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あり方委員会第4回を終えて。 中間の感想です。

(はじめに)はちゃんとしてますが、中身はスカスカです。今までは2030年までの平均でZEH、ZEBの新築をめざすという、国交省、経産省、環境省で共通の目標が、国交省によって躯体性能だけのものの目標にゆがめられています。

素案を見て、言い方はひどいですが、文書の改竄レベルの話だと思いました。


また、タスクフォースから出された質問の回答をみて、呆れました。各所に、あり方検討委員会議論していると書かれていますが、一方的な案が出てくるだけで、いろいろなことを議論している実感はないです。
まず、前提としての言葉の定義が曖昧。議論のしようがありません。
そして、数字を伴ったロードマップがたたき台としてないので、全く議論になりません。

議論をしているというのであれば、「あり方検討委員会をやり直す」と同じ意味にとれますが、そうしていただけるんでしょうかと言いたいくらいです。

あり方検討委員会に必要なのは、まずは言葉の定義とロードマップです。
NDC26であれ、46であれ、2050年脱炭素することを前提の議論になっていないと感じています。

これは国益の損失につながると思っています。

内政的にも外交的にも。

まずは外交的に。日本がG7の枠組みの中にいます。そして、G7の対抗国として想定されている中国は国際的な枠組みの中での弱点は温暖化対応クイックにできないことです。西側諸国はその優位性を常に示しつつ、これに対抗します。その前提が脱炭素です。それをヨーロッパ、アメリカ並みに要求してくる。日本はアメリカがトランプだったので、脱炭素化が進んでいないと思っていますが、実はステート(州)レベルでは着実に進んでいた。合衆国としては何もしていないように、見えていてもこの難題に真摯に取り組んでいたのです。これを日本にも要求する。日本は、トランプのアメリカと中国をみて、まだ、大丈夫とたかを括っていたから大変なことになります。同盟国の日本が、できなくていい理由はありません。結果的に石炭火力の輸出も禁止された。当然、NDCの積み増しも有り得るでしょう。日本の46%はヨーロッパから見れば、ギリギリ及第点のレベルです。これからも様々な要求がどんどん来ます。それなので、CO2の排出が減らせないとなると外交から締め付けられます。だから、積極的に脱炭素に取り組まなくてはいけない。
もっと実質的な話もあります。G7で石炭火力の輸出の禁止が決定。(オリンピックの話をしている場合じゃないんです、本当は。)石炭火力は目の敵です。おそらく、輸出だけではなく、動かすこと自体も禁止の方向に向かうはず。そうなると日本のベース電源(20数%)が危うくなる。また、変動に対応しているLNG発電もそう安定しているわけではない。去年の冬の電気の需要が足らなくなったとき、LNGの価格が急騰して大騒ぎになりました。日本のエネルギーの供給ってそう安定していないということです。2050年に脱炭素であるならば(化石燃料を使わない)、早めにその姿を提示して、それに近づけるべきだと思います。

内政的には、国交省の後ろ向きなスタンスが、建築産業の大きな可能性を閉ざしているという点が気になります。国民一人一人にとって、家が暖かく健康で過ごせるというのは大きな便益で、これに向き合ってないないことが最大の問題だと思います。今や日本は自動車以外輸出するものがなくなっています。その自動車も大きな変化の波に呑まれてどうなるかわからない。結構、八方ふさがりです。
日本は内需の国です。加工貿易といって、輸出が大事といっていた時代の高度経済成長時代もバブルの時も、ずーと15〜17%程度を維持しています。1億人というマーケットの中で、文明が自ら築ける結構珍しい国です。人口減少局面では、それに合わせた政策を打ち、内需の力を活かして産業を作り、雇用を産むことが大事です。そういう中で、イノベーションと発達の余地を残しているのが、エネルギーと産業の分野です。意外に聞こえるかもしれませんが、建築で日本のエネルギーの3分の1を使っています。エネルギーを分散型にして、輸送のコストをかけなくすること。住まいを豊かに暮らせるように改良すること。この2つが産み出す価値は計り知れないものがあります。衣食住の中で、高齢化社会を迎え、健康に住むという点で欠けているのが、住宅の断熱性能です。今までは躯体を断熱するのではなく、高効率の機器でなんとか省エネルギーをしていましたが、ある程度以上減らすのは、十分な断熱性能が必要です。本当はそのイノベーションが起こるように、後押しをすべきものを、低レベルなハウスメーカーに合わせて、イノベーションを起こりにくくしています。日本が進むべき道を国が閉ざしていいとは思えません。もっと真摯に取り組むべき問題だと思います。


一方、地方は独自の基準や制度を作り、住民の健康を考える施策を打ち出しています。その話は次回に。


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