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等級6、7ならデマンドコントロールも対応できます。

(イメージ図は日立のホームページから)
昨日の続き。

さて、なんでこのような停電の恐れがある事態になったのか。一言で言うと、エネルギーに関して進めるべきことを進めていなかった。サボっていたのが、大きな原因である。

何をサボっていたか。一番大きくサボっていたのは、系統の統合と連絡線の強化である。ヨーロッパの系統は一つで、電気は融通(電力をことなる系統に送ること)されまくっている。例えば、どこかが晴れれば、その電気を雨の降っているところに送り、風が吹けばそれを吹いてないところに送る。そうすることで、需給バランスをとっている。系統は基本一つで、系統線の強化を絶え間なくやっていた。

ところがである。日本は系統は電力会社の数、つまり10系統あって、融通するときの系統線が脆弱なので、今回の融通も行われていても、特殊なこととして認識されている。ヨーロッパが一系統なのに、日本は数多く存在し、融通もしずらい状態になっているのである。

また、発送電分離もまだ未熟な状態だ。ヨーロッパでは、きちんと分離され経営されているので、送電網の事業者は、できるだけ多くの電気を通すことを常に工夫している。そうしないと、送電網の会社の経営が立ち行かない。日本は形の上ではグリッドは独立した形になっていても、発電する会社との資本関係がある。だから、できる能力よりも低いレベルでしか運営されていない。再生可能エネルギーなどの新規参入者が入ろうとしても、なかなかそれを受け入れない。送電網の独占状態に甘えている状態なのだ。だから、結果的に新規参入の電気が入りにくい状態になっている。再生可能エネルギーを広げていくと、発電所の規模は小さくなり、数が増える。電力網もそれに対応し、アップデートされ続ける。日本の今の状態は未来のインフラとしては脆弱であって、そこをきちんと誘導しなかった、つまり、サボっていたことが露呈したのだ。

さて、系統線を強化するには、莫大なコストがかかる。それよりも大事なのは、住宅、建築など日本のエネルギーの実に3分の1を使っている建物を省エネルギー化することだ。断熱等級6、7になれば、エネルギーの需要は義務化基準の約半分になる。等級7だともっといく。そうやって、負荷を減らせばいい。

ここまでは、すでに話していることだが、ここからは新しい話。こういった高性能な家のエアコンは連続運転している方がエネルギーコストが下がる。インバータも動かさなくて済むので、ピークの集中が起こりにくい。加えて、電力の供給側からのデマンドコントロールという荒技も使える。短い時間を割り当て、それ以外の電力を使わないようにすればいいのだ。もちろん、太陽光発電だけではなく、蓄電池があったほうがいい。でも、なくても太陽が照っている時間に発電し、それで暖房を賄い、その電気でお湯を沸かせば、コントロールされている時間が長くても、問題はなくなるはずだ。デマンドコントロールは電気メータと連動させ、それを受け入れる家庭の電気料金を安くすることで、大きく普及するはずだ。住宅それぞれがこの機能を持てば、系統線への負担も下がってくる。

そういう点で、高断熱な家を義務化して、高い水準に誘導することがエネルギーの安全保障にもつながる。ちなみに日本以外のG7の国は全て、建物の断熱に関して義務化を行い、年々そのレベルを引き上げている。義務がないのは日本だけである。その義務化の法案が提出されずに、検討中というのはいったいどういう事態であろうか。日本をまともな国するために、国会に法案を提出すべきである。

署名はこちら。
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