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建築物省エネ法をなぜ急がねばならないのか(3)地方で先行する温暖化対策

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現在、日本は人口減少が急激に進み、2050年には9500万人まで減ると言われている。

1億2800万人であった人口が、すごい勢いで減少する。東京都市圏3500万人、10大都市圏の人口は現在6900万人だ。東京都市圏以外の人口は9300万人から6000万人に2/3に。10大都市圏人口が変わらないとすると都市圏人口以外の人数は5900万人から2600万人にとなんと半減以下になってしまう。地方からは人が流出し続け、地方の自治体は存続の危機にあると言ってもいい。

そういう中、地方の自治体が積極的に二酸化炭素の削減率を高め、温暖化対策を進めようという気運がある。代表的なのは長野県だ。長野は二酸化炭素の削減率を国の46%を超えて、60%と設定し議会で議決している。また、それを実現するべく、長野県のセロカーボン戦略を着々と進めている。知事をはじめ、推進していく原動力は台風19号で被害を受けたこともあるが「長野県の持続可能性」だと首脳陣は言い切る。温暖化対策によって、雇用や産業を産み出し、暖かく住みやすい家を増やし、人口の流出を抑えるとのこと。

また、住宅の性能を上げ、健康省エネ住宅を進める施策をしているのは鳥取県だ。同様の仕組みは山形県にもあるが、鳥取は年間での随時受付を前提とした。ここでの等級が、HEAT20の仕組みを引用して、T-G1、T-G2、T-G3と民間のグレードに鳥取のTをつけて使っていたが、今回このグレードを国交省が「等級5」、「等級6」、「等級7」と定めたことは、普及にとっての弾みにもなっている。

京都は、京都議定書を制定した都市であるが、県と市が共同で、規模にかかわらず建物に再生可能エネルギーの導入説明義務を条例化した。たかが、説明と言われるかもしれないが、説明するためには、設計士も正しい知識を得なければならず、啓発と普及にとっては大きな前進である。事実、長野県は建物の省エネルギー性能の説明を義務化をすることによって、普及率を大きく伸ばしていた実績がある。環境先進自治体である東京都は負けじと、太陽光導入義務化に大きく舵を切った。

また、温暖化対策として有効なのが、建築物を木造化していくことである。コンクリートを作るセメントや鉄骨は二酸化炭素の排出が大きい。一方、木は二酸化炭素を固定し、建物に使うことによって、林業も栄えることになる。より多くの建物の木造化が求められるが、木造の建物には規制も多い。この規制緩和も建築物省エネ法の改正にも含まれているのだ。

2025年の国の基準の義務化できた段階で、自治体は条例で基準を変えられることが、建築物省エネ法で決められている。着々と地方は準備し、それに応じて進んでいるのである。

2050年脱炭素を目指し、2030年46%削減をするためには、国はこれを応援し、さらに引き上げる必要がある。建築物省エネ法はその点でも速やかに成立させる必要がある。

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