安全保障という点からの日本のエネルギー
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ウクライナにロシアが侵攻した。絶対反対。あり得ないと思う。こういうことは起こるということは衝撃的だった。でも、とにかく起こる可能性がある。ロシアはすぐに手を引くべきだ。
ここで書く話は直接的に戦争の話ではない。私が2008年、2014年、2018年とドイツやオーストリアなどの中央ヨーロッパに行った時に、必ず言われていたことがある。「再生可能エネルギーはどんどん広げるべきだ。ロシアからパイプラインで天然ガスを買っている以上、ロシアのご機嫌を伺わなくてはいけない。それだけは嫌なので、バイオマスなどを広めることに意味があると思っている。」この話はたびたび聞いた。まさかそんなことが起こらないとは思うけど。という枕詞がついていたが、それが現実のヨーロッパで起こってしまった。
重油のボイラではなく、バイオマスに変えようと言った社長に、当初は憤っていた娘は、父親の見通しのよさ、代が代わってもうまく言っている先見の明に感謝していると言っていた。それはなんと14年も前のことである。それが現実となっている。
ドイツは石炭で自給率が40%を超える国である。でも、CO2を出さない様にするため、最大限のスピードで「エネルギーの大転換(ヴァンデベルデ)」を牽引し続けている。EUは系統を一つにして、お互いの国でエネルギーの融通をして、最も安いエネルギーを買えるよう、電力市場を株式市場のようにして、VPP(バーチャルパワープラント)という株のトレーダーのような会社が電力の売り買いをしている。そこでは、固定価格買取制度、FIT(FEED IN TARIF)は終わっていて、電力量の多寡によって、買取価格が違うFIP(FEED IN PREMIUM )制度に移行している。
振り返って日本。本来は完全に独立した資本で行うべき、発送電分離も資本関係のある状態で行っているから系統がすぐにいっぱいになってしまう。本来なら系統線を強化して、系統を一つにすべきだが、まだ、系統は電力会社の数だけあって、一部の融通しかできていない。とんでもなく遅れている。20年~30年は遅れている。建物の省エネルギーもこれに関係する。ドイツでは建物で使う消費エネルギーを現在の日本の3分の1、2分の1に抑えて、そこに再生可能エネルギーをを入れている。実は日本はいろんな意味で再生可能エネルギーに恵まれた国である。
日本海側の方は太平洋側よりも少ないというが、1割程度しか減らない。また、雪国ではなかなかという人もいるが、これも誤解。寒いところの方が発電はより多くする。低温の方が電気抵抗が少なくなって効率が上がるためだ。まず、太陽光はつかえる。日本の地形の特徴として、真ん中に山脈があるので、水力発電が発達している。太陽光発電が発電しすぎたときには、水をモーターで上に持ち上げ、必要なときに水を落とせばいい。これを揚水発電という。実は止められない原子力発電の夜間電力をこれで調整しようとしたものだ。
日本の家のエネルギーは規制が緩かったおかげでダダ漏れだ。これを少しでも減らして、ヨーロッパのようにエネルギーを減らさないといけない。今回の戦争でわかったのは、こういう事態が起こりうるということ。エネルギーが輸入されなくなるかもしれないということである。輸入されたとしても、不安定な供給になれば、当然価格は上がっていく。そのときには使うエネルギーを減らして、自分でエネルギーを作れるようにしておくことが大事だ。日本全体の3分の1のエネルギーを使っている家の屋根に太陽光発電を載っけて、自給することを考えることが大事だ。クルマも同じ。高いガソリンを買うのではなく、自宅の屋根の電気で自給する。今ある技術で十分にできる。これこそが、岸田内閣のいう経済安全保障であると思う。確かに石油の価格を抑えることも必要だとは思うが、それを抜本的に切り替えることがとても大切なのである。
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