件などで説明の重複など、ムダな記述が出ないようにする

知っている人からすると基本的なことが多いと思いますが、何かの参考になれば嬉しいです。


招待講演:レビューが教えてくれたこと


WACATE2021冬の最後を締めくくるセッションは、安達さんによる招待講演「レビューが教えてくれたこと」です。


安達さんの過去の実体験による「8つのエピソード」をもとに、そこから学んだことをふりかえって紹介するという内容でした。

本講演の主張をまとめると以下の通り(特に印象に残ったのは太字)

  • 開発担当者とテスト担当者は対決ではなく協調姿勢を持つ
    全員のゴールは高品質のシステムを作ること

  • 「思考&試行」により、良い答えを求め続けることが大事
    思考停止は形式的な対応を促進し、成長を阻み、仕事をつまらなくする

  • 無理な仕様変更など、何でも要求を受け入れるのは×
    部分最適の積み重ねは全体の不最適に繋がる

  • レビューの目的・観点は自分の立ち位置・役割で変わる
    レビューの役割は立ち位置の視野の違いによる悪影響を最小化すること

  • 信頼は一日にしてならず。信頼=誠実×能力

  • 自分の価値観をしっかりと持ち、成功体験を積むことで自分のものにしていく。誰かが必ず見てくれている
    ただし、「自信」が「過信(行き過ぎた自信)」にならないように注意

  • 成長するためにはアウトプットすることが重要
    他人の批評やフィードバックを恐れず
    、ストレッチ目標をもって取り組む

  • 自分のためだけに仕事をするのではなく、周囲への感謝を忘れず関係者全員が幸せになる仕事をする
    そのためには「ふりかえり」が重要である


現状の自分にとって刺さる部分が多く、「改めて意識してみよう」「出来てなかったから仕組化してやってみよう」と思えるものが多かったので、皆さんもぜひ講演資料を読んでみてください。


まとめ


以上、「WACATE2021冬」の初参加レポートでした!

長くなってしまったので、最後に全体を通して得たこと・感じたことをまとめて終わりにしたいと思います。

  • 積極性が大事
    全体を通して一番感じたのは、やはり自分から積極的に話しかけたり意見を言うことが大事だということです。
    もちろん各セッションごとにグループで話し合う時間は設けられているのですが、その中でも自分から積極的に意見したり質問したりするとより場の雰囲気にもなじめるしグループでのディスカッションも盛り上がります。

    「知らない人と会話するのが苦手なんだけど…」という方もいるかもしれませんが、グループディスカッションでは2回以上WACATEに参加されている常連さんや実行委員の方々が適宜サポートして話しやすい場の雰囲気を自然と作ってくれます。
    なので「なかなか自分から話しかけられない…」「自分の意見を言うのが苦手で…」という方も、ぜひ勇気を出して自分から積極的に話しかけるとよりWACATEを楽しめると思います!


  • 2つの輪が広がった
    今回のWACATEを通して、「テストにおける知識の輪」「テスト仲間の輪」の2つの輪が広がったなと感じました。
    テストに関する知識がついたのはもちろんですが、グループでのディスカッションやワークを通して、他のQAエンジニアの方々とコミュニケーションを取れたのが自分にとって良い刺激になりましたね。

    実際に話をしたことがない人でも、最近ではブログやSNSなどで簡単にその人の意見や主張、考えていることやどんな人なのか?を知ることができるようになりましたが、やはり実際に顔を合わせて言葉を口に出して話し合うことでお互いの意見や考えなどが伝わりやすくなり、相手をより深く知ることができるなと実感しました。


ということで、ここまで読んでくださってありがとうございました!

次回の開催についてはまだ公式に発表はされていませんが、恐らく2022年6月中旬頃に「2022WACATE夏」がオンライン開催されると思いますので、興味を持たれた方はぜひ参加してみてください!


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