医事課の業務改善物語(現在進行形)⑥問いをたてよう、そして働くとは?
これは医療機関の医事課改革を命じられた一人の業務改善職の物語です。
事実をベースにフィクションを織り交ぜて進行していきます。
そして、物語は現在進行形です。
グッドエンドか、バッドエンドか、まだ誰にもわかりません。
結構な負荷です
前回は業務フローと手順書を作成している事をお伝えしました。
業務フロー↓
手順書↓
もちろん目的は業務整理&見える化&属人化の解消なのですが、私自身取り組んだことのない医事課業務について引継ぎを受けながらここまでを作成していくわけです。
ちょっと考えてみてください。受け持ったことのない部署の仕事を一回の引継ぎでこなせるようになるだけでもすごくないですか?
今回はさらに、引き継がれた業務をフローに起こして、手順書まで作るわけですよ。もう頭が沸騰しそうです。
実際の引継ぎでは、引継ぎを受けながら画面キャプチャをしまくって、業務の流れは画像として追えるようにしておきます。
そして頭の中に記憶の断片があるうちに一気にフローと手順書を作り上げる!
作った後は達成感と疲労でヘロヘロに…(笑)
後はフローと手順を実際の医事課の方に確認してもらい、もう一回実務で試してから本番で運用といった流れです。
いくら業務改善のためとは言え、何度も同じことを聞かれるのは嫌でしょうから、勢いで完成までもっていきます。
大事な事は他にある
と、なんだか愚痴みたいな文章になってしまいましたが、ここからが業務改善の本番です。
フローと手順書、これは「いままでの業務を落とし込んだ」だけなんです。
ここで問わなければいけないのは、「なんでこの業務しているの?」です。
例えば実際の会話として、
私「この業務の中で5種類の書類を作る事になっているけど、なんで作っているの?」
👩🦰「前任者から作成するように引継ぎを受けたからです」
私「この書類は誰が見るためのものなの?」
👩🦰「事務長が見ていると思います」
私「あれ?②の書類と③の書類の内容は④の書類に全て盛り込まれてるみたいだね」
👩🦰「そういえばそうですね…」
私「ちょっと事務長に聞いてみてもいい?」
👩🦰「はい、お願いします」
~~~ 事務長室 ~~~
私「事務長。毎月医事課から報告があがる②③④の書類ですが、全て必要ですか?」
事務長「いや④だけでいいよ。②③は④を作る時に自動で出来ちゃう書類でしょ?」
私「いや、それが②③の書類も手間をかけて作成してるんです。来月から④だけでいですか?」
事務長「そうだったんだ…知らなかったよ。④だけでOKです」
このコミュニケーションだけで②の書類、③の書類を作るという2つの手順がなくなりました。
私は部署をまたいでお話をしただけです。それだけで仕事が2つ消え去った。
ここにミスはないんです。前任者がいた頃は必要な書類だったのかもしれません。事務長もただ自動でできる書類と勘違いしていただけです。現任者も前任者の引継ぎ通りキッチリ仕事をしていただけです。
「問いをたてる!」ただこれだけが必要なスパイスなんです。
そこに新たな気付きと改善がの芽が埋もれているのです。
もう一つ事例を
私「介護医療院からのこのAという書類、紙でもらっているんだ」
👩🦰「そうなんです。書類Aを紙でもらってから書類Aに特化したシステムに私たちが入力しています」
私「つまり同じ内容を紙からシステムに打ち込んでいるということ?」
👩🦰「そうなります」
私「ちょっと介護医療院の主任と話してくる」
~~~ 介護医療院主任室 ~~~
私「書類Aを作成するのに、書類Aシステムを使わずに手書きでしているの?」
主任「…書類Aシステムって何ですか???」
そうです、医事課が使用しているシステムの事を主任は知らなかったのです!
私「いや実はこんなシステムがあって、カクカクシカジカ」
主任「なんですか!これ凄く便利じゃないですか!手書きでやる必要なんてないじゃないですか!」
私「まぁそうなんだよ。主任がこれに入力してくれれば、主任自身も楽になるし医事課さんも再入力の手間がなくなるんだよ」
主任「今度からこちらのシステムに入力させてください!」
これは、介護医療院の主任が医事課の使っているシステムを知らなかった事により発生していた手間です。
結果、主任も手書きの手間が省け、医事課は入力という業務が消えました。
「何で手書きなんだ?」「何で再入力しているんだ?」という問いが解決した事例でした。
とまぁこんな感じで一つずつ地味に改善しております。
働くとはなんだろう?という問い
業務フローを作成し手順を把握している中でこんなニュースが飛び込んできました。
Microsoft、自社製RPAツールを全Windows 10ユーザーに無償提供 マウスクリックやキーボード入力をGUIで自動化
私もいじってみましたが、確かに単純な作業は自動化できてしまいます。
医事課の中でも単純な作業の繰り返しという業務は存在します。
そして今回私は業務の流れを把握し手順を作業に落とし込むという事をしています。これはRPA化する手順でもあると気付いたのです。
今現場から「作業」を取り除いたと考えてみてください。
希望がみえますか?
仕事を自分で「構想」して「実行」できる人もいます。
反対に、誰かの構想が実現できるように「作業」をする人もいます。
どちらも大事な人です。これは向き不向きだし得手不得手の領域ですよね。
個人的には、作業を通して効率化や標準化してきた社会から人間は脱却するべきだと思います。
が、急激な社会変化はそこから振り落とされる人を生んでしまいます。
その方達をどう考えるか?自己責任として切り取ってはいけなのではないか?だとしたらどのように対応していくのか?
解決策はまだ私の中にはありません。
自動化により作業から解放される事で、対人支援に思いっきり時間と能力を割ける人は出てくると思いますし、私はそういった人も応援したい。ここは人間らしく思いっきり属人化して欲しい。
ただ一つ言える事は、一度走り始めた自動化の波はもう止められないということ。
「私にとって働くってなんだろう?」この問いは今後多くの人に必要な問いになってくると強く感じます。
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