千年祭はガルディア建国1000年を祝う祭りである


7月から年越し1月終わりまで、凡そ半年続くこの祭典は世界各国(160)から営利、非営利問わず様々な個人、企業、団体がブースを構えて出店する。

多くのブースは1~2週間の短期の出店契約を結んでいて、その期間が終わったブースは別の企業に貸し出される。契約された出店数は千年祭の開始当日の時点で10000店を越えていて千年祭開始以降もしばらく増えていく事が予想されている。会場は千にあやかって常時1000店が出店する事になっている。

千年祭開始の7月1日当日に出店する企業は、その半分がスポンサーとなっている。スポンサーは各国の上場トップの株式会社が連ねる。アメリカからはアップルやマイクロソフト等のNASDAQ指数に関連した大型企業が名が連ねるが、出店数は各国の公平性を考慮されていて、途上国先進国に関わらず、まんべんなく出店される事になっている。たとえば日本からはトヨタや日産、日立等の上場企業900社がスポンサーとなって出店契約を結んでいるが、当日出店するのは50程度である。大型企業ばかりが目だって祭典らしさを失わなせない措置でもあるが、当日出店に関しては千年祭の宣伝やピーアールも兼ねて、世界が注目する企業、団体が優先して選ばれる仕組みになっている。

当日、人々が最も注目しているのはテレポート装置を開発したとの噂が流れていたルッカアシュテアのブースだった。ルッカは大学生でありながらAIに関する技術特許を複数所有する個人発明家でありながら、その生活素性は報道される事はあまりなく、謎のベールに包まれた人物だった。

ルッカアシュテアは機械工学に詳しく、自立型のAIカラオケロボや軍事兵器に転用できそうな戦闘用ロボを開発したりと、政府や企業が一目置いている。影のファンが数万人規模でいて、当日はルッカが出店するという事で会場はルッカのファンでごったがえしている。

ルッカは個人出店でありながらアイドル的な存在で、ボディガートが必要とされた。千年祭委員会はルッカのブース周辺に警備員を30人前後配備し、観客がブースに雪崩れ込まない様に非常線をはっていた。

ルッカはテレポート装置のテスト段階から、マスコミのインタビューを受けていて、その装置の完成度がテレビで報道されていた。当日はルッカ特集の番組を組まれてつつ、お茶の間ではリアルタイムの公開実験映像が流される。ガルディア人の殆どはチャンネルをルッカに合わせていた。

朝7時、ブルーインパルスが上空を駆け巡り、ガルディア文字が浮かび上がる。風船が上がり、セレモニーが開始されると、オリンピックの様な開会式が披露される。セレモニーが終わるとガルディア陛下の挨拶があり、9時丁度に千年祭は開催された。

その日、マールは王族として父の公務に同席する予定だったが、その場にはいなかった。
マールはその日、席を抜けだし、護衛の監視をふりきり、王女の立場から逃げようとしていた。マールは現在16歳。マールは王家のしがらみに不満があった。常に護衛をつけられて生活が監視されている。一般人の様に家族と一緒に千年祭に来て遊びたかった。同年の人達の様に友達や恋人と作ったりしたかった。マンガの様な出会いに憧れていたりもした。

マールは置き手紙をした。一人立ちすると明記され、仕事が決まって生活が安定したら連絡するから安心してね。との一文を添えていた。

マールは16歳なればどこかのバイトで雇ってもらえるはずと思っていた。
髪型をポニーテールにして変装しつつ着ていたスーツを脱ぎ捨てる。自由になるオカネを持たされていなかったので出店企業の中から当日バイトの面接を受けるつもりで走っていた。マールはキャンディー屋さんや、スイーツ屋さんで働きたかったのでそのブースへと走った。


8時45分、セレモニーが終わり、ガルディア王は演説の最中だった。その隙にマールは逃げ出した。

リーネの鐘の鳴る9時丁度にクロノとぶつかった。マールはキャンディー屋さんで面接を持ち掛けるが担当者に空気が読めてないと言われて門前払いを受けた。偽物の履歴書を握りしめてマールは悲しくなるものの、心機一転し、会場外のスイーツ店に走っているところで、クロノとぶつかった。


クロノはルッカのブースにて実験をサポートする予定だった。寝坊した訳ではない。クロノはルッカに頼まれてルッカの家からテレポート装置のミニチュアを取りに行っていた。大型装置を作る為の模擬機として小型のサイズを作っていたルッカだが、インタビュアーからそれを見せて欲しいと頼まれて、クロノは走っていた。

マールとぶつかったクロノは、マールに謝ると急いでルッカの元にかけていった。
千年祭会場は開演したばかりで、まだリーネの鐘の前に人は多くいなかった。マールは護衛から見れば目立つ存在で、マール自身もこの場にては見つかるのも時間の問題だと思っい、急ぎ会場を後にした。

【マールがもし仕事を選り好みせず、空気が読めてないとか言われなかったら?】

マールは走っていくクロノを会場の関係者と思い、捕まえてバイトの面接をもちかける為に追いかけた。

マールが気付いた頃にはテレポート装置に乗せられていた。
ルッカはこれまで実験に際して人物転送は公にしてこず、千年祭をサプライズ成功の場にしようと思っていた。実験はクロノでやった後、観客から募集をかける予定だったが、怖がって誰も名乗りでない可能を考えた。

若い女性がやる方がインパクトがあると判断したルッカはバイト代を弾み、マールにサクラをお願いした。マールの仕事はクロノの実験終了後に、人混みに紛れつつ、手を上げて名乗りでる事だった。

しかし、想定外にてマールは15番目になってしまった。ルッカのファン(ルッカの実験ならば殺されてもいいファン)が名乗りを上げて、マールの出番はなかなか来なかった。マールは仕事を終えてオカネ貰った後、次にどこで仕事を貰うか考えていた。


関連note

※設定修正案

ルッカは転送装置のテストに際して、波動観測装置を設置していた。物体が放っている固有の周波数波動が転送装置にどう影響を与えるのか波長の強弱を記録し、残していた。特殊な波動は計器を狂わせて事故に繋がる恐れがあったからだった。

マールのペンダントが異常反応した際も波動は記録されていて、その波動と同じ周波数を出せる電磁波発生装置を用意し、ゲートの再現実験をした。事故の原因となったペンダントはマールの首に掛けられたままだった。クロノはマールを助けようとして、ペンダントと一緒に吸い込まれてしまった。ルッカは当初、事故の原因となったペンダントが吸い込まれてしまい再現実験ができないと思いヒヤヒヤしたりもしたが、その問題は波動検出装置が解決させた。ルッカはゲートホルダーがゲート先にて故障して戻ってこれないのを危惧して、スペアを2つ作っておいた。ゲートの中でゲートホルダーを落としてしまうリスク、何らかのトラブルで別の出口に行く可能性も考慮し、マール、クロノにも各々ゲートホルダーを持たせておいた。



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