『欲望の見つけ方』のレビューは特殊だというのと、ひとつの欲望のあり方があらわれているのかもと思うこと

昨日寝る前にKindleをザッピングしていたら、ルーク・バージス『欲望の見つけ方 お金・恋愛・キャリア』(早川書房)を見つけて、サンプルをある程度読んだあと面白そうだったので買って読んでいる(いま23%くらい)。理由としては、①自分の欲望というのがよくわからなくなった ということと②レビュー欄が「内容はよいのだけれどこのタイトルや表紙デザインはふさわしくない」というので埋まっていたこと の2つ。この本について先に話せば、ルネ・ジラールという哲学者が考えた欲望の哲学について書かれた本で、基本的には、欲望とは自己の中から出るものではなく他人から得るものだ、というやつで、ラカンが欲望とは他者の欲望であるといったのとおおよそ同じなのかなと買ったときは思ったのだけど、おおよそ同世代の人なのかも。フランス人だけどアメリカで教えていたとのことで、あの有名なピーター・ティールが弟子だったらしく、この本もビジネスマン?が書いた本ぽい書き出しで、その意味では読みやすくていいんだけど。で、②のことを言えばレビュー曰く、この本はジラール哲学の最適な入門書だが自己啓発っぽいタイトルがつけられてしまってふさわしくないからよくないんだ、みたいなのが3つくらい並んでいて、こういうのが並ぶってことは内容もよいのだろうと、いわば逆張りっぽく理解して、購入のきっかけになった。とはいえ、翻訳で変えてなければそこまで哲学哲学したものではなく、自己啓発と哲学エッセイ的なものなのかな、そういえばこの著者はタレブが好きみたいで、タイトルつけがタレブっぽかった(褒めてはいない、というかタレブの目次は読んでもよくわからない、僕には)。もう700字なので①について。素朴に、自分が何をやりたいのかとか、どこに喜びを感じるのか、なんだかよくわからなくなってきて、これを子供っぽい悩みだと思うかもしれないけれど、とはいえわからないものをそのままにしていいわけではなく、本のなかでもピーター・ティールも悩んでたって書いているから、まあ誰だって悩む瞬間があるのだと、納得させている。自分のことしか自分は多分興味がなくて、でもその自分のこととされているのが、自分のモデルや憧れとなっている他者の、自分への投影だとしたら、その構造の中で自分の興味があるとすれば、自分理解はその構造を理解しない限り、鏡に写ったものをただ追いかけるだけの徒労に終わるだろう。

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