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2030年以降はどうするの??

(国交省のロードマップ
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001419725.pdf

日本は本当にバックキャスティングが苦手だと思う。

国交省はあり方検討会の最後で、2030年までのロードマップを出した。これ自体は大変素晴らしい。今まで出していないものを出してくれたのである。だが、、、2030年までの目標しか書いていない。そのあとはどうするというのだろうか。あり方検討会では新築の住宅についての議論をしたが、実はそれはほんの入り口の議論である。本当はすでにある膨大なストックの話をしなくてはいけない。

そしたら、まずは2025年の適合基準の義務化と2030年のZEH基準の義務化あるいは前倒しでいけるのだろうか。答えはそんなに甘くない。

国交省のロードマップの前提は2050年までに断熱改修が必要な建物が、全て建て替わるような図になっている。それも年間着工件数が減り続ける状態での前提にはなっていない。今、その予想は難しいということはわかる。ただ、何年かやってみて、変更する必要がある。既存の建物に対する断熱改修をしなければ、到底及ばない。その時、作る建物のレベルは本当にZEH+つまり、等級5で止めて大丈夫だろうか。答えは否である。新しい建物からいずれ二酸化炭素を出すことがなくなる必要がある。そして、それはいつか。明確に示すべきである。なぜなら、2050年には脱炭素するのであるからである。それが、2035年なのか、2040年なのか。韓国は2035年といい、中国も早晩目標を決めるだろう。その時日本はどうするつもりなのか。舵取り役は示す必要があると思う。以上は住宅の話。さて、民間の建物はTCFDなど、企業の評価のされ方によって、勝手に進む。金融機関が地球温暖化に積極的になれば、そうでない企業は淘汰されるからだ。この流れは止まらない。

残るは公共建築物の脱炭素化である。

政府がやろうと言っているのだから、「まずは公共建築物をゼロエネルギービルにしたらどうか、『まずは隗より始めよ』ですよね。」と言ったら、国交省の担当の方も「そうですよねー。」と答えていた。そうなんだよなあと思う。でも、その後の動きはなしである。「なんで??」そこでやめんの?って感じ。

ただ、国交省はいささか大きな役所で、身動きが取りにくい。一度決めたら、ものすごくの多くの人が影響を受ける。ベースラインのコントロールの政策を担当しているので、動きが遅い。だからこそのバックキャスティングなのであるが、やったことがないからなかなか踏み込めない。政策を決めるときの外部の協力機関が弱いと思う。大学の先生ばかりが名を連ねるが、申し訳けないが現場を持っていない方々である。消費者に向かい合い、商談を重ね営業をし、建物のメンテをしている工務店や設計事務所とはリアリティが違う。どうしたらできるか、いくつかの方法があるので、ここに書いておこうと思う。


①建物の年間冷暖房消費の計算を義務付ける。

公共建築を作る会社はそのくらいの技術レベルが必要だと思う。(実はこれはほとんどない。街場の工務店のオヤジの方がパチパチ計算できる。)

②その消費量を公開し、間違えた設計事務所は入札から外す。

③その上で、少しずつでもその性能を向上させる。削減率でもいい。必ず、少しでも良いので、減らし続ける。

④茶本と言われる共通仕様書を改訂するのも大事だ。これさえやっていれば大丈夫という地方の自治体は多い。そうではないのである。

以上で、あっという間に、技術レベルが上がると思う。ちなみにWEB PROではなく、民間の使いやすいソフトを使い、そのバリエーションを認めることも大事だと思う。




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